外科医の父が務める病院へ、ボコボコにされて瀕死となった息子が運ばれる・・・
Netflixオリジナル作品「息子のしたこと(原題:YOUR SON)」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。
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予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2018年 |
---|---|
原題 | YOUR SON |
上映時間 | 103分 |
製作国 | スペイン |
監督 | ミゲル・アンヘル・ビバス |
脚本 | ミゲル・アンヘル・ビバス、アルベルト・マリーニ |
ジャンル | サスペンス |
主要キャスト |
ホセ・コロナド アナ・ワヘネル アシア・オルテガ ポル・モーネン エステル・エスポシト |
配信サイト・媒体 |
Netflix独占 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
クラブの外で襲われひん死の重傷を負った息子のために、外科医の父は暴行に加担した者たちへの復讐(ふくしゅう)を誓い、自らの手で犯人を突き止めようと動き出す。
魅力
①地味だが重厚感がある演出とストーリー
②「ハイメ・ヒメネス」役の「ホセ・コロナド」の葛藤の演技が渋い。それを見せる演出も渋くて良い
③芸術的な構図が多く、視覚的に癒される
気になる点
・比較的現実的で重いストーリーなので仕方ないが、エンディングを迎えた時点で何も解決しておらず、盛り上がりに欠ける
・邦題は、タイトルが重大なネタバレに繋がってる
・一つ一つのカットがえらく長尺。だからこその重み・緊張感があるが、退屈を感じる部分もある
【ネタバレ無し】感想
「我が子がボコボコにされて昏睡状態になる」
このような状況に直面したら、親であれば誰でも取り乱すはず。
その辺りの葛藤、絶望、苛立ちをしっかり体感出来ました。
そこに派手さはありません。
「我が子が殺されて親が復讐に出る」という類の作品は、親が殺し屋だったり、スパイだったりと、「無双」して敵を駆逐する環境が整っています。
しかし本作のパパ「ハイメ・ヒメネス(役:ホセ・コロナド)」は、一般的な外科医で凡人。
そんな彼が徐々に踏み外していく姿はリアリティがあり、地味ながら重みも感じられます。
本作は「なぜ息子がこんな目にあったのか」と「復讐」以外のサイドストーリーは一切ありません。
しかもメインのシナリオも想像した通りに進むので、正直なところ目新しさもありません。
ですが退屈なシーンもあまりなかったので、ネットフリックスを契約してる人にはお勧めできるかなと思います。
良い点:「ハイメ・ヒメネス」役の「ホセ・コロナド」の葛藤の演技が渋い
渋くて味のある役者さんです。
本作は「彼の渋さ」を思う存分堪能できます。
カメラワーク等も明かにそれを意識しています。
屋上での喫煙シーンなどもとても味がありましたね。
【ネタバレ有り】感想
※ここからネタバレを含みます。
ラストまでのザックリストーリー
・居ても立ってもいられなくなったハイメは、「メス」をポケットに忍ばせ、息子「マルコス」をボコボコにした奴らの一人「ラウル」を追って例のクラブへ。
・ハイメは、トイレの個室に入った「ラウル」が出てきた瞬間を襲い、「ラウル」をメスで刺し殺す。
・衝動的な殺人だったためか、ハイメはしばらく動揺する。
・その後こっそりクラブから抜け出し、帰宅しそのまま血を洗い流す。
・翌日、娘の「サラ」と息子の元カノ「アンドレア」が神妙な面持ちで話をしており、ハイメはそこに近寄る。
・サラがアンドレアのスマホをハイメに差し出し、「その動画を再生してみて」と言う。
・動画を再生すると、そこには「アンドレアを集団レイプするマルコス」が映っており、これが原因でマルコスはフルボッコに遭ったのだと知る。
・いろいろな思いが押し寄せ動揺するハイメだが、アンドレアに対し「これは愛情表現だ」と、苦し紛れにマルコスの行為を正当化しようとする。
・その場を立ち去ろうとする「アンドレア」だが、ハイメにスマホを奪われてしまう。
・ハイメはまだ昏睡状態の「マルコス」の元を訪ね、なんとも言えない表情をしエンドクレジットへ。
なんとも重苦しいオチでした。
Netflix独占作品として「13の理由」というドラマシリーズがありますが、こちらも本作と同様「性的暴力」を取り扱っており、更に「女性側に救いが無い」という点でも似通っています。
「13の理由」は若者視点で描かれるのに対し、「息子のしたこと」は犯人の父親目線で描かれます。
13の理由では、主犯の「ブライス」が恐ろしく憎らしく思えましたが、本作では父親目線で話が進むので、主犯の「マルコス」をそこまで糾弾できないような、なんとも複雑な心境になりました。(もちろんボッコボコにされているのもあるが)
ラストでハイメは、計画的では無い感じで「ラウル」を殺害しました。
だからまず間違いなく逮捕されることでしょう。
殺害はすぐにバレると思いますが、娘のサラや妻のカルメン、そして世間にそのことが知られる前にエンドクレジットに突入しました。
良い意味で、後味の悪い作品です。
悪い点:邦題はタイトルが重大なネタバレに繋がってる
原題は「Your Son」です。
英語圏での日常的なニュアンスは分かりませんが、ググってみたら普通に「御子息、御子息様、坊ちゃん」などの訳が出てくるので、本作のタイトルもそういう意味合いだと捉えて良いでしょう。
対して邦題の「息子のしたこと」は完全にネタバレです。
正直、本作を鑑賞する前は「序盤で息子が何かをしでかし、それによって主人公が苦しめられるんだろうな」と思っていました。
しかし「息子が何をしたのか」は、最後に「どんでん返し」的な感じで知らされます。
なぜタイトルでネタバレするのか意味が分かりません。
確かに普通に見ていたら、「マルコスの友達や元カノの様子がおかしいし、マルコスが何かしでかしたんだろうな」という事は察しがつきます。
でもタイトルでそれを宣言されたら冷めます。
時として「終盤でタイトルを回収する」という展開がグッと来る場合もありますが、原題が「Your Son」であることを考えると「無駄に解説しちゃった邦題」は割と残念ポイントです。
評価・まとめ
50点
悪くない作品でした。
「葛藤するおじさんの演技」が好きな人には楽しめると思います。
割とそういうフェチがある僕には楽しめました。
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