「VR ミッション:25」というB級臭ハンパない映画を観ましたので感想を書きます。
通例通り最初にある程度の感想を言っておきますが、「そこそこ面白い」です。
「とりあえず暇だから観たいけど、クソ映画だったら嫌だな」と考えてレビューを彷徨っている方は、とりあえず観賞してみてもいいかもしれません。
※当記事は途中からネタバレを含みます。その前に「次からネタバレ」と書いてます。
「VR ミッション:25 評価」
「VR ミッション:25 感想」
「VR ミッション:25 レビュー」
などのワードで検索される方におすすめです。
目次
作品情報
公開年 | 2016年 |
---|---|
原題 | The Call Up |
上映時間 | 90分 |
製作国 | イギリス |
監督 | チャールズ・バーカー |
脚本 | チャールズ・バーカー |
ジャンル | SF、アクション |
主要キャスト |
マックス・ディーコン モーフィッド・クラーク アリ・クック |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ
最新型バーチャルゲームの体験版をプレイすべく集まったすご腕ゲーマーたちが、実際の戦闘に巻き込まれていく様子を描くアクションスリラー。最新鋭のテクノロジーを駆使したゲーム体験への招待を受けた男女が、武器を手にしてテロリスト相手の過酷なサバイバルを繰り広げる。監督は、本作が長編デビュー作となるチャールズ・バーカー。『イントゥ・ザ・ストーム』などのマックス・ディーコンや、『アノマリー』などのアリ・クックが出演。
Yahoo映画のあらすじでは「すご腕ゲーマーたちがうんたら」と書かれていますが、ハッキリ言って登場人物たちの行動は下の下です。
ツッコミところ満載で危機感の無いプレイスタイルに「本当に凄腕ゲーマーか?」と疑ってしまいます。
ゲームの定義
今一度ゲーム内のルール、定義をおさらいしてみます。
ゲームの目的は「ビルを制圧すること」
プレイヤー達は高層ビルの25階からプレイ開始します。
そして各フロアごとにテロリスト(CPU)がおり、彼らを殲滅しつつフロアを降りていくというミッションです。
一応途中で「地下室に爆弾が仕掛けられ、それを解除しなければ全滅」というミッションが登場します。
敵の銃弾は腹部にしか食らわない
ゲーム自体は全身で体感するものですが、被弾は腹部のみのようです。
少なくとも腹部以外に被弾する描写はありませんでした。
そして被弾した箇所は、VRアーマーによってひどく圧迫されるためか激痛が走る仕組みのようです。
その圧迫する仕組みを組み込んでいるのが、恐らく胴体のアーマー部分だけなんでしょう。
実際にアーマーを見ても、胴体部分以外に圧迫できる仕組みが組み込まれているようには見えません。
胴体とヘルメット以外はタイツです。
被弾後、数分経過すると死亡する
ミッション25では、「メディパック」という回復アイテムが登場します。
7人のプレイヤーに対し、画像の通りメディパックが7本配布されますから、ゲーム開始直後は一人1本所持しています。
被弾後、できるだけ早くこのメディパックを使わないとプレイヤーは死んでしまいます。
失血による死亡ではなく、ヘルメットから電気的なものが流れて殺されるようです。
同じフロアに居続けたら敵が復活する
プレイヤー達が怖気づいて同じフロアにいつまでもいないようにする為か、一度倒した敵もしばらく経つと復活するようになっています。
ヘルメットの装着に関わらずゲームは進行する
最初に殺された黒人兵士がそうでしたね。
ヘルメットを外して鏡を見ていると、敵が接近する音がして慌ててヘルメットをかぶるも間に合わず撃たれる。
ルール説明が無くて理不尽な気もしますが、これ系の映画は、序盤は理不尽な理由で人が死んでなんぼです。
段々ルールを理解していくのが「不条理サスペンス」の醍醐味ですよね。
まぁゲームに関してはこんな感じでしょうか。
では個人的な評価を語っていきます。
感想:演技
及第点は超えています。
演者1人1人に個性があり、B級映画特有の「誰が誰だか分からない」という事故が起きません。
個人的に好きだった俳優さんは、主人公格の「ソックス(マックス・ディーコン)」でした。
かっこいいですね。
彼は「フリーター枠」です。
どの映画にもいますよね。
基本的になよなよしてるけど最後に良いところを見せるみたいな。
正にそれです。
そしてマックスはその枠がピッタリ似合う。
ここは脚本が上手いおかげでもありますね。
マックスの演技はとても素晴らしく、特に「傷を負った後に嘔吐するシーン」は最高でした。
本当に気分が悪くなってる感じが伝わってきました。
他の演者さんたちも演技力は非常に高く、「仮想世界であること」を感じさせない素晴らしいものでした。
VRをテーマにした映画だからこそ、演技力の高い役者で臨場感を演出する必要があり、本作は見事にそれに成功してます。
※事項から本格的なネタバレを含みます。
感想:脚本
残念ながら本作にはストーリーと呼べるものがありません。
「不条理なゲームに参加させられる系映画」は、基本的に「運営者の目的はなんだ?!なんで俺たちなんだ?!」というのをテーマにしているものが多く、そこの設定さえユニークなものを用意しておけば割かし楽しめます。
もちろん僕も黒幕の存在について期待しました。
誰がこんなハイスペックなゲームを用意できるんだ?
何の目的があるんだ?
気になるラスト。
なんと、全貌は明かされませんでした・・・。
だからそこは鑑賞者が補完するしかありません。
もしこれが哲学的メッセージを含んだSF作品ならともかく、不条理サスペンスなんだから是非とも終盤のケアは怠らないで欲しいところです。
本作は非常に低く評価されていますが、その原因はこの「何も解決しないラスト」です。
マジでもったいないですね。
しかし矛盾しているようですが、最後まで飽きずに鑑賞できたのはそこそこ脚本が良かったからでもあります。
脚本に関してはそこまでずば抜けたものでは無いですが、上から目線な言い方をすれば「及第点は超えている」といったところです。
感想:演出
CGは素晴らしいですね。
「仮想空間という設定なんだから、適当なグラフィックでいいだろう」なんて妥協は一切見えません。
逆に、「仮想空間という設定だからこそ、本物と見まごうようなリアルな映像を見せよう」という製作陣の意志が垣間見えます。
プレイヤーの死なせ方も多少こだわっているようです。
僕が本作にそこそこ高い評価をくだしたのは、正にこの「死なせ方」にあります。
もしこれが、本当に勘違いしたZ級作品なら、全員普通に敵に撃たれて死んでいたことでしょう。
もちろんプレイヤー達は敵に撃たれて死ぬんですが、死に方にもちゃんとある程度の工夫が施されています。
それらも全て在り来たりではありますが、王道特有の安心感というものがあり、中々飽きずに最後まで観れました。
評価
50点
悪くない映画でした。
ラストさえしっかりしていれば、鑑賞後の満足感も生まれて80点くらいにはなっていたかと思います。
途中で、「もしかして黒幕こいつなんじゃね?」という伏線がありながら、見事にそれを裏切りつつの「どんでん返し」があって、そういうのは割と良かったですね。
でもまぁ「黒幕」に関する伏線がほぼ無かったのが惜しい。
もしかしたらしっかり鑑賞すると伏線があったのかもしれませんが、もう一度見たいとは思いません。
ラストも、黒幕がやたら「俺たちは戦友だ。俺たちは絆があるだろ?」というだけで、何が目的かは明かしませんでした。
もしかして続編を作る気でしょうか?
余談ですが、僕は本作をネットフリックスで見ました。
ネトフリ内のレビューで既にボロッカス言われており、本来ならその時点で見ないようにしてるのですが、今回は試しに見てみましたw
その結果割と嫌いじゃなかったので、レビューだけにとらわれず、実際に自分で確認するのも大事だなと痛感しました。