善人な老人たちが、自分の年金を取り返すために銀行強盗をする映画「ジーサンズ はじめての強盗」を鑑賞しました。
いつも通り未鑑賞者のために簡単な情報、ネタバレ無し感想を書いてから本編の評価を書いていきます。
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作品情報
公開年 | 2017年 |
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原題 | Going in Style(訳:「かっこよく行こう」など) |
上映時間 | 96分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ザック・ブラフ |
脚本 | セオドア・メルフィ |
ジャンル | コメディ |
主要キャスト |
モーガン・フリーマン マイケル・ケイン アラン・アーキン アン=マーグレット ピーター・セラフィノウィッツ |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
補足 | 「お達者コメディ シルバー・ギャング」(1979)のリメイク作品 |
あらすじ
平和な老後生活を送る長年の友3人。だが突然会社の合併で、頼りの年金が打ち切りに。銀行に冷たくあしらわれた3人は怒りと絶望の末、まさかの銀行強盗を企てる。
引用:Netflix
ローンの金利が上がったことに納得が行かず銀行員に詰め寄るジョー(マイケル・ケイン)。
するとそこに3人の銀行強盗が。
彼らは非常に手際が良く、そしてジョーには優しかった。
「お年寄りを敬うのは社会の義務だからな」とまで言っており、これを機にジョーは銀行強盗を企てる。
【ネタバレ無し】感想
スパイものでは無いですが、ちゃんと計画が立てられ、スリリングなシーンもたくさんありました。
単なるコメディ映画では無く、涙を誘うシーンもあります。
モーガン・フリーマン
マイケル・ケイン
というどちらかと言うとシリアス系の作品で味を出す二人が出ているのも凄く良かったですね。
作品に深みが生まれました。
トリックというか、強盗シーンとそのプラン、種明かしなどがしっかりしており、まるで「グランドイリュージョン」を想起させます。
それくらいの脚本の構築度です。
ラストも温かい気持ちになれる、非常に素晴らしいものでした。
※次項からネタバレを含みます。
【ネタバレ有り】感想
感想:演技
僕はめったにコメディ作品は見ませんが、それは「わざとらしい演技が苦手」だからです。
例えば、驚く時に眉をわざとらしくひそめたり、わざとらしく怖がったり、そういうのがちょっと苦手です。
しかし本作は、主役がグラミー賞受賞歴があるおじさん方です。
わざとらしい演技なんて一つもありません。
ウィリー・デイビス扮するモーガン・フリーマンは、どの作品でも使っている「ニヤケ顔」を本作でも披露してます。
なんかね、モーガンのこのニヤケ顔が凄い好きなんですよw
ショーシャンクの空に(1994)とか、シリアス系の作品で主人公に何かを諭させた後に見せるこのニヤケ顔。
このニヤケ顔だけでとてつもなく心が揺さぶられます。
本作は、「わざとらしい演技をするのは脇役だけ」にとどまっているようで、主人公3人はどちらかと言えばツッコミ担当です。
この采配は良かったと思います。
脇役の若い人たちだけにコメディーリリーフを担当させ、主人公たちはちょっぴりシリアスに問題と向き合う。
観やすくてグッと来る構図でした。
感想:脚本
コメディーのぶっ飛び展開に逃げることなく、きっちり構成されていました。
まず面白かったのが「強盗のプラン」です。
スパイ映画のようにちゃんと計画を立て、それをしっかり実行します。
面白いのは「取り調べシーン」ですね。
個人的には本作のピークだったと思います。
主人公たちは強盗前にとあるギャングにレクチャーを受けるのですが、そこで「何より大事なのはアリバイ作りだ」と習います。
そこで覚えた通り、主人公たちは強盗当日、あるチャリティーイベントに参加します。
そこで計画通りに行動しアリバイを作り上げます。
取り調べの弁明中にその回想シーンが挟まれるのですが、「俺たちはこうやって裏をかいた」というのが鑑賞者に明かされるので、凄いカタルシスがありました。
トリックにちゃんと筋が通ってたのもポイント高いです。
更に更に、大ドンデン返しもありました。
全く予想してなかっただけにかなり興奮しましたね。
終盤での意外なドンデン返し
最後、ジョー達に強盗をレクチャーしたギャングの「ヘスース(ジョン・オーティス)」は、資金洗浄を終わらせ、しがないカフェで金の受け渡しをします。
その時に、「お年寄りを敬うのは社会の義務だからな」と言います。
これは、最序盤に登場し、ジョーに同じ言葉を浴びせた強盗と全く同じセリフです。
ここでジョーは気付きました。
ヘスースこそあの強盗だったのだと。
伏線回収はまだありました。
ジョーは最初に強盗と話した時、強盗の首にタトゥーがあるのに気付きました。
警察の被害者聴取でその事を話し、警察はタトゥーをヒントに捜査を進めていました。
しかし、今のヘスースにはタトゥーはありません。
当然ジョーは、「タトゥーはどうした?」とヘスースに聴きます。
「ヘナで書いたんだ」と答えるヘスース。
ヘナとは髪染めなどに使われる原料です。
ヘスースは続けてこう説明しています。
「一番目が悪そうな人を選んで、強烈な印象を残しておく」
そう。ジョーは最初からカモにされていたのです。
こういう「予想外のところでのドンデン返し」は本当に気持ち良いです。
「強盗が実はヘスースだった」というのは、本筋には一切影響を与えないおまけみたいな展開ですが、この展開があるか無いかで快感度が大きく変わります。
ヘスースの立ち回りはまだまだ続きます。
2人が会話してるカフェに、なんとFBI捜査官がやってきます。
そして、ヘスースが持ってきた「犬用のキャリーケース」を覗きます。
もちろんそこには、犬だけじゃなく、「資金洗浄後の大金」も隠されています。
それに気付かれるのではと落ち着かないジョーとヘスース。
しかしヘスースはちゃんとこの事も警戒していました。
FBIも少し疑いながらケースを覗き込んだはずですが、さすがにこんな場所にあったら気付きません。
最後の最後まで鑑賞者へのサプライズを怠らない素晴らしい展開です。
この時に流れる大げさな音楽も、「グランドイリュージョン」っぽくて好きです。
評価・まとめ
80点
最後まで集中して楽しむことが出来ました。
大御所の演技は一つ一つに深みがあって、最後まで吸い込まれるように見てしまいました。
邦題がクソダサなのが解せませんが、確かに原題の「Going in Style」は日本ではとっつきにくい英文ですね。
でも、「老人たちが強盗するコメディー映画なのに、”Going in Style”というクール目のタイトル」という皮肉も面白い要素だったので、邦題で「内容通りのクソダサタイトル」にしたのはちょっと惜しいなと思います。
本作は「大御所俳優」×「コメディー」という組み合わせのおかげで、映画史に残る伝説的なキラーシーンを生み出しました。
それがこれです。
アホです
走って逃げられないからと電動カートを盗みますw
笑ってしまう程では無かったですが、かなりの力強さを感じる絵面でしたw
ラストもきれいにまとまっており、非常にハートフルな作品でした。
明るい映画が観たい!という方はぜひ見てみてください。
今ならネットフリックスで鑑賞できます。