飛行機墜落事故の生き残りの証言と、航空会社の言い分の食い違い。
これは本当に事故だったのか?
2008年公開のサスペンス映画「パッセンジャーズ」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という
文章の直前までを目安にご覧ください。
目次
予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2008年 |
---|---|
原題 | Passengers |
上映時間 | 93分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ロドリゴ・ガルシア |
脚本 | ロニー・クリステンセン |
ジャンル | ドラマ,サスペンス,星3(55~75) |
主要キャスト |
アン・ハサウェイ(クレア・サマーズ) パトリック・ウィルソン(エリック・クラーク) デビッド・モース(アーキン) アンドレ・ブラウアー(ペリー) クレア・デュバル(シャノン) ダイアン・ウィースト(トニ) |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
飛行機事故で生き残った5人の乗客のカウンセリングを担当することになったセラピストのクレアだったが、5人の生存者がひとりまたひとりと姿を消していく。不審に思ったクレアは事故の真相を探っていくが、そこには驚愕の事実が……。
魅力
①徐々に真実に近づいていく展開にワクワクする
②巧妙に散りばめられた伏線
③序盤から飽きさせず、中だるみもしない丁寧な脚本
④予想を裏切る大胆なラスト
気になる点
・冷静になると、腑に落ちない点も多い
【ネタバレ無し】感想
「巨大な陰謀に立ち向かう」系の作品が大好きなので、本作「パッセンジャーズ」は個人的にヒット。
それも「探偵」とか「警察」じゃない職業のキャラクターが、その特技(本作であればカウンセリング)を活かして立ち向かっていくという展開も定番ながら熱い。
ただ、本作に限らずこういう系の作品は「お前は真実を知り過ぎた」的な鬱展開になる事も多いので、割と警戒して鑑賞しました。
結果、凄い満足の行く終わり方でした。
ただし、いくつか不満点はあり、個人的な「名作」にはならなかった。
一般評価は「3.1」
まずまずと言った評価で、僕の「★3」と同じ感じですね。
やっぱり皆さん腑に落ちていないのでしょうか。
※ここからネタバレを含みます。
【ネタバレ有り】感想
ザックリストーリー
航空会社の職員はやたらクレアを付けまわすし、「乗客名簿には無い記憶喪失の男」まで出現。
航空会社は明らかに事故の真実を隠蔽しようとしているが、それを阻止しようと探偵活動を始めるクレア。
しかし真実は、彼ら乗客は全員死んでいて、なんとクレア自身も犠牲者の一人だった。
この数人の生き残り達は皆死に気付いておらず、その事を受け入れた者から成仏していた。
最後には、一歩先に真実に気付いた「エリック」と、乗客の中で最後に死を悟った「クレア」の二人でボートで旅立つ。
本作は「サスペンス」的に進みながら、実は死者たちが成仏するまでのお話でした。
意外な展開でしたが、運び方が丁寧だったおかげで少しウルっと来てしまいました。
特に「死んだ犬」が登場するシーンにはジンワリと来た。
序盤のミスリード
“これは死者が死を自覚するまでの物語である”
それを全力でミスリードさせるために、航空会社職員の「アーキン」を悪役として映していました。
「アーキン」は常に「事故はパイロットのミスによるものだ」と訴えていましたね。
「アーキン」はいかにも「責任逃れしようとしている悪徳職員」というキャラクターでしたが、実は彼自身がパイロットで、自責の念に駆られての発言でした。
しかし鑑賞者はそんな事は知らないので、「真実に迫っていく系サスペンス」と思って見続けます。
終盤で、この「航空会社の陰謀を暴けるのか」から「自分たちが死んでいた」に展開移行するわけですが、それが突発過ぎる訳でもなく、かと言ってダラダラもせず、良い感じに感情移入させられました。
だから最後まで作品に距離を置くことなく、しっかりと付いていけた。(どんでん返し系はたまに置いてけぼりを食らう事がある)
ただ、無理やり感も強い。(次項で解説)
考察
考察①「アーキン」は何故航空会社職員?
パイロットとして搭乗していたはずの「アーキン」ですが、前述の通り「航空会社職員」として描かれています。
彼がパイロットと判明するのは終盤。
では何故「死後の世界」では職員なのでしょうか?
僕の見解ですが、彼は既に「死を受け入れた側」の人間であり、クレアに死を悟らせる為に職員に扮したのでしょう。
本作では「諭す側」の人物が、何故か本職じゃない仕事に就いています。
たぶんそうやって「まだ受け入れてない者たち」の(妄想)ストーリーに合わせているのでしょうが、これは全て「サスペンスに見せかける手段」だと勝手に思ってます。
本作は前~中半までを「陰謀系サスペンス」として描きたがっています。
そしてその為には何かを企んでいる人物が必要です。
その為に「アーキン」を使ったのでしょう。
アーキンは「クレアを諭す側」でしたが、「自分が操縦中の飛行機が事故った」という罪悪感もあり、その気持ちを全力でクレアに伝えてしまっていました。
そのせいでなんかややこしい事になってまった…という風に捉えてます。
考察②「クレア」は何故カウンセラー?
僕が一番腑に落ちないのはココです。
何故クレアはカウンセラー?
一応、グループセラピーのシーンで、「シャノン」に「睡眠薬を出す?」と失言したことにより、これが「実はクレアがカウンセラーじゃない」の伏線になっていました(グループセラピー中に薬の話はご法度らしい)。
この件でシャノン本人に叱られた後、ちゃんと凹んだ表情を見せたので、「クレアは自分の未熟さに凹んでいる」と鑑賞者は思いました。(ミスリード)
この伏線があったにせよ、何故クレアはカウンセラーなんでしょうか?
最後の「種明かしシーン(事故直前のシーン)」で何かあると思い見直しましたが、特にそれっぽい描写はありませんでした。
たぶん「クレアが憧れていた職業」、もしくは「カウンセラーの勉強中」とかなんでしょう。
ご存じの方が居ましたら、是非コメントで教えてください。
考察③記憶喪失の男は何者?
彼の登場に一番心奪われました。
最初は敵っぽい感じで登場し、しかし実はクレアに助けを求める可哀想な記憶喪失者。
しかも悪徳職員「アーキン」に対し、「お前に見覚えがある」等と言います。
こういう“キーマン”の登場はクッソ萌える。
しかし実は彼も死者の一人で、「アーキンはパイロットだった」と思い出したことで全てを悟り成仏しました。
何故彼は記憶喪失だったのでしょうか?
その答えはたぶん「こういうケースもある」です。(雑な解釈)
彼らが居る「死後の世界」では、生前の職業や人間関係はメチャクチャ。
まるで、記憶がごちゃ混ぜになって表れる「夢」のようです。
そしてその症状が特に酷かったのが、この記憶喪失の男だった、と捉えています。
正直、製作陣は「ミステリアスな要素を追加したい」という思いだけで彼を追加した気もしますが、まぁ実際に僕も「クッソ萌える」と言っちゃうくらい引き込まれたので、大正解だったと思います。
個人的に好きなシーン
※以下、ネタバレを含む場合があります
犬が諭しに来る
もうね、「犬」に弱いんです。
「犬の死」は特に弱い。いつもこれで泣いてしまう。
エリックは「6歳の時に飼ってた犬が来た」と言います。
「子供の頃に犬を飼ってた」という人は多いと思いますが、僕もそうです。
だから犬が「実は諭しに来てた」と知った瞬間は凄くホッコリした。
他のキャスト同様、犬のあの優しそうな表情も見事です。
【感想】「パッセンジャーズ」の魅力4個。飛行機事故の意外な真実とは?:評価・まとめ
65点
ちょっと惜しい、名作に近い凡作。
良い加減これ系の作品で、「本当に陰謀だった」という作品を見たい。
このブログを公開されてから10年以上も経ってるので、筆者様はもう解決されているかもしれませんが、
考察の項目で疑問に感じておられた「謎の男はなぜ記憶を失っていたのか」という点ですが、
終盤全ての真相がわかり、クレアが事故の場面を思い出すシーンで、その男が事故の最中に落下した荷物が頭に直撃する描写があります。その時に記憶喪失になったのだと思いますよ。