2008年に公開されたホラー作品「デッド・サイレンス」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。
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予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2008年 |
---|---|
原題 | Dead Silence |
上映時間 | 89分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ジェームズ・ワン |
脚本 | リー・ワネル |
音楽 | チャーリー・クロウザー |
ジャンル | ホラー |
主要キャスト |
ライアン・クワンテン アンバー・バレッタ ドニー・ウォールバーグ ボブ・ガントン マイケル・フェアマン |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
差出人不明のトランクを受け取ったアーシェン夫妻。開けてみるとそこには1体の腹話術人形が。外出した夫ジェイミーが帰宅すると、なんと妻が舌を切られて死亡していた。
魅力
①大人気ホラーシリーズ「SAW」の製作陣が携わっただけあって、ただのホラーではなく深いサスペンス要素が含まれている
②セットにこだわりが感じられる
③怖さの中に絶妙にグロが織り込まれている(そこまでグロ押しじゃない)
【ネタバレ無し】感想
本作はオカルトホラーである為、いわゆる「不思議な力」により登場人物が殺されていきます。
しかし製作陣は、そういう「ファンタジー要素」が苦手な人の為の配慮も忘れてません。
ネタバレ回避の為に詳しくは書けませんが、特にラストで製作陣の「優しさ」を感じました。
とにかく「SAW」シリーズに似てる
SAWシリーズ大好きな僕にはヨダレもんです。
それくらい「SAW」っぽい作品です。
特に音楽はモロSAWですね。
SAWシリーズ特有の重厚感がある素晴らしい音楽です。
作曲家もSAWシリーズを手掛けた「チャーリー・クロウザー」で、挿入曲もSAWのクライマックスで流れる「Hello Zepp」的な何かを感じます。
Hello Zepp(SAWシリーズのテーマ)
Dead Silenceのサントラ
逆に重過ぎてこの手の「子供騙し系ホラー」には若干フィットしない気もしますが、それ以前に曲のクオリティーが高過ぎます。
高揚感が半端じゃない。
そして「演出」もSAWそのもの。
「控えめなSAW」とでもいいましょうか。
SAWシリーズは痛々しいシーンで細かい走馬灯的な演出を多用しますが、本作にもそれが若干使われます。
そしてそれがカッコ良過ぎて逆に本作に合ってない気すらします。
もうね、ここに関しては僕がSAWを好き過ぎる為に評価しようがありません。
【ネタバレ有り】感想
※ここからネタバレを含みます。
「超常現象により人が死ぬ」というファンタジー要素が強いホラー作品が実は苦手です。
本作は正にそれ系の映画なんですが、恐らく製作陣は「そういう男っぽい人でも見続けられる作品」になるよう意識したのでは無いでしょうか。
それくらい「下地(サスペンス)」がしっかりとしています。
また「リプトン刑事」のキャラ設定が素晴らしい。

彼はいわゆる「グチグチ言ってるダメ親父系刑事だけど仕事には忠実」というキャラで、めんどくさそうにしながらもちゃんと事件を追っかけます。
SAWで言えば、SAW2に登場した「エリック・マシューズ刑事」とキャラが似てますね。
本作のようなオカルト要素がある作品は、リプトン刑事のような現実主義者がストーリーに深く関わることでより一層面白みが増します。
リプトン刑事は中盤まで主人公「ジェイミー」と敵対する立場でしたが、最後の最後で共闘します。
この展開も熱いですね。
ラストで評価がグッと上がった
本作はラストに「どんでん返し」があります。
単なるホラーにどんでん返しがあるとは思ってもいなかった為、このどんでん返しがめちゃくちゃ心地良くてグッと評価が上がりました。
SAWシリーズに似てる似てると思いながらもSAW特有のどんでん返しの存在を忘れるとは、我ながら失態です。
「ビリー」を可愛がり過ぎる製作陣

SAWの看板「ビリー」。
きっとSAWの製作陣は、ビリー人形から本作の着想を得たんじゃないでしょうか。
にしても、まさか本作のメイン人形に「ビリー」という名前を付けるとは思いませんでした。
製作陣はビリーに恐らく相当な思い入れがあるんだと思いますが、個人的には例えば、「終盤で大量の人形が登場する際に、そのうちの一つの名前がビリーだった」みたいな、半ばイースターエッグ的な感じであしらい程度に隠されていたらより萌えました。
【ネタバレ有り】考察
何故「メアリー」が襲ってくる前には音が消えるのか
主人公の恋人(妻?)の「リサ」が家の中で体験した、ステレオの音がだんだん小さくなり、そしてお湯が湧き続けているのにその音だけが段々小さくなっていくという演出は、非常にクールでかっこいいものでした。
そんなわけで「デッドサイレンス」というタイトル通り、メアリーが攻撃してくる際には何故かターゲットの聴覚に異常が生じます。
しかし完全に音が聞こえなくなるわけではなく、その場にいる他者との会話等は可能なようです。
ぶっちゃけこの能力の意味が分かりません。
耳が悪くなるせいでターゲットが不利になるわけでも無く、かと言ってそういう過去がメアリーにあるわけでもありません。
メアリーはターゲットを抹殺する際に舌を抜きます。
そしてそれはメアリー自身が殺された際に舌を抜かれた為です。
メアリーには「復讐」という目的がある以上、「自分がやられた方法でやり返す」という手段を取るのは容易に想像できます。
しかし「聴力」に関しては一切説明がありません。
メアリーが特にそういう拷問を受けたわけでもなく、何故そんな能力が備わっているのかも謎です。(ここにツッコむのは野暮だが)
増してや「デッドサイレンス」とタイトルにまでなっているこの現象。
この現象には一体どんな意味があるんでしょうか。
結局勝利条件はなんだったの?
ジェイミーとリプトン刑事は、共闘して「メアリー・ショウ劇場」に格納されていた100体の人形を全て破壊します。
しかし肝心の「ビリー人形」だけが生き残っていた為、ジェイミーはそれを最後に破壊します。
ジェイミーがビリーを暖炉に投げ込む直前、窓から「メアリー」が入ってきて、あと少しで捕まる、というギリギリのところでビリーを見事破壊しました。
その直後、メアリーは悲鳴を上げながら後ろに下がっていきましたね。
そしてその後に衝撃的な大どんでん返しが発生するわけですが、だとすればジェイミーはどうすれば生き残れたのでしょうか。
恐らくメアリーの呪いからは永遠に逃れられないという設定なのかもしれませんが、「つまり〇〇すれば俺たちは生き残れる」みたいな勝利条件を明示してほしかった。
評価・まとめ
75点
サスペンス部分がしっかりした良作ホラー映画でした。
かっこいいホラー映画が好きな方におすすめです。
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