Netflixオリジナル「1922」というサスペンスホラー映画を鑑賞しました。
あまり期待せずに観たせいか、意外に面白く、最後まで食い入るように見てしまいました。
と言うわけで感想記事を書きます。
いつも通り、ネタバレ無し情報を書いた後、ネタバレ感想を書いていきます。
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目次
作品情報
公開年 | 2017年 |
---|---|
原題 | 1922 |
上映時間 | 102分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ザック・ヒルディッチ |
脚本 | ザック・ヒルディッチ(原作:スティーブン・キング) |
ジャンル | サスペンス、ホラー |
主要キャスト |
トーマス・ジェーン モリー・パーカー ディラン・シュミット ケイトリン・バーナード ボブ・フレイザー |
配信サイト・媒体 |
Netflix独占 ※記事公開時の情報です |
あらすじ
ペンを取り、自ら犯した妻殺しの事実を書き残していく農夫。だがその殺人は、不気味な恐怖の物語への序章に過ぎなかった。原作はスティーヴン・キングの小説。
引用:Netflix
妻殺しをしてしまった農夫が、何を背負いどう生きていくかが丁寧に描かれています。
【ネタバレ無し】感想
ネタバレなし感想①総合面
僕はスティーブン・キングの映画作品が大好きなのですが、時々ハズレがあったりもします。
しかし本作は大当たりです。
大きな盛り上がりこそ無いものの、リアリティーがあり隙が無く、適度にオカルト要素が入り飽きない作りでした。
主役のトーマス・ジェーンは、「ミスト(2007)」というこれまたスティーブン・キング原作の映画作品でも主役を飾っていました。
しかしそちらとはだいぶ雰囲気が違い、全く違う役者にすら見えます。
派手なシーンこそ無いものの、シナリオはかなり丁寧に練られているのでちゃんと最後まで楽しめるはずです。
スティーブン・キング好きには特におすすめです。
ネタバレなし感想②相変わらず「心理描写」の描き方が良い
スティーブン・キングは、「閉鎖空間での人間模様」及び「心理描写」の描き方がかなり上手いと思います。
創作物の世界では「登場人物が踏み外す」ことで盛り上がりを演出することがありますが、中には「なんでそんなバカな行動に飛びつく?」という無理やり展開も多いです。
しかしキング作品はその動機が非常に丁寧で、突飛な展開はめったにありません。
ホラー映画特有の「ツッコミどころ」が無いので、他のキング作品同様本作も最後まで安心して鑑賞できます。
※次項からネタバレを含みます。
【ネタバレ有り】感想
ネタバレ有り感想①トーマス・ジェーンの演技が良い
正直、農夫として「妻殺し後」に普通の生活を装っている間のトーマスの演技はそんなに良くありません。
悪くは無いのですが、感動を覚えるほどではありません。
ただ、ラストが本当に良かった・・・。
主人公のウィルフレッドは、常に妻の亡霊やトラウマの鼠に取り憑かれており、彼らの幻を見るようになりました。
最後、妻殺しの告白書を書き終えた後もその亡霊が現われ、ウィルフレッドは涙目になり怯えます。
この時の怖がる表情が「ザ・トーマスジェーン」って感じがします。

どうでしょうかこの表情。
農夫として働いていた「中年時代」より、むしろこの最新の時間軸の方が幼く見えます。
これは本当にグッときました。
ネタバレ有り感想②ラストが少し泣かせる
立て続けにラストシーンについて書きます。
本作のラストを見ると「やっぱり人殺しはするべきじゃないな」と思えますw
もちろんそんな予定はありませんが、本作のラストからは「殺人の重さ」が伝わってくるんです。
ウィルフレッドは最期の最後、殺人後に息子が語った「自分が今後背負う罪」も思い出します。
そして妻と息子と3人で暮していた、幸せだった頃を思い出します。
107分とそんなに長くない作品なのに、「妻と息子が生きている映像」を見るのが凄く久しぶりな気がして、観ている僕も「もう昔には戻れない」と自責の念を感じました。
作中のほとんどの時間で描かれていた「殺人後の行動・心理」が濃過ぎて、幸せだった頃(作品の序盤)の事を半ば忘れさせられていたのです。
そんな作りだからこそ、ラストの「幸せだった頃」の回想シーンが非常に感動的で、そして重かったんだと思います。
ネタバレ有り感想③鑑賞後、自分の行動も少し考えさせられる
創作物の世界では、主人公も脇役もバンバン人を殺します。
しかし本作は殺人の描写があるのは一人だけです。
そしてその罪の意識に苛(さいな)まれ、苦しむのが主人公のウィルフレッドです。
彼は非常に優秀な男で、殺害後は「妻が失踪した」という状況作りや、捜査に来た保安官対策も計画通り上手くこなします。
しかし殺害に加担していたウィルフレッドの息子「ヘンリー」が先に問題を起こし、最終的に自殺してしまいました。
そもそも妻を殺害した理由が「妻の所有してる100エーカーの土地を息子に継がせるため」だったので、この時ウィルフレッドは相当絶望した事でしょう。
ウィルは更に、右手を失い、土地も失いました。
踏んだり蹴ったりです。
そして最後の最後、告白書を書きながら思い出したのが「家族3人の幸せだった頃」だったのです。
「きっと他にも手段があった」という後悔も押し寄せます。
人は常に成長しながら生きているので、過去の自分について考える時、「もっと良い手段があった」と常に後悔します。
もちろんその頃の自分は現在ほどの知恵は無いうえ、現場で感情的になっていたりなどで大抵上手くは行きませんが、間違った行動については、時間が経つと必ず後悔するものです。
道徳的価値観を持っている人なら至極当然のことですが、罪は簡単に犯すものではありません。
見終えた後に改めてそう思えました。
考察:なぜ妻の死体は別の場所で見つかったのか?
ウィルフレッドが右手を失い入院してる時、保安官が尋ねてきました。
保安官「二日前、排水溝に横たわる女性の遺体が発見された。その遺体には、奥歯が二本無かった。アルレット(ウィルフレッドの妻)の特徴と一致するか?」
(頷くウィルフレッド)
保安官「奥さんが失踪した後に事情を聞きに行った時、ヘンリーが言っていたな。宝石と現金200ドルを持って失踪したと。それは本当か?」
(またウィルフレッドが頷く(正しくは首を横に振るのだが、「No」の意味ではなく、英語圏特有の「がっかり」というジェスチャー)
保安官「なら間違いない。奥さんは路上で悪党に襲われ、拉致され殺された。金目当ての犯行だろう。」
はてさて。奥さんを殺したのはウィルフレッドです。
そしてウィルフレッドは奥さんの死体を敷地内の古井戸に捨てました。
そしてその古井戸は埋めてしまったので、奥さんの死体はその井戸の中にあるはずです。
にも関わらず、奥さんの死体は別場所で発見されたことになっています・・・。
恐ろしいです。
ゾッとします・・・。
ですが現実的に考えることもできます。
ウィルフレッドが嘘を吐いていれば筋が通ります。
アルレットの奥歯についての描写が無いので、排水溝の死体が本当にアルレットなのか、それとも他の誰かなのか、我々には分かりません。
その死体をアルレットという事にしてしまえば、ウィルフレッドは自分の殺人をほぼ完全に隠せる為、ウィルフレッドは嘘を吐いて頷いたのでしょう。
でも個人的には「奥さんの死体が何故か外に出てた」という展開の方が怖くて好きです。
評価・まとめ
85点
いやー。面白かった。
地味に考察できる内容もあって満足度は高めです。
特に「とらえ方次第でどちらとも取れる」系の考察は大好きです。
それに音楽も非常に良かったですね。
シリアスで物悲しいオルガンの音色が凄く似合っており、涙を誘いました。
どことなく「インターステラー(2014)」を想起させるサントラでしたね。
「妻殺害後に発生する意外な問題」もしっかり用意されていて、地味ですが隙の無い脚本だったと思います。
1年後くらいにまた見たくなるかも。





