音を出したら即死・・・
「~してはいけない」系理不尽ホラー「クワイエット・プレイス」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という
文章の直前までを目安にご覧ください。
目次
予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2018年 |
---|---|
原題 | A Quiet Place |
上映時間 | 90分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ジョン・クラシンスキー |
脚本 | ブライアン・ウッズ、スコット・ベック、ジョン・クラシンスキー |
ジャンル | ホラー,モンスター |
主要キャスト |
エミリー・ブラント(エヴリン) ジョン・クラシンスキー(リー) ミリセント・シモンズ(リーガン) ノア・ジュプ(マーカス) ケイド・ウッド(ワード) |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
音に反応して人間を襲う「何か」によって人類が滅亡の危機に瀕した世界で、「決して音を立ててはいけない」というルールを守り、生き延びている家族がいた。彼らは会話に手話を使い、歩くときは裸足で、道には砂を敷き詰め、静寂とともに暮らしていた。しかし、そんな一家を想像を絶する恐怖が襲う。
魅力
①クリーチャーの造形がキモイ
②「音を出せない」という制限による日常の変化をしっかり描いていた
③少々爽快なラスト
気になる点
・登場人物の行動がアホ過ぎる
・主人公ファミリーに対して「生き残って欲しい!」と思えるような魅力が沸かない
・人間ドラマが浅い
【ネタバレ無し】感想
筆者はホラー映画に“非日常”を求めるので、「音を出したら即死」という制約の中で、どのようなイベントが起こるのかを楽しみにしていました。
そして本作は確かに「無音」という非日常があり、その中でのサバイブに工夫を凝らしてるようでしたが、その一つ一つに特に目新しさは無く、斬新なアイディアによる快感は一つも得られませんでした。
あと、脚本上仕方が無かったのかもしれませんが、キャラクターの知能指数が低め。
頼りになるパパ(ジョン・クラシンスキー)は優先順位を忘れるタイプらしく、出産間近の妻を1人にしたり、一番下の子供からすぐに目を離すなどの危険行為を行います。
そういう状況が直接本筋のイベントや人間ドラマに派生するので、正直あまり感情移入できませんでした。
しかし、全体的にA級ホラーテイストな点はやっぱり気味が良く、役者さんたちの演技も相まって、最後まで楽しめました。
※ここからネタバレを含みます。
主要登場人物(キャスト)
※()内が役者名
●エヴリン・アボット(エミリー・ブラント)
主人公夫婦の妻。
妊娠している。
●リー・アボット(ジョン・クラシンスキー)
主人公夫婦の夫。
非常にしっかりした父親で、ある程度サバイブする知識も持っており、また、娘の補聴器を自作するスキルも持っている。
●リーガン・アボット(ミリセント・シモンズ)
主人公夫婦の長女。
聴覚障碍者で耳が聞こえない。
恐らくこの一家は、リーガンの影響で元々手話を心得ていたと思われる
●マーカス・アボット(ノア・ジュプ)
次男。
姉のリーガンよりも少しビビリ。
●ビュー・アボット(ケイド・ウッドワード)
主人公夫婦の子供。
末っ子。
【ネタバレ有り】感想
なぜ目を離す?いきなり殺される子供
確か予告映像にも使われてたと思いますが、音の鳴るおもちゃで遊んだせいで、一番下の子供「ビュー」が殺されます。
中々ショッキングなシーンでしたが、疑問に思うのは両親の行動です。
「足音を立てない」という理由から、みんな細い砂の上を一列に並んで歩きます。
先頭はパパ。
次にママ。
そして後ろに子供たち・・・。
結果、子供がおもちゃをこっそり取り出し、音を鳴らし死亡。
せめて最後尾にママを配置しておくべき。
そうすれば気付いて警告できたのに・・・。
しかし、本作の両親はなんか自由奔放に子供たちを育てています。
そういう教育方針なんでしょうか。
もし夫婦が「どんな状況だろうと、子供たちが委縮しない自由な教育を志す!」と考えているのであれば、割と納得できます。
考察:クリーチャーの特徴
奴らは驚異的な聴覚を持っていますが、目は見えません。
この事から、奴らは地中から現れたのではと推測します。
確か地中生物は全般目が見えず、聴覚や振動を感知する器官が発達していたと思います。
しかしあのすばしっこさ、怪力、鋭利な手先などを考えると、「地中」ではなく「洞窟」のように、ある程度身動きが取れる空間で生き延びていた気もします
終盤は頭部の「耳」のような機関がピラピラと開いていたので、やっぱりある程度空間にゆとりのある「洞窟説」が有力な気が。
中盤、怒涛のトラブル
出産を控えた妻。
そもそもこの状況で妊娠させるか、という気もしますが、まぁアレです。
どんな状況でもやる事はやります。
しかし「階段の踏み板からはみ出てる釘」の放置はさすがに注意力欠陥ですね。
あのような危険因子は見つけ次第対策すべき。
もちろん「気付かなかった」で済む話ですが、たぶんもっと良い脚本家なら「釘の角度が変わるような事故」を発生させていたはず。
そこで一旦別のトラブルは解決させ、でも一家全員そちらに気を取られてしまい「釘が飛び出た事」はスルーする。
それが終盤になり効いてくる・・・。
定番ですが、こういう展開だったら納得できました。
また、妻の出産も割と微妙な感じでした。
出産時の悲鳴は花火で打ち消しましたが、赤ん坊は産声をあげず、まるでこの世界で生き残る術を遺伝的に受け継いでるかのようでした。
「クリーチャーに対応する為、次世代の人間は無音で生きていけるよう進化した」みたいなトンデモ設定でもちょっと面白い気がしますが、さすがに無いか。
というわけでアボット家の新生児は、数分~数十分で出産が終わり、かつ、産声を上げないという状況のラッキーのおかげで生き延びれました。
子供の命を最優先にする、パパの勇気ある行動
1年程前に鑑賞した「音を出してはいけない」系ホラー「ザ・サイレンス 闇のハンター」でも、「敵の気を引くためにわざと叫ぶ」というシーンがありました。
きっと熱い展開になるはずなんですが、なんだか「その通り」過ぎて萌えません。
パパが手話で娘に「愛してる」と告げ叫び声を上げるのですが、ジンワリする反面、僅かにダサさを感じました。
そしてこの直後、ビビリの次男「マーカス」が車のギアをニュートラルに入れ、坂道を下って逃げます。
この行動についても「なんでそんな事知ってるの?」という疑問が浮かびました。
確かに中盤、マーカスが運転席に座り、「エア運転」で遊んでるシーンがありました。
だから車に興味を持ったマーカスに対し、パパが操作方法を教えてくれた可能性があります。
でも、別にその教育シーンを端折る必要はありません。
むしろ、「いざという時、ギアをニュートラルに入れればこのまま坂を下って一時的に退避できる」とパパが教育してるシーンがあれば、“クライマックスでちゃんと布石を拾った”とカタルシスを感じられたかもしれません。
でもそういう伏線は特に無く、ただ単にマーカスの閃き一つでギアを入れました。
彼の将来に期待ですね。
考察:クリーチャーの弱点は「周波数」だった?
娘の「リーガン」が装着している、パパお手製の「使えない補聴器」。
結局あの補聴器が補聴器として役立っているシーンは無かったのですが、その補聴器の周波数と同調したのか、時折クリーチャー(とリーガン)が耳鳴りに苦しむシーンがありました。
それをヒントに閃いたリーガンは、終盤でわざと補聴器を鳴らし(?)、敵がノックバックした瞬間にママがショットガンをぶっ放すことで、初めてクリーチャーを撃退しました。
しかし直後、アボット家に向かって大量のクリーチャーが押し寄せます。(監視カメラで確認)
しかしもうアボット家は怖くありません。
リーガンは無線機のボリュームを上げハウらせる準備をし、ママは決め顔でショットガンを「ガチャ」っと装弾。
「さぁ、ここから反撃だ。」という感じでエンドロールへ。
どうやら敵の弱点は、周波数か何かそこら辺のものだったようです。
良く分かりませんが、「ハウリング」が原因だったなら、ロックバンドとかが気付いて生き残ってそう。
【感想】「クワイエット・プレイス」の魅力3個。音を出したら即死:評価・まとめ
55点
理不尽系ホラーは当たりが少ないのについつい見ちゃいます。
そのうち「笑ってはいけない」系のホラーも生まれそう。