待ちに待ったボイル監督の名作「28日後」の正統新規作「28年後」を鑑賞しました。
というわけで本日は、「28年後」の魅力やみどころを、感想含めて思う存分語っていきたいと思います!

当ブログの映画記事は、序盤は「魅力やみどころ」について紹介している為、「どんな感じの映画か?」を知りたい人はそこまでお読みください。
後半は「考察」や「ネタバレ」を含みますが、その直前に「※ここからネタバレを含みます」と書いてるので、ネタバレが気になる方はその直前までお読みください。
目次
予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2025年 |
---|---|
原題 | 28years-later |
上映時間 | 分 |
製作国 | イギリス |
監督 | ダニー・ボイル |
脚本 | アレックス・ガーランド |
ジャンル | ホラー、サバイバル |
配信サイト・媒体 | 劇場公開中(執筆時点) |
ネタバレ無し感想
残酷で苦しすぎる冒頭。
サバイブシーンは多いが、そこに関する主人公グループの頼りなさ。
脇役に生き残ってほしいとちゃんと思える丁寧な心理描写・展開。
全体的に漂うどこかメランコリックな雰囲気。
そして過去作へのオマージュ。
BGMだったりカットシーンだったり、過去作を知っているとより楽しめる、というかエモくなれる。
しかしながら「面白くない」「何を観せられているか分からない」というレビューも良くわかる。
本作は確実に賛否両論系の評価になる。(実際にGoogleレビュー等もそう)
カメラワークと言い選曲と言い、とにかくスタイリッシュでシュール。
過去作や、同じボイル監督で本作と同じように「展開が突然過ぎてハマれない」というレビューの多かった「Sunshine 2057」と同様。
「ハマれない」というレビューも分かるし、僕のように刺さる人には深く突き刺さる。
(過去作「28日後」の大ファンなので、中立性は完全に捨て去ったレビューです。)
グロシーンや残酷なシーンが多く、また今回は「家族」がテーマの一つとなっており、そこに関する見苦しさも詰め込まれていました。
ただ、そういう苦しさや、時折魅せる「バイオハザードのセーブ部屋」的な「安堵シーン」の緩急が非常に美しく、僕はエンドロール後に立ち上がれなくなるくらい心を揺さぶられました。
前提を知っておかないと楽しめないかも
「ホラー」と思って鑑賞したら実は「サスペンス」だった。
ってなったら、なんか肩透かしを食らった気分になりますよね。
ボイル作品ってなんか総じてそういう複雑さを感じます。
「Sunshine2057」も、序盤は「アルマゲドン」みたいな雰囲気を出しつつ後半はホラー系の雰囲気にシフトするので、本作同様「何を見せられているか分からない」というレビューで溢れていました。
本作で肩透かしを喰らわないために、次の2つを知っておいてください。
・本シリーズは3部作になる想定
「アナイアレーション」や「エキス・マキナ」で監督を努めた「アレックス・ガーランド」が脚本を努めています。
ガーランドとボイルのコンビ作品は、「哲学的な脚本」「アート寄りのカットシーン」という共通点があり、「大衆向け映画」というより「センス系」であると思います。
(なのでそのセンスに引っかからなかったらハマれない)
とにかくただの「怖がらせるゾンビ映画」じゃない事は知っておいて欲しい。
そしてもう一つ、本作は3部作になる予定なので、全ての伏線を回収して終わるわけではありません。
ちなみに既に2作目の撮影も終わっているようで、3作目は本作の興行収入次第で製作されるそう。
このあたりの前提知識があれば、見終えた後に不満が残ることは少ないかなと思います。
※ここからネタバレを含みます。
【ネタバレ有り】感想
過去作とのストーリー上の繋がりはほとんど無いですが、過去作も鑑賞していた方が絶対に面白いです。
「28日後と言えば」なあの重苦しいメインテーマこそ使われませんでしたが、分かる人には分かる曲が起用されていたりします。
私は2年に一度ペースで過去作を見ていたので良く憶えてます。
やっぱりこういう「記憶の掘り起こし」って「エモい」んですよね。
だから過去作も心に残っていた方が楽しめるはずです。
登場人物の感情に焦点を当てている
※過去作のネタバレ含みます。
シリーズ2作目「28週後」のネタバレになるのですが、あれは「主人公家族の自分勝手な行動によって
自体が悪化」していました。
レビューでも「ガキどもが自分勝手過ぎて見ていてムカついた」と溢れていました。
もちろんその自分勝手さは私も分かりますが、かと言って違和感は感じませんでした。
当時私が10代だったからというのもありますが、「子どもが母親に会いたいという気持ち」は強いです。
その目的のためには手段は厭わない。
私もそうすると思います。
本作も同様に、主人公「スパイク」と、精神的な病状を抱えている母「イスラ」の関係、感情は非常に丁寧に描かれており、「スパイク」が無謀な行動に出る理由も私はちゃんと理解できます。
「スパイク」の感情が爆発する理由も十分分かるし、登場人物同士の溝が深まる気持ちもよく分かる。
父親の「ジェイミー」が若い女に走るという半ばありきたりな展開も、大人の男のワタシにはそれも分かる。。。
そうやって家族間の溝を深めることで自体を悪化させる。
下手なホラー映画はその展開が無理やりでついて行けなかったりしますが、本作において、そのシチュエーション作りは非常に丁寧だったと思います。
美しい映像で魅せる
本作を見ていて想起したのは、過去作ではなく「トレインスポッティング」でした。
スタイリッシュな映像の中に漂うメランコリックな雰囲気。
「どんな幼少時代を過ごしたか」で解釈が変わるかもしれませんが、ボイル監督が作るビジュアルには、私はどれも「懐かしさ」を感じます。
特に、時々訪れる「安堵シーン」ではそれが良く分かる、刺さる。
戦争を想起させる
序盤、潮が引いた時のみ現れる一本道を渡って本土に向かう際、中世の戦争映画のような映像がサブリミナル的に使われて、重厚な音楽も流れました。
ボイル作品を知らない人は「は?」となる演出だったと思います。
私は「28日後」の監督コメンタリーも見るくらい本シリーズのファンなのですが、そのコメンタリーの中で、ボイル監督もガーランドも「戦争」について熱く語っていました。
その「戦争」というテーマについて、本作は一番強くアプローチしていたと思います。
脅威が蔓延る世界において、まだ12歳という子どもにも関わらず無理やり成長しないといけない「スパイク」。
その中で当然失敗もして、事態の悪化に繋がる。
「サバイバルホラーというジャンルを通して、戦争の過酷さを見せつけている」のだと解釈しました。
【28年後/感想】待ちに待った名作映画の続編【95点】:評価・まとめ
90点
「28日後好きだったから、28年後もレンタル落ち(サブスク落ち)したら見ようかな」と思っている方。
本作の観客動員数次第で続編の有無が代わりますので、是非映画館で見てください。
「28日後」を、単純なホラーとしてではなく、「狂気の世界で人間がどう変化するか」に焦点を当てた作品だと知っている方は、きっと楽しめるはずです。
感染から28日後、28週後——。急速に広がった未曾有のパンデミックにより、文明は崩壊。 <感染者>は人間性を無くし、人間ではないものに変わり果てた。