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【Netflix・映画感想】「7月22日(原題:22 July)」の魅力3個。ノルウェー連続テロの実写化

公開日:

更新日:

Netflixオリジナル作品「7月22日」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。

最近のネトフリ独占作品は不作気味でしたが、本作は「ネトフリを代表する作品」になり得たと、そう思えるくらいの名作でした。

じっくりと感想を書いていきますので、まだ未鑑賞で「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。

※関連記事は最後にまとめて紹介します

予告編(トレイラー)

※日本語字幕無しですが、本編では吹替も用意されています

作品情報

公開年 2018年
原題 22 JULY
上映時間 144分
製作国 アメリカ
監督 ポール・グリーングラス
脚本 ポール・グリーングラス
ジャンル 海外サスペンス、ヒューマンドラマ、知性に訴える
主要キャスト アンデルシュ・ダニエルセン・リー
ヨン・オイガーデン
ヨナス・ストラン・グラヴリ
オラ・G・フルセット
マリア・ボック
ソービョルン・ハール
ジェイデン・スミス
配信サイト・媒体 Netflix独占
※記事公開時の情報です

あらすじ・みどころ

憎しみややり切れない思いを抱えつつ、ショックから立ち直ろうとする人々と国。その苦悩とたくましさを描いた実話に基づく物語。

引用:Netflix

魅力

①戦後、最も短時間で連続殺人を犯したとされる「2011年のノルウェー連続テロ事件」を描いている

②事件当時の恐怖をリアルに感じ取れる

③事件直後から裁判、そして生存者の生き方にフォーカスしている

【ネタバレ無し】感想

とても重苦しく残酷な作品です。
かなり早い段階でテロシーンが描かれます。

テロシーンは、ウトヤ島で逃げまどう少年少女たちのリアルな演技も相まってとてもリアルで、糸が張り詰めたような緊張感、恐怖を感じました。

銃を乱射する「アンネシュ・ブレイビク(当時32歳)」から逃げる為に隠れ、そして死んだフリをしてその場をやり過ごそうとする少年たち。

あの絶望感、恐怖は凄まじく、見事な映像化だと思いました。

 

恥ずかしながら僕は本作の予告を観て事件について知ったのですが、本作は事実に忠実に従っていると感じました。

では、次項からネタバレ感想を書いていきます。

【ネタバレ有り】感想

※ここからネタバレを含みます。
 
 
 
 

オスロ政府庁舎の爆破

爆弾を積んだ白いバン
爆発を起こす
オスロ政府庁舎

まず「オスロ政府庁舎」から事件は始まります。

当時のオスロ政府庁舎には「グロ・ハーレム・ブルントラント首相」はおらず、しかし犯人の「ブレイビク」はあわよくば首相も攻撃しようとしていたようです。

後の弁護士との会話で「首相は無事だったか?」的なことを聞いていたので、それが煽りでなければその魂胆もあったと思います。

爆破テロ直後のオスロ

爆発後の街は本当に悲惨な状況で、現実のニュースで見る爆発現場のように生々しいものでした。

爆破テロ直後の「ウトヤ島」での殺戮

惨劇直前のウトヤ島では、「ノルウェー労働党青年部の集会」が行われていた
 

ノルウェーの首都「オスロ」近郊にある「ウトヤ島」では、当時「ノルウェー労働党青年部の集会」が行われ、10代の青年が700人程参加していました。

犯人は当然そのタイミングを狙って犯行に及んでいます。

集会は日を跨って行われるようで、上記画像のようにキャンプテントが設置されています。

直前までは賑わっていたキャンプ場が一気に絶望的な殺戮現場と変わるシーンは、本当に残酷で、とても重苦しいものでした。

「島の警備を任されました」と嘘を付くブレイビク

ブレイビクは警察の恰好で、「ウトヤ島の警備を任された」と言い島に乗り込みます。
島の管理者が用意してくれたフェリーで上陸し即座に管理者を射殺。そして青年たちの殺戮を開始します。


逃げまどう青年たちを容赦なく殺していく
死んだフリをしてやり過ごそうとするも殺されてしまう
崖のギリギリのところに掴まり隠れる

隠れていた者たちの中には土壇場で死んだフリをする者もいましたが、ブレイビクに見つかると即座に殺されました。

崖の淵に隠れていた者たちは、最初はブレイビクに気付かれませんでしたが、用心して回り込んで確認された際に見つかり、結果ほとんどの青年たちが撃たれてしまいました。

本作のメインは「事件後」

被弾し、浜辺で横たわるビリヤル

主人公のビリヤルは、崖に隠れていたところを見つかり5発の銃弾を受け重傷を負いました。
弟のトリエも同じところに隠れていましたが、運良く無事でした。

 

ビリヤルは右目を失明し、脳幹近くに銃弾の破片が残り体も麻痺しており、リハビリ生活を余儀なくされました。

本作を観て激しい違和感を感じたのが、「事件直後の犯人の措置」です。
違和感と言っても映画として低評価に繋がるようなものではなく、手続きが意外だったという意味です。

ウトヤ島で確保されたブレイビクは即座に手錠を掛けられ輸送されます。

まずウトヤ島の事務所内のようなところに連れられ、警察官によりそこで写真を取られます。

ブレイビクを撮影する警官

その後口の細胞や指紋を採取。
続いて本事件担当刑事の自己紹介。
ブレイビクがすぐに弁護士を要請したためすぐに弁護士へと話が繋がります。

この一連の流れが凄く淡々としており、普通に生きていたらこのような場面に遭遇することが無いので、なんとなく意外性を感じました。

知らない世界のことなのでリアルに描かれているかどうか分かりませんが、妙なリアリティがあったと思います。

法廷で証言するビリヤルに涙

僕は映画での演説シーンに非常に弱いのですが、それを差し引いてもビリヤルの法廷証言シーンはとても良いものでした。

 

本作でのセリフをそのまま掲載します。

弁護士:どうぞかけてビリヤル。ウトヤ島で何があったか話してもらえますか?

はい。あの人は僕を殺そうとしました。
あの人を見つけて逃げました。
隠れ場所を探してました。
弟を守りたくて。
銃で撃たれたのを覚えています。
5回も。

必死に証言するビリヤル

それから
僕は浜辺で倒れてました。
1人で。
身体が想像したことないくらい痛かったです。

弁護士:あなたは生き残った

でも何もかも変わりました。
身体の使い方を学びなおさないと。

だから歩き方や食べ方も、
もう一度習いました。

左腕はもうほとんど使えないし・・・。

えっと、それから、
右目を失明しました。
でもこうなって、ほっとしてるんです。

弁護士:ほっと?どういうこと?

えっとそれは、
つまり、その、
今日のところは、あの男を観なくて済みますから。

(一同 笑)

でも、そんな単純な怪我じゃありません。
撃たれた銃弾の破片が脳の中にあって、
いつ死んでもおかしくない。

もう昔の僕と同じとは思えないんです。
僕の体はガタガタだ。

ビリヤルの証言を聞くブレイビク側の弁護士「ゲイル・リッペスタッド」

でも何より辛いのは、
僕の親友が、
アンネシュとシモンが殺されたこと。

二人が刻んでた足跡を、
断ち切られてしまった。

二人なら世界を変えられたと思う。
毎日会いたくなる。

ごめんなさい、僕、僕、今日は絶対・・・泣きたくなかった。

こいつの前では絶対涙を見せずに、強さを見せたかった。

親友の為に来たんです。
忘れ去られないように。

こいつが二人を撃って、
僕を、浜辺に置いていった時、
僕はもう自分が・・・生きてるかも分からなかった。
あの時からずっとそうでした。

でも今、気付いたんです。
決めるのは僕だ。
だって僕にはまだ、家族がいる。
友達も、
思い出も、夢も、希望も、愛も、
でも、こいつは、孤独で、何一つ持ってない。

ビリヤルの証言を聞きながら俯くブレイビク

きっと刑務所で朽ち果てるだろう。
僕は・・・。生き延びた。

これからも生きる。

以上です。

評価・まとめ

住んでいる「スバーバル」の自然の中に佇むビリヤル

80点

実話を基にした作品は面白くない場合も多いですが、本作は作品として観ても非常にクオリティーの高いものでした。

重苦しく残酷な事実を基にしているだけあって「面白い」というワードはあまり使いたくないのですが、映像コンテンツというツールを使って、残酷な事実をしっかりと伝える為には、やはり観客を画面に引き込む必要があると思います。

本作はそういう意味でも、ちゃんと観客を引き付け、事件を風化させないという目的を果たしたように思います。

Netflixを契約されている方は一度鑑賞してみてはいかがでしょうか。
一度は観るべき映画であると、そう感じます。

レビュー
レビューした日
レビュー作品
7月22日
総合評価
4
作品タイトル
7月22日
作品内容
2011年7月22日に起こったノルウェー連続テロ事件を題材に描いた実録ドラマ。
作品公開日
2018