「IT(イット) それが見えたら終わり」を観ました。
すこぶる面白かったので感想記事を書きます。
当ブログの映画感想記事は、ネタバレ無し感想を書いた後にネタバレしていきます。
「IT(イット) そえが見えたら終わり 感想」
「IT(イット) そえが見えたら終わり 評価」
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目次
作品情報
公開年 | 2017年 |
---|---|
原題 | It(翻訳:それ) |
上映時間 | 187分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | アンディ・ムスキエティ |
脚本 | トミー・リー・ウォーレス、ローレンス・D・コーエン |
ジャンル | ホラー |
主要キャスト |
ジェイデン・リーベラー(ビル・デンブロウ) ビル・スカルスガルド(ペニーワイズ) フィン・ウルフハード(リッチー・トージア) ジャック・ディラン・グレイザー(エディ・カスブラーク) ソフィア・リリス(ベバリー・マーシュ) |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ
子供の失踪事件が相次ぐ田舎町で、いじめられっ子の少年達は見えるはずのないものを見てしまう。”それ”は、少年達を得体の知れない恐怖の渦へと引きずり込む…。
引用:Netflix
本作の中盤で、「この町では27年周期で不可解なことが起こる」という説が登場します。
Itの初版が公開されたのは1990年。
そして、リメイク版である本作が公開されたのが2017年・・・。
うまい。
【ネタバレ無し】感想
凄く不気味で、気持ち悪く、怖く、面白い作品でした。
「ペニー・ワイズ」というピエロは、最強に気味悪く、鑑賞者に最大限の不快感を与えます。
そして本作は、僕が思っていた以上に「演出」が素晴らしかったと思います。
ホラー映画なので、時々ビックリ系の演出はあります。
しかしそれもちゃんとしっかり怖いというか、筋が通っているのでとても心地良く感じられます。
少し前に観た「ラストシフト」という映画では、「ホラーゲームのビックリ演出」をひたすらに詰め込んではいるものの、ストーリーが無くペラッペラだったので、少しギャグのようにも観えました。
やっぱり、ホラー映画はシリアスめな筋書きが無いと面白さが半減します。
イットは、ストーリーがしっかりしていた為、鑑賞者もちゃんと感情移入することができ、心底不快感を感じることが出来ました。
主人公が吃音症(きつおんしょう)というのも良い。
※関連記事は最後にまとめて紹介します※次項からネタバレを含みます。
【ネタバレ有り】感想
良い点:クリーチャーの造形が最高

ピンポイントで凄く怖い瞬間をキャプチャしてしまいました。
本作は子供達が主人公でありながら、クリーチャーのキモさが半端ないです。
序盤、ペニーワイズが口を開いて、エイリアンの比じゃないくらい口を開くところから最高です。
ちなみに「スタンリー」が怖がっていた絵画は、僕たちが見慣れている作品で言えば「ムンクの叫び」っぽい気がします。
でもちゃんとしたモチーフがあるようで、それはモディリアーニという画家の作品「MAMA」にインスパイアされて作られたキャラクターのようです。

こんなものが具現化されたら、秒で死ねます。
良い点:子供たちの症状が良い
喘息持ちの子もいれば吃音症の子もいます。
そして吃音症の子が主人公です。
これだけで何故か作品に深みが出ます。
主人公が吃音症というのは、90年版の作品や、原作でもそうなんでしょうか。
地味に良かった点なのでピックアップしておきます。
良い点:仲間が増えていく感じが良い
「ルーザーズクラブ」という仲良し4人組がまずいます。
そのメンバーは、ビル(吃音症)、リッチー(マシンガントーク)、スタンリー(怖がり)、エディ(喘息)の4人。
良くあるジュブナイル系の作品なら、4人もいれば成立します。
そこに、いじめっ子から逃げてたまたま遭遇したベン(オカルト好きな転校生)が仲間に入ります。
更に、薬局で万引きを助長してくれた美人の「ベバリー」、そして、投石合戦で見事救いだした「マイク」を仲間に加えます。
彼らの掛け合いは見ていて凄く心地良い。
中には存在の薄いキャラもいますが、それぞれにバックボーンが用意されており、深刻な家庭問題等を抱えているのも好感が持てます。
良い点:敵の定義がしっかりしてる
原作者のスティーブンキングは、ホラーやオカルトを得意としています。
本作にもオカルト要素が満載です。
しかし、そのオカルト要素にしっかり定義付けが成されているのもキング原作作品の魅力です。
敵である「ペニーワイズ」は、現実では起こりえない攻撃ばかり繰り出し、しかもこちらの物理攻撃を一切受けない悪魔です。
でも本気で「何でもあり」では無く、ちゃんと弱点もあります。
若干考察も入るのですが、ペニーは「子供が一人になった瞬間」を狙っていました。
それは、「一人でいる時」が一番怖がっているからです。
ペニーは子供が大好物で、更に、「恐怖を感じている時が一番おいしい」という設定らしいので、最大限まで怖がらせます。
だから、子供同士複数人で行動している時は、あまり襲わないのです。
そして最後、主人公たちが武器を持ち寄り、共闘していく中で恐怖を乗り越えていき、最終的にはペニーが全く怖くなくなる。
だからペニーは消えていったのです。
今こうやって書き起こしてみると、定義付けについてはそうでも無い気がしますが、「完全になんでもあり」では無いところが非常に好きです。
良い点:音楽が良い
僕は好きな映画について、音楽を良く賞賛します。
そして本作における「音楽の良さ」は、「サントラ欲しい」となるようなものではなく、「ユニークで、でも作品にピッタリハマってる」という意味です。
敵がピエロなので子供の合唱の声が多用されており、それがより一層ホラーな雰囲気を漂わせています。
良い点:声優が完璧、最高
声優がマジでめちゃくちゃハマってます。
子供の演者の場合、同世代くらいの子供声優を使う場合もありますが、個人的にはあのたどたどしい感じが苦手です。
でも本作は、恐らく子供声が得意な大人ばかりが採用されています。
だから確かに「創作物感」は強いですが、それでもクオリティーが高いので、「吹き替えによる不快感」が無く、最後まで安心して鑑賞できました。
良い点:カメラワークが良い。マジで。
「斜めカット」を多用してます。
「斜めカット」という名前は今僕が思いついて勝手に使ってるので、そういう撮影手法があるのか分かりませんが、被写体が衝撃を受けるようなシーンでは、カメラの角度が傾き、被写体の揺れる心情を表しているように見えます。
また、カットシーンが細かく、丁寧です。
本作は割と激しいシーンも多いのですが、恐らく同じシーンでも、何度も何度もあらゆる角度から撮影したのでしょう。
それらを上手く編集し、状況説明が素晴らしいことになってます。
だからかなり分かりやすい。
こんな親切なホラー映画は久しぶりに観ました。
評価・まとめ
90点
好み過ぎて点数が高くなってしまいました。
面白いです。
真面目に面白いです。
だいぶ趣向が違いますが、スティーブンキング好きには、「1922(2007)」という作品もおすすめです。
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