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【感想】「リミット」の魅力3個と考察。生存本能が刺激される作品

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ぱっかん
執筆者:「ぱっかん(@pakkan316)」見る映画の9割が洋画です!

目が覚めたら棺桶の中・・・。そこから出られるのか?

監禁系ソリッドシチュエーションスリラー「リミット」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。

まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。

※関連記事は最後にまとめて紹介します

予告編(トレイラー)

作品情報

公開年2009年
原題 Buried(訳:埋葬)
上映時間 90分
製作国スペイン
監督ロドリゴ・コルテス
脚本クリス・スパーリング
ジャンル サスペンス,スリラー
主要キャスト ライアン・レイノルズ
配信サイト・媒体 市販DVD
Netflix…他
※記事公開時の情報です

あらすじ・みどころ

イラクでトラック運転手として働くアメリカ人ポールは、ある日突然何者かに襲撃され、気づくと地中深くに埋められた棺の中にいた。手元にあるのは携帯電話、ライター、ナイフ、ペン、酒、そして残り90分の酸素のみ。タイムリミットが迫るなか、ポールは必死に脱出を試みるが……。

引用:リミット : 作品情報 – 映画.com

魅力

①画面から息苦しさが伝わってくる

②スリラーとして、狭い中でいくらかのイベントをちゃんと盛り込んでて最後まで退屈しない

③ライアンレイノルズの、「屈強だけど弱弱しい感じ」が丁度良い

気になる点

・意図的にそうしていると思うが、イライラするシーンが多い

【ネタバレ無し】感想

【感想】「リミット」の魅力3個と考察。生存本能が刺激される作品: 【ネタバレ無し】感想

10年近く前から、レンタルビデオ屋でパッケージを見て気になっていましたが、「閉所恐怖症の自分には厳しいな・・・」とずっと距離を置いてきました。

しかし先日、ネトフリで配信されていたので思い切って鑑賞。
結果、想像以上に面白かった

主人公の「ポール(ライアン・レイノルズ)」が棺桶の中で目を覚ますところから始まりますが、そこから先も外部のシーンなど一切挿入されず、終始棺桶の中の映像が続きます。

その息苦しさは相当なもの。
この文面だけで拒絶反応を起こす人もきっといるでしょう。

僕は10年近く拒絶し続けてきました。(結果的にそれで良かった)
たぶん10年前の自分が観てたら、まともに最後まで観れなかったでしょう。
本当に息苦しい。

ただ、本作は「娯楽」だけではない力強いものがあります。

 

例えば僕は「生」そのものの力強さを感じました。

本作鑑賞当時、「したいこと 分からない」などでしょっちゅう検索し、ヒットしたブログで紹介されている「自分が死ぬことを想像し、その時に後悔しそうなことをやりなさい。」という教えを何度も読んでは考え込んでいました。
まるで廃人です。

しかし実際に「死にそうな自分」を想像しようとしても上手く感情が乗らず、何もリアリティがありませんでした。

そして本作鑑賞後、僕は今まで考えてこなかった「親孝行」というワードが頭に浮かびました。
「今すぐに両親に何かをしてあげたい」

まずそれが一つ目の「したいこと」だと気付きました。

これは正しく、本作を鑑賞したおかげで発見できた気持ちです。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、「死ぬ前にこれをしたい。今すぐこれをしたい。」と思えるものが見つかりました。

「何がしたいのか分からない」という、落ち込んでるのかすら良く分からない状態で観て、本当に良かった。
鑑賞後にはいろいろ苦しいものがありますが、おかげで「今自分がすべきことをするべきだ」と痛感しました。

そういう意味では、本作には凄く感謝しています。

※ここからネタバレを含みます。
 
 
 
 

主要登場人物(キャスト)

※()内が役者名

ポール・コンロイ(ライアン・レイノルズ)
イラクで働くアメリカ人トラック運転手。
台所用品を運搬中にテロリストの攻撃に遭い気を失う。
目が覚めたら棺桶の中。
母国には妻と子供がいる。

【ネタバレ有り】感想

カスタマーサポートのイラつかせる応対

本作の軸は「電話」でした。
ポールはケータイを使ってあらゆる機関と連絡を取り、救助を頼みます。

しかし最初は、どの部署もまともに取り合ってくれず、ポールはめちゃくちゃイライラしていました。
見てるこっちもイライラしました。

こちらは既に危機的状況。
「生きるか死ぬか」というバランスもそうですが、そうじゃなくても「1秒でも早くこの狭い部屋から抜け出したい」と思っています。

だから「早く助けに来てくれ!」と頼み込むも、通話相手は「社会保障番号を教えてください」などあり得ない応対。

たぶん、実際にカスタマーサポートの応対にイライラした事がある人も多いでしょう。

僕も実際にイライラしたことがありますし、バイトで逆の立場として電話応対を担当したこともあります。
あれはマジで、どっちの立場(客・スタッフ)でもストレスです。

 

その時の精神的苦痛を見事に思い出させてくれました。

ポールの勤務先の応対もめちゃくちゃイライラしました。

「君を雇用する際、危険事項は全て説明したよね?その確認をするよ。」
このやり取り、なぜポールはすぐに電話を切らなかったのか不思議でなりません。

あの確認は、明らかに救出されてからすべきです。
ケータイのバッテリーが命取りになるあの状況では、救出に不要な電話(しかもポールにとってマイナスの話)は全て拒否するべきです。

というわけで、勤務先とのやり取りが一番イライラしました。

親との通話シーンに泣いた

ポールが老人ホームに電話をかけ、母親と話すシーン。
母親は既に呆けており、電話相手がポールだと気付いていない様子。

そんな母親に対し、「ただ声が聴きたかっただけだよ」と話すポール。

明らかにお涙頂戴なシーンですが、とてつもなく心を揺さぶられました。

あの状況では、自分が息苦しくなる行為は出来るだけ避けたいはず。
でも「死ぬかもしれない」という考えもあるし、いろいろあって、最後に母親の声を聴いたポール。

何より、老人ホームの番号を暗記していたポールが凄い。
万が一の為に、母親の居場所の番号を覚えていたのでしょう。

そのバックグラウンドを想像しても中々泣けます。

まるでブラックジョークのように最悪なオチ

 

さて。そろそろオチについて語ります。

マジでもう・・・。
究極のバッドエンドでした・・・。

今まで観てきた胸クソ映画とは違い、また独特の気分の悪さ
一番夢に出るタイプの苦しみ方だから悪質です。

ポールは結局生き埋めになりました。

しかも「ただ生き埋めになった」というだけならまだしも、可能な限り絶望的な状況に追いやってからの生き埋めです。
マジで最低(最高)です。

ポールは一度、中盤で死を悟りました。
鑑賞者は、せっかくなら「悟った時に死んでほしい」と願います。
やはり主人公には感情移入しているので、出来るだけもがき苦しんでほしくありません。

しかし監督はちゃんと裏切ってきました。

アホな「ブレナー」というFBIが希望を託すもんだから、ポールは最後の最後でまた希望を見出します。

結果、「もう助かるよ!」→「見つけたのは別の棺桶でした」という最低のどんでん返し

ブレナーが、「ポール、すまない。マーク・ホワイトだった。」と言い、絶望的な表情で「OK…OK…」と言うポール。
(吹替では「そうか・・・そうか・・・。焦るな・・・。落ち着け・・・。」と言っていた)

ポールが「OK…OK…」と呟くのもまた胸に残る。
あの状況ではさすがに「Fuck!!」とキレてる暇は無いと思いますが、最後の最期までポールに希望を持たせておいて、結果、一番苦しい精神状態で死なせる。

しかも「マーク・ホワイトは死んでいた」という嘘(更なる絶望)も与えて。

 

画面が暗転した後、ブレナーの「すまない」という声だけが響きました。

ブレナーに対して、何か形容しがたい感情が湧きます。
しかし、ブレナーは何一つとして間違ってない・・・と思います。

あの立場なら、人質には希望を持たせる必要があるし、実際に救助に動いてました。

「ポールをもう少しで助けられる!」というところで、発見したのが「マーク・ホワイト」だと知った時、ブレナー自身も落胆したはずです。

しかし「マジかよ!!」的な感じで声を荒げず、あっさりと「すまない。」というだけ。
映画の演出的には確かに「すまない・・・。」の方が呆気無くてシックリ来ますが、終始冷静なブレナーは、マナーモードがバッテリーを食うことなど知っていたし、意外と出来る奴なのかもしれません。
(たぶんバッテリーの充電の話は、前回の誘拐事件「マーク・ホワイト」で学習した)

考察

考察①「犯人」は何がしたかったのか?

地味に気になるのが犯人の手法です。

犯人は身代金目的でポールを誘拐しました。
作中でも言われてた誘拐ビジネスですね。

今回犯人が誘拐したのは、「ポール」と「パメラ」の二人。
ポールを棺桶に閉じ込め、パメラは普通に人質として誘拐しました。

なぜ二人も誘拐する必要があったのでしょうか
それも別々の方法で。

結果的に先にパメラが処刑され、その動画を見たポールも自殺しかけました。(ポールとパメラはただの同僚ではなく、実際に恋仲だったかもしれない。自分はそう考えている)

たぶん犯人には「パメラを使った交渉でダメだったら、その処刑動画をポールに送り付け、ポールの本気度をアップさせる」という狙いがあったのかもしれません。

 

でもそれが効果的に作用する気がしません。

しかも犯人は、「棺桶誘拐」は恐らく二度目です。
最低でも一度、「マーク・ホワイト」を使って同じような誘拐交渉をしています。

そしてそれに失敗し、また改めてポールで同じ手法を取りました。
もしかしたら前回の失敗を踏まえ、試行錯誤を繰り返してあのスタイルに落ち着いたのかもしれませんが、ケータイのバッテリー量は中々スリリング。

バッテリー量は確実にマックス状態であることを確認しておいた方が、計画を安全に運びやすい気がします。(どうでもいいけど)

恐らくですが、この犯人はただお金が欲しいだけじゃなく、マッドサイエンティストのように、この犯罪自体や、棺桶の中の人間心理を楽しんでいるのだと思います

考察②「マーク・ホワイト」とは何者なのか?

【感想】「リミット」の魅力3個と考察。生存本能が刺激される作品: エンドクレジット後に映される「MARK WHITE」の文字
エンドクレジット後に映される「MARK WHITE」の文字

ポールがブレナーに「人質の救出に成功したことはあるか?」と聞いた時、ブレナーは「多くはないが、ある」と言いました。

続けてポールは「その人の名前と職業を言ってくれ。もし言ってくれたら信じる。」と言います。
ブレナーは少し考えてから、「マーク・ホワイト。医学生。今は家族と暮らしている。」と言います。

ポールはこれを信じ、棺桶の壁に「マークホワイト」と書いて四角で囲いました

「マーク・ホワイト」が唯一、ポールにとっての希望。
「救出成功例がある」という事実が、あの状況のポールにとってどれだけ心強いか。

しかし最後の最期。
ポールを救出するつもりだったブレナーは、何故かマークホワイトの棺を掘り当てます

つまりブレナーは1人として救出に成功していない
恐らく、直近で発生した「マーク・ホワイト」の誘拐が咄嗟に思いつき、しかもポールの件と酷似していました
だからマーク・ホワイトの名前を出したのでしょう。

「すまないポール。マーク・ホワイトだった。」
というブレナーのセリフを聞き、「OK…」と言いながら埋まっていくポール。

そして流れる陽気な音楽。
エンドロール後には、ポールが書いた「MARK WHITE」の文字が映し出されます。

まるで映画一本を使って、壮大なブラックジョークを語ってるような内容
しかし内容が内容なだけにトラウマが残ります。

【感想】「リミット」の魅力3個と考察。生存本能が刺激される作品:評価・まとめ

75点

面白い・・・だけど二度と見たくない・・・。
オススメもし辛い。

でも面白い作品です。
僕のように、「なんで生きてるんだろう。」と、
しみじみ考えてしまったタイミングで見てみてはいかがでしょうか。

レビュー
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レビューした日
レビュー作品
リミット
総合評価
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作品タイトル
リミット
作品内容
目を覚ますと棺桶の中。携帯電話を使って、主人公は箱の中からの脱出を目指す。
作品公開日
2010-11-16



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「ぱっかんブログ」という雑記ブログで、映画やら何やらと色々書いてましたが、映画記事数が増えたのでそれを「ぱっかんシネマ」として立ち上げました。
洋画ホラー、サスペンスが好み。あとスローモーションになった時に流れる「ドゥーン...」という効果音も好き。

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