聴覚障碍者で美人な作家女性が、突如何の脈略も無く現れた究極のサイコ野郎を相手に四苦八苦する映画「サイレンス」がとても面白かったので記事を書きます。
純粋に「面白い方の映画」なので、「観ようか迷ってるけどハズレだったら嫌だから事前にレビューだけ見とくか」という感覚で当記事を訪れた方は、変に事前知識を入れる前に一度鑑賞されることをおすすめします。
※サイレンスは別にストーリーを追う映画ではありませんが、当記事はネタバレを含みます。
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目次
作品情報
公開年 | 2016年 |
---|---|
原題 | Hush(”静けさ”の意味) |
上映時間 | 分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | マイク・フラナガン |
脚本 | マイク・フラナガン |
ジャンル | ホラー |
主要キャスト |
ジョン・ギャラガー・Jr. ケイト・シーゲル マイケル・トルッコ サマンサ・スローヤン エミリア・グレイブス |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ
耳が聞こえない作家のサラ。
そんなサラの元に唐突に殺人鬼が現れる。
殺人鬼から逃げ惑うがサラだが、意を決して反撃に出る。
評価:良いところ
主人公の特性を上手く活かしている
「主人公の耳が聞こえない」という特性を十分に活かしきった映画です。
もちろん、その特性の大半が欠点として足を引っ張るのですが、最後の方ではそれで油断した犯人を返り討ちにしたり、逆に「耳が聞こえない事」を利用して反逆に出ます。
その辺りの工夫が良い感じです。
「やっぱホラーはこうでなくちゃ」と本気で思わせてくれます。
粗悪でクソつまらないホラー映画というものがこの世には吐いて捨てる程ありますが、そういう映画の大半は「工夫が無い」場合が多いです。
正直、ホラー映画は娯楽に振り切ってなんぞというジャンルの映画だと思っているので、日常に潜むあらゆるギミックを使って、登場人物が殺されたり、そして最後には殺人鬼に反逆したりするところが見たいんです。
本作の主人公「サラ」は耳が聞こえないという、今までのホラー映画では類を見ない究極のハンディキャップを背負っています。
しかしそれだけではありません。
嬉しいことにサラは単なる馬鹿ではなく、「作家」であり賢い方の人間です。
だから殺人鬼から逃げ惑いながらも取る行動の一つ一つが賢く、ツッコミどころのようなものがほぼありません。
故に、「おい馬鹿!そうじゃないだろ!」というB級クソホラー特有のイライラが無いのも高評価の理由です。
演出が良い
私は耳が聞こえるのでサラの気持ちはあまり分かりません。
しかし「サラ目線」になるシーンでは音響を極端に具合にボヤけさせて、一時的に我々を「聴覚障碍者」にしてくれます。
その手法は最初の「料理」のシーンから使われています。
こういうあくどい演出は最近のホラー映画には躊躇に見られますが、僕は大好きです。
ホラー映画はクールでかっこいいくらいがちょうどいいと思ってます。
だからこそ、こういうあくどい演出も許されるのです。
最後にはサラが(脳内で)喋るという演出もありますが、こういう演出の面白さもちゃんとあります。
ラストが良い
数あるホラー映画の中でも凄く気持ちの良い終わり方をします。
ホラー映画はたいてい続編のために、死んだと思われてた殺人鬼が実は死んでなかったみたいな終わり方をしますが、本作は続編の作りようが無いこともあり、殺人鬼は普通に死にます。
しかもそれもよく考えたら、「殺人鬼とサラの長い長い戦いの終わり」=「映画のラスト」なので、戦いを見届けた鑑賞者はまるで、一つの試合を見終えたかのような充実感を感じられます。
”意外性”はあまり感じられませんが、正当かつ納得の行くラストでした。
ちなみにですが、最も爽快で意外性のあるラストがある映画として「パーフェクトトラップ」が真っ先に思い浮かびました。
パーフェクトトラップは、「主役側が優位」な状態で終わる、続編が期待できる素晴らしいラストでした。
評価:悪いところ
一か所だけ、どうしてもサラに勇気を出してほしいシーンがありました。
それは、知人男性がたまたまサラの家に訪れて、殺人鬼と対面するシーンです。
殺人鬼は警官のフリをして男性をあしらいますが、男性はガタイも良く、また”こいつは警官じゃないな”と見抜くので、一気に形勢逆転しかけます。
ちなみにその間サラは家の中でこもっています。
耳が聞こえないので、外に知人男性がいることは当然知りません。
もちろん見に行ったら気付きますが。
そして互いに疑心暗鬼になりつつ会話を進める殺人鬼と男性。
そこにいよいよサラが顔を出します。
男性の姿を見るや否や、「助けて!」と言わんばかりに窓を叩くサラ。
そのサラに気を取られた一瞬の隙を突いて男性の首にナイフを突き刺す殺人鬼。
しかしここで終わりじゃありません。
最後の力を振り絞り殺人鬼の首を腕で締め上げ、ヘッドロック状態まで持っていく男性。
しかしここで息絶え、力が無くなる・・・。
今までどんな策を使っても上手く行かなかったサラが唯一逆転できるシーンだったので、ここでは是非サラにも出てもらって共闘してほしかった。
この瞬間サラは窓ガラスごしに眺めていただけです。
もちろん恐怖もあると思いますが、「最大のチャンスをモノにしなかった」というところが唯一この映画の惜しいところですかね。
でも、「悪いところ」として挙げる程のものではありません。
「二人で共闘した結果、それでもやっぱり殺人鬼には勝てなかった」という流れが最も理想的ではありますが、かと言って「サラが怯えきってチャンスをモノにできなかった」というのも全然納得できる話です。
サイレンスの評価を下げる程のものではありません。
【80点】聴覚障碍者が戦うホラー映画「サイレンス」の評価と感想・まとめ
適度にシリアスで、主人公がか弱く賢いホラー映画です。
ホラー映画はやっぱり「登場人物の頭が良い」ということが大事だなと改めて思いました。
殺人鬼にせよ、登場人物にせよ、お互いにある程度の頭脳を使ったせめぎ合いを見せつけてほしいです。
サイレンスは主に「サラ」と「殺人鬼」しか出てこず、どちらもちゃんと聡明なので見ていて飽きません。
サラも相手の裏をかくために対策を考え、一つ一つ実行していきます。
この辺りで「サラが作家である」という設定が活きていた気がします。
そしてラストは、「耳が聞こえない」ことを活かし形成逆転まで持っていきます。
今思い出しましたが、「殺人鬼にマウントを取られ首を絞められる中、サラが手を伸ばした先にある武器を取って犯人を倒すというラスト」でした。
この手のラストって多過ぎませんかね。
さすがに出尽くしてると思いますが、無難なので良しとする風潮でしょうか。
とりあえず、サイレンスは中々面白い方のホラー映画なので、興味のある方はぜひ見てみてください。
僕はネットフリックスで観ました。





