ネトフリ独占作品「CARIBRE(最悪の選択)」を鑑賞しました。
今まで鑑賞してきたネトフリ独占作品の中でも屈指の面白さです・・・。
(鑑賞直後に当記事を執筆してますが、ちょっと放心状態・・・)
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目次
作品情報
公開年 | 2018年 |
---|---|
原題 | Calibre |
上映時間 | 101分 |
製作国 | イギリス |
監督 | マット・パーマー |
脚本 | マット・パーマー |
ジャンル | サスペンス、ダーク |
主要キャスト |
ジャック・ロウデン(ボーガン) マーティン・マッキャン(マーカス) トニー・カラン イアン・ピリー キャメロン・ジャック |
配信サイト・媒体 |
Netflix独占 ※記事公開時の情報です |
あらすじ
男同士で狩猟を楽しもうとスコットランド北部へ出かけた幼なじみの2人。だが週末の旅はたちまち悪夢に転じ、人としての本質を揺るがす耐え難い試練が待ち受ける。
引用:Netflix
あらすじでは「耐え難い試練」としか書かれていませんが、ネトフリマイページで流れる宣伝動画を見ると実際に何をしたか明白です。
ですがその「何をしたか」を知らずに本編を観た方が楽しめるかもしれません。
本作が気になる方は、思い切って一切の情報を仕入れずにネトフリ検索窓から「最悪の選択」を入力し、そのまま鑑賞してみてください。
もちろん当記事もここから先を読まずに・・・。
【ネタバレ無し】感想
非常に良くできたサスペンスだと感じました。
心理描写の描き方が完璧です。
序盤の「運命の分岐点」では、鑑賞者である僕も「この立場だったら・・・」と確かに心が揺れ動く瞬間でした。
問題が起きた後の葛藤も良かったですが、それを乗り越えようとするための裏工作も見どころです。
※次項からネタバレを含みます。
【ネタバレ有り】感想
鹿ハンティングの最中、主人公の一人である「ボーガン」が人間の子供を誤射します。
するとその親がやってきて、絶望し、その場に落ちていた銃を取り、主人公を殺そうとします。(実際に撃とうとしてたのかどうか曖昧)
するとすかさず、ボーガンの親友である「マーカス」が親を撃ち殺します。
これが「耐え難い試練」であり、この後二人は「最悪の選択」をします・・・。
どことなく「古畑任三郎」を思い出させました。
古畑任三郎は「犯人側」に焦点を当てたサスペンスで、天才古畑がどのように推理し犯人に辿り着くかというプロセスが見所の倒叙(とうじょ)ものです。
僕は古畑シリーズが大好きですが、特に「古畑が真実ににじり寄ってきた時の犯人の演技」がすごい好きです。
古畑はわざと「・・・と推理してみましたが、どう思いますか??」と白々しく犯人に聞いてきます。
もちろん犯人はそれをやったのが自分だと知っているため、「バカバカしい!そんな事あるわけないだろ!」と焦りながらも否定します。
本作「Caribre」にはそんな有能な警察が出てくるわけでは無いのですが、「村人」が徐々に徐々に真実ににじり寄ってくるところは、本当にハラハラしました。
監督は、主人公への感情移入のさせ方が本当に上手いです。
久しぶりにここまで主人公たちを応援したくなる映画を観ました。
主人公に感情移入させるという事の大切さ
最近「トールマン」というホラー気味のサスペンス映画を観ましたが、あの映画は「鑑賞者に隠しておいた主人公の秘密」を序盤のドンデン返しとして使用していました。
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※関連記事は最後にまとめて紹介しますこういうのが僕は大嫌いです。
「大どんでん返し」は、主人公と共に味わうからこそ心地良いのです。
なのに、「主人公は実は知っていて、鑑賞者に向けてミスリードをしていただけ」という展開を多用するサスペンス作品にはウンザリします。
カイジやライアーゲームのように、主人公側が逆転する瞬間だけ敵側の視点になるような作りならOK。というか最高。
むしろ「観客の驚きを主人公が演技で表現してくれている」と思わせるくらい主人公に入り込める脚本が優秀です。
そう信じてます。
本作Caribreは大どんでん返しこそありませんが、静かだけどめちゃくちゃリアルでハラハラする展開の連続でした。
そしてここまでハラハラできたのは、主人公たちに上手く感情移入させられたからです。
一切置いてけぼりを食らうことなく、最初から最後まで主人公の立場に立たされました。
これは監督の手腕だと思います。
本当に素晴らしい。
レストランでの食事シーンが良かった
人を殺してしまったボーガンとマーカス。
二人の立ち位置は、マーカスが先輩で、ボーガンが後輩のようです。
時折二人は兄弟のように映ります。
実際に「最悪の選択」もマーカスが先導してやっており、ボーガンは罪悪感に押しつぶされ、常に自主したそうでした。
そして二人が殺人を犯した直後、アリバイ作りの一環としてレストランで食事をします。
たまたまそこに居合わせた村人2人を交えた計4人での食事。
ここで当然村人から「狩りはどうだった?」や「どこへ狩りに行ったんだ?」と聞かれます。
当然主人公たちは嘘を付きます。
この時、単なる会話シーンだったにもかかわらず、結構細かめにカットシーンが分けられていました。
そしてそれは「目配せ」をしっかり映すためだったように思います。
会話シーンでは、大抵の場合話してる本人がカメラに映ります。
ですが本作のこの食事シーンでは、マーカスたちが「嘘」を話していると我々は知っています。
「どこへ狩りに行ったんだ?」と村人が聞き、
一瞬マーカスが映り
(ここはお前が話せ)
と目配せし、その合図を見てボーガンが「あぁ・・・ドラムレイン」と応える。
こういう一連の所作を丁寧に見せてくれるサスペンスこそ至高です。
本作は至高のサスペンスです。
少し意味深なラストシーン
村人との事実上の和解により無事帰宅できたボーガン。
しかしボーガンは、子供を殺し、村人に脅されたとは言え親友を殺し、それらを背負ってこれから生きていかねばなりません。
それだけじゃなく、「もし村に警察が入ったら、唐突に自分が逮捕される」という不安も背負い続けることとなります。
これは相当なストレスです。
そんなボーガンが、泣き出した赤ん坊(わが子)を抱きかかえ、どこか、もしくは”何か”を観ます。
そしてそれをラストカットとして本作はエンドロールに入ります。
ボーガンは一体、最後に何を観たのでしょうか。
サミーの幽霊でしょうか。
その父親の幽霊でしょうか。
もしくはマーカスの幽霊でしょうか。
もし幽霊無いし幻覚を見たのであれば、それは恐らく「マーカス」でしょう。
サミーを殺したのは明らかに誤射で、その後に顔を見たりはしましたが、それは「事故後の精神」であり、大きく動揺していたはずです。
サミーの父親も確かに自分の目の前で死にましたが、自分で殺めた(あやめた)わけではありません。
しかしマーカスだけは自らの手で、(他の2人に比べれば)最も冷静な状態で殺しました。
そしてもちろん、「長い友達だった」という事実も大きな心理的負担となります。
答えが無い問題なので永久に不明ですが、個人的には「ボーガンは定期的にマーカスの亡霊が見えるようになった」と思っています。
評価・まとめ
85点
いやマジで最高に面白かった。
作品全体を漂うダークな雰囲気も良かったですね。
「森の中へ仲間と出かけ、そこで不運に遭遇する」というプロットは、最近観たネトフリ独占作品「ザ・リチュアル」にも少し通ずるものがありました。
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そして序盤辺りは、「村人が何かを隠してる」というようにも見えました。
たまにありますよね。
村人が全員グルで何かの真実を隠してる系の作品。
若干それっぽい作りでもありました。
がしかし、村人は最後まで徹底して「人間」であり「善人」でした。
主人公たちが犯人だと気付いた後、確かに冷静さを失い主人公を殺そうとしましたが、それは至って普通というか、普通ではないけれど人間らしい行動だと言えます。
本作は全てがナチュラルで、違和感のある展開は本当に無かったと思います。
リアルな専門家とかが鑑賞したり、もっと深く考察してみたらボロが出てくるのでしょうが、一回鑑賞しただけでは気付きません。
久しぶりに良作サスペンスを観ました。
CARIBRE、お勧めです。
余談:作品タイトル「CARIBRE」の意味
CARIBREの意味を調べてみました。
口径、器物、器、器量、縹緻、口径(英: calibre)は、火器や砲において銃砲身のサイズを示す言葉である。
日本語発音としては「キャリバー」辺りが妥当のようです。
ずっと「カリブレ」と(心の中で)読んでた・・・
なぜこんなタイトルなんでしょうか。
確かに本作は「猟銃」が出てきますし、「弾の口径」も会話にて登場します。
しかしそんな重要な項目だとは思えません。
なぜ製作陣は本作のタイトルに「口径」を持ってきたのか。
その真意を知りたいです。
記事中に登場したリンク:






最初に弾を忘れたからこの映画のタイトルなんでしょう。
口径が違う弾は使えません。
もし銃をマーカスから借りなければボーガンの罪だけで済みましたから。
全ての始まりはそこだったのでしょう。
斎藤様
こめんとありがとうございます!
なるほど!
作品タイトルはそこから来ているのですね。
納得しました。
ありがとうございます!