超巨大な洞窟に閉じ込められるアウトドアサバイバル映画「サンクタム」を鑑賞しました。(二度目)
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。
本作は、作品パッケージ等から「ホラー」と勘違いされがちですが、モンスターやゴースト的な物は一切登場しません。飽くまで自然の恐怖を描いた作品です。
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予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2011年 |
---|---|
原題 | Sanctum |
上映時間 | 109分 |
製作国 | アメリカ・オーストラリア合作 |
監督 | アリスター・グリアソン |
脚本 | アンドリュー・ワイト、ジョン・ガーヴィン |
ジャンル | アクション、ドラマ、サバイバル |
主要キャスト |
リチャード・ロクスバーグ リース・ウェイクフィールド アリス・パーキンソン ダン・ワイリー ヨアン・グリフィズ |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
南太平洋パプアニューギニアにある孤島の洞窟を探検していたベテランダイバーたちは、探検中に巨大サイクロンに遭遇。チーム一丸となって洞窟からの脱出を試みるが……。
魅力
①壮大な自然の「美しさ」と「猛威」が同時に観れる
②探検に人生を捧げてきた父親「フランク」と、その息子「ジョシュ」の家族愛
③度々登場するアウトドアシーンでのサバイバル術
【ネタバレ無し】感想
ブログを書き始める前に一度鑑賞したことがあったのですが、その時はめちゃくちゃ泣きました。
今回は二度目の鑑賞ということもあり、涙腺はそこまで刺激されなかったのですが、それでもやっぱりジーンとします。
2011年という若干古い作品のせいか、今観ると若干古さを感じます。
そこまで古い作品では無いのですが、本作は非常にファミリー向けな印象の強い作品なので、そういうところでの「トレンド追ってる感」がある為に古く感じるのかもしれません。
「ファミリー向け」と書きましたが、グロいところはちゃんとグロいです。
死体や怪我の描写は凄くグロテスクで、更に隠さずにしっかりと映し切る為、その辺りは結構注意が必要。
世間では星3つ(5つ中)というそこそこな評価が多いですが、個人的には相当面白い作品でした。
【ネタバレ有り】感想
※ここからネタバレを含みます。
良い点:展開が面白くてグイグイ引きこまれる
まず、本作は結構早い段階でトラブルが発生し、死に直面します。
そしてそこから、一気に「生死のサバイバル」が始まり、登場人物たちは一人ひとり減っていきます。
死に方はもちろんですが、ちゃんと生き延びようとするための工夫も凝らされており、おかげで観ていて全然飽きず、最後まで気持ちよく鑑賞できました。
良い点:ジョシュとフランクの親子愛の描き方が良い
冒険家の「フランク(リチャード・ロクスバーグ)」と、その息子「ジョシュ(リース・ウェイクフィールド)」。
この二人は序盤は非常に仲が悪く、脇役たちも、ジョシュに対しては「フランクは本当に凄い冒険家だ」と言い、フランクに対しては「ジョシュは良い子よ。休ませてあげて」と言うなど、それぞれに対して諭してあげていました。
そしてそんな二人が、「洞窟内に生き埋めになる」というトラブルを通じ、互いに親子愛を深めていく。
ド定番の流れではありますが、この展開に一切の無理が無く、その後に迎える「親子のラスト」は本当に号泣モノです。
ここは明らかに「お涙頂戴」なシーンではありますが、鑑賞者はガッチリと心を掴まれているので、置いてけぼりを食らうことなくしっかりと心を動かされます。
良い点:「悪役」が一人もいない
洞窟の探検、研究に投資している「カール(ヨアン・グリフィズ)」と、その彼女「ヴィクトリア( アリス・パーキンソン)」だけ若干イラっとするポイントがありますが、それでも全然彼らの心境を理解できます。
本作のレビューで、「ヴィクトリアがウェットスーツを着ないと喚いてめっちゃムカついた。死んで当然。」というコメントをやたら見かけました。
確かに、他の登場人物皆がヴィクトリアの事を思って言っているのに、ヒステリー気味にそれを全否定するヴィクトリアには腹が立ちました。
でも、ヴィクトリアはダイバーとしては初心者という設定なので、あのリアクションは全然納得できるし、製作陣も明らかに鑑賞者が腹を立てるように仕向けています。
そして「カール」は、もう演技が完璧。
この手の映画では、スポンサー役は金の事しか考えないド屑が多いですが、カールはアウトドア経験も豊富なようで、フランクの凄さをちゃんと知っています。
カールは後半になって豹変しますが、それは「ヴィクトリアの無残な水死体」を見たからであり、かなり納得の行く流れでした。
特に、カールが涙目のまま洞窟を進むシーンは、一瞬「ドキュメンタリーを見ているのか」と勘違いする程にリアルで、素晴らしいものでした。
他のキャラクターも全員分かりやすい程に善人であり、恐怖の対象を、飽くまで「自然」のみに限定しています。
良い点:見終えた後に、資源の大切さを痛感できる
特に「電気」に関する大切さが身に沁みました。
本作は「明かり」の減らし方が完璧です。
まず、登場人物たちは全員ライトを持っているので、中盤は普通に明るい映像が続きます。
しかしフランクが「電池を節約しよう」的な事を言うので、そこから若干電気を意識した展開が続きます。
そして、フランクとジョシュが二人になった時、いよいよ電気が消えます。
洞窟の中なので真っ暗闇。
そこでフランクは、腕時計のライトを使い前方を照らし前へと進みます。
そして「ここで一旦休もう」と言い、フランクは腕時計のライトも消します。
真っ暗闇になるはずなのに、薄っすらと周りが見えることに気付く。
ここで彼らは「出口が近い」と気付き、希望を感じつつ更に前へと進みます。
映画なので「可能な限り盛り上げる」というのは当然のことですが、「電気が全部切れてから出口の存在に気付く」という絶妙なポイントにカタルシスを覚えました。
他にも、食料や酸素についても貴重さを再確認できました。
評価・まとめ
80点
洞窟探検の怖さを教えつつも、鑑賞しながら「洞窟を探検してみたい」と思わせる程に美しい作品でした。
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