新しい居住地を求め11人の宇宙飛行士が未開の地に旅立った。
果たして彼らの星は生存に適しているのか・・・。
21世紀を代表する宇宙映画「インターステラー」を鑑賞しました。
2年ぶり3度目の鑑賞です。
本作は既に濃厚な考察記事等がたくさん存在するので、今回は単純に感想だけを書いていきます。
目次
予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2014年 |
---|---|
原題 | Interstellar |
上映時間 | 169分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | クリストファー・ノーラン |
脚本 | ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン |
ジャンル | SF,宇宙モノ |
主要キャスト |
マシュー・マコノヒー(クーパー) アン・ハサウェイ(ブランド) ジェシカ・チャステイン(マーフ) マイケル・ケイン(ブランド教授) ビル・アーウィンビル・アーウィ ン エレン・バースティンエレン・バースティン |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
寿命が迫った地球。人類存続のため、パイロットたちは新たな居住の地を求めて宇宙へと旅立った。”ワームホール”を抜けた先には希望があると信じて。
引用:Netflix
魅力
①ただの「お涙頂戴」ではなく、心を直に揺さぶるような、半ばショッキングで、重厚な展開の連続
②ブラックホール(ガルガンチュア)」のビジュアルが凄まじい
③思わず引き込まれる、詩的なセリフ回し
④丁寧な心理描写
⑤宇宙空間をしっかりと「無音」で表現している
【ネタバレ無し】感想
・宇宙の孤独感
・哲学的な側面
・音の無い世界のなんとも言えない不思議な感じ
非常に言語化しづらいですが、僕は上記のポイントが好きで宇宙映画を良く見ます。
本作は上記のポイントを当然のように押さえており、鑑賞中は終始フワフワした気分でした。
この「フワフワ」をなんと表現すれば良いか・・・。
もちろん僕は宇宙に行ったことはありませんが、宇宙映画からは何かしらの「ノスタルジー」を感じます。
クーパー達が旅する「インターステラー」も、もちろん見たことが無いので懐かしむ事は無いはずですが、宇宙空間のエフェクトから感じられるのは間違いなくノスタルジー。
この言いようのない「フワフワとした感じ」のおかげで、鑑賞中は自分自身が別世界に居るような、そんな感覚に浸れました。
また、この手の「科学」を題材にした映画は、基本的に登場人物が全員頭が良いという設定なので、当然それはセリフにも表れます。
「理系」的な人物を、映画という「文系」の世界で表す。
物理学者やパイロット、もしくは実際にNASAで働く人々が作中のように気の利いたセリフ回しを言うのかは分かりませんが、彼らのような理系出身者も、映画というフォーマットの中では詩的な言葉を多用します。
この「理系 × 文系」の感じも宇宙映画の醍醐味。
自分の知能指数が追い付いてないので感想を書くのがムズイですが、見終えた後に立ち上がれなくなるような、でもそれは「ショッキング」とか「絶望」では無い、なんとも形容しがたい感覚。
※ここからネタバレを含みます。
【ネタバレ有り】感想
家族との絆を描く前半部分
冒頭の、クーパーが夢から覚める瞬間からもう大好き。
夜明けと同時に目が覚めて、トウモロコシ畑を見る。
そしてそれと同時に「ハンス・ジマー」が手掛ける壮大な音楽が流れる。
凄く淡々としたシーンですが、「朝の美しさ」がしっかり伝わりました。
この「朝の美しさ」は本筋に大きな影響を与えるわけではありませんが、本作のテーマの一つに「地球を救う」というものがあるし、後半は宇宙船の映像が続くので、視覚効果的には「朝の美しさ」及び「地球の美しさ」を描くことは超重要だと思います。
上記画像はさり気ないワンカットでしたが、このアングル、構図に胸を撃たれます。
ノーラン監督が得意とする「ブルーグレイな世界観」がしっかりと活かされており、それは視覚効果だけでなく、脚本部分でもしっかり感じられました。
マーフとクーパーの絆
「このシーンでめっちゃ泣きました」
「何度見ても泣けます」
みたいな言葉は安っぽくなるのであまり使いたくありません。
しかし、何度鑑賞しても「S.T.A.Y」のシーンは泣けます。
ここまで胸を抉る別れのシーンは、僕が知る限り他にありません。
また、この「S.T.A.Y」のシーンでも、クーパーとマーフの理系的なやり取りがあります。
クーパーはマーフを励ますつもりで、冗談交じりでこう言いました。
「地球に帰ってきた時、マーフと同い年かもしれない」
それを聞いたマーフは、ハッとした表情でこう言います。
「それっていつ帰ってくるか分からないって事?」
マーフがこの返しを言うまでの間に、クーパーも一瞬「あ、やっちゃった」みたいな表情をします。
そしてクーパーから渡された腕時計を投げつけるマーフ。
こんな美しく、感情的で、そして知的で、心地良い別れのシーンはそうありません。
このシーンは本当に辛いので観るのが嫌になりますが、それでも大好きなシーンです。
「TARS」と「CASE」の人間らしさ
ノーラン監督は、「TARS」と「CASE」という二人のロボットが、いかにも人間らしく映るように演出しています。
「ポーカーフェイスが下手だな」とTARSに告げた後、クーパーが立ち去るシーン。
それをTARSは目で追います。
TARSには「目」が無いので「目で追っているかどうか」などは分かりません。
しかし、明らかに目で追っているのです。
それが分かる素晴らしい演出の数々。
また、終盤の「TARSを犠牲にしてエンデュランス号の推進力を上げる」という「運動の第三法則」のシーンでは、TARSは犠牲になります。
その時の、ジワジワとTARSに寄っていくカメラ。
ただのロボットなのに、まるでTARSが意を決したような、そして死を覚悟したような、そんな力強さが感じられました。
「マン博士」という最高の存在
そもそも宇宙旅行系の映画において、「目的地には消息不明の先駆者がいる」という展開は王道です。
2019年に公開された「アド・アストラ」というブラピ主演の宇宙映画も、16年前に消息を絶った父を探しに宇宙を旅するし、僕が大好きな「サンシャイン2057(2007)」も、7年前に消息不明となった「イカロス1号」が登場します。
「イベント・ホライズン」や、宇宙映画じゃないにしても、「アナイアレイション(2018)」という作品も、前任の部隊が残した遺留品を伏線とし、風呂敷を広げながら物語が進みます。
それだけ「先駆者との遭遇」はワクワクする。
そして本作では「マン博士」がそれに当たります。
だからマン博士がコールドスリープから目覚めた時、本当に不思議な気分になれました。
誰に感情移入すればいいのか分からない、ミステリアスで不思議な時間。
そしてマン博士が「敵対する為の動機」も宇宙映画らしくて好き。
「莫大な時間」により当初の哲学が変わり、主人公グループと敵対する。
我々にはマン博士が弱く、卑劣な人間に見えるけども、その境遇を考えたら「まぁ、仕方ないかな・・・」と思えるような、そんなバックボーン。
マン博士の敵対動機はそう珍しいものでも無いし、展開的にも読めたのですが、彼の存在は凄く心に残りました。
“五分五分か。この星に来て最高の確率だ。”
「ツッコミどころ」に気付かせないノーラン監督の手腕に拍手
ノーラン監督の作品はどれも「時間」をテーマにしたものが多く、また、「どんでん返し」系の展開も多いですね。
本作に「どんでん返し」と呼べるものはありませんが、それでも伏線はしっかり回収され、とても高い満足度を得た状態でエンドロールを迎えることが出来ます。
ただし、映画におけるツッコミどころは、製作陣より知識が上回っていたらどうしても発生します。
ありがたい(?)ことに僕は頭が残念なので、特にこの手の理系映画はツッコミどころを気にせずに楽しむことが出来ます。
しかしそれでも二度三度と鑑賞すれば気付きます。
でも「ツッコミどころ」は、基本的に初見で気付けなければ良い。
ノーラン監督の作品はどれも確かにツッコミどころがありますが、「それを悟らせない作り」をしています。
【感想】「インター・ステラー」の魅力5個。宇宙映画の神髄:評価・まとめ
90点
長いので疲れる作品ですが、見終えた後に力が抜けるような、いや、逆にエネルギーが沸き上がるような、そんな不思議な気持ちになれる「これぞ映画」と言うような映画でした。