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【映画感想・考察】「遊星からの物体X」の魅力3個

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ぱっかん
執筆者:「ぱっかん(@pakkan316)」見る映画の9割が洋画です!

南極調査隊が「生き物に模倣できるエイリアン」と遭遇し、仲間と疑心暗鬼になりながら死闘する映画「遊星からの物体X(原題:The Thing)」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。

まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。

※関連記事は最後にまとめて紹介します

予告編(トレイラー)

作品情報

公開年1982年
原題The Thing
上映時間109分
製作国アメリカ
監督ジョン・カーペンター
脚本ビル・ランカスター(原作:ジョン・W・キャンベル・Jr.)
ジャンル ホラー,モンスター,パニック
主要キャスト カート・ラッセル(マクレディ)
ウィルフォード・ブリムリー(ブレア)
リチャード・ダイサート(ドクター・コッパー)
ドナルド・モファット(ギャリー)
T・K・カーター(ノウルス)
キース・デビッド(チャイルズ)
配信サイト・媒体 市販DVD
Netflix…他
※記事公開時の情報です

あらすじ・みどころ

南極の大雪原。一匹の犬がアメリカの観測隊基地に現れるが、犬の正体は10万年前に宇宙から飛来し、氷の下で眠っていた生命体だった。生命体は接触した生物に同化する能力をもっており、次々と観測隊員に姿を変えていく。

引用:遊星からの物体X : 作品情報 – 映画.com

魅力

①敵・状況・人間模様など、全ての設定が秀逸

②昔の作品特有のバキバキのモンスターがキモイ

③「自分たちよりも先にモンスターと死闘を繰り広げた調査隊がいる」という前置きのおかげでミステリアスさが増している

【ネタバレ無し】感想

遊星からの物体X:疑心暗鬼になる登場人物たち
疑心暗鬼になる登場人物たち

伝説的な名作「The Thing(原題の方が好き)」がネトフリで配信されたので、久しぶりに鑑賞しました。(3回目)

マジで序盤から最高に面白い。
古い映画だから時折時代を感じる箇所もありますが、それを差っ引いても素晴らしくテンポが良く、飽きずに最後まで釘付けになれます。

いや、「テンポが良い」わけでは無いのですが、とにかく展開が多い。

とにかく設定が秀逸

本作はとにかく状況設定が素晴らしい

「エイリアンがそこまで強くない」
まずこの設定が素晴らしいですね。

「俺はエイリアンじゃない。エイリアンが俺を殺さないのは、まだ人間の数の方が多いからだ。」
個人的には超名言だと思います。

しかしどう考えても本作でしか使えない名言です。

あからさまにエイリアンの方が強かったら、マクレディ達はそもそも逃げまどうだけの在り来たりなパニック作品になってしまいます。
しかしそこを絶妙に「1人の人間と同等くらいの強さ」にしてしまうことで、疑心暗鬼になれる素晴らしい状況を作っています。

 

そして「南極」という舞台も素晴らしい。

「燃料が無いと長時間生きていけない」
このおかげで「敵を倒したとしても、どの道もう死ぬしかない」という少し儚いような、切ないような、そんな感覚が生まれます。

また、「南極の基地」という孤立した場所が故に「暴走するブレアの行動」が「エイリアン側」にも取れるし、「人間側」にも取れます
この辺りはネタバレ回避の為にここでは語りませんが、全ての設定が秀逸で、かつそれらの設定を活かしきった展開を盛り込んでいるところがめちゃくちゃ好き。

登場人物が全員おっさんというのが良い

遊星からの物体X:登場人物は1人残らず全員おっさん
登場人物は1人残らず全員おっさん

本作の前日談を描いた「遊星からの物体X ファーストコンタクト(2012)」という作品も好きですが、こちらは主人公が美人女性です。

でも本作の登場人物は全員貫禄のあるおっさんです。

なんか美人女優が主人公だと「このお姉さんが化け物になる描写は無さそう」と思えて、恐怖感が和らぎます。

でも本作の主人公はマックで、そして全員がおっさんであるが為に「誰が化け物に変異してもおかしくない」という本物の疑心暗鬼(鑑賞者目線)が生まれます。

それにやっぱり「プロフェッショナル度」が違いますね。

 

渋いおっさん達だけで構成されている部隊の方が「やり手の南極調査隊」に見える為、なんとなく一人ひとりの死が惜しく思えます。

「前任部隊」がいることでミステリアスさが増している

遊星からの物体X:既に崩壊したノルウェー基地を捜索するマックたち
既に崩壊したノルウェー基地を捜索するマックたち

個人的にめちゃくちゃ好きな設定です。

サンシャイン2057(2007)
「イベント・ホライゾン(1997)」
アナイアレイション(2018)

上記は全てSFホラーですが、更に「主人公たちの前に前任の部隊が存在した」という設定が似ています。

この手のホラー映画では、前任部隊が存在するだけでミステリアスさが一気に増し、そして登場人物たちの状況把握が早めに終わる為、本題にすぐに取り掛かれます。

だから「前任部隊が存在する」という設定が無条件で好き

マクレディ達は「ノルウェー基地」に乗り込み、そこで「惨劇」があったことを知ります。
「何か」があった。でもその何かは分からない。

だから怖い。

そしてその「何か」は、当然ながら時間が経つごとに判明していきます。
つまり「伏線」ともなり得ます。

 

そんなわけで、「先に死闘を繰り広げたノルウェー部隊」の存在が、本作を鬼のように面白くしました。

【ネタバレ有り】考察

※ここからネタバレを含みます。
 
 
 
 

考察①「マクレディ」は序盤で「どんな手段を使っても勝負に勝つ」という性格だという事が表れている

遊星からの物体X:コンピュータにお酒を流し込むマック
コンピュータにお酒を流し込むマック

このワンシーンにマックの性格がしっかりと表れており、それは終盤にも繋がっています。

終盤、マックは「自分が死んでもエイリアンを殺す」という選択をします。
マックにとっては、生き延びることよりも「敵との勝負に勝つこと」が大事なのです。

だからコンピュータとチェスで対戦中、相手に「チェックメイト」された際にコンピュータを破壊したのです。

もうマックはそのコンピュータでチェスを遊ぶことが出来ません。
だからマック本人も痛手です。

でもそれでいいのです。

マックは、「なんとしても勝負に勝つ」という性格なようです。

考察②「ブレア」はいつ模倣されたのか?

遊星からの物体X:通信機器を破壊するブレア
通信機器を破壊するブレア

生物学者のブレアは、基地の通信設備をぶっ壊したせいで工具室に監禁されます。

 

そんなブレアはいつエイリアンになったのでしょうか?

恐らく、「通信設備をぶっ壊した時」だと思います。

あの時ブレアは「エイリアンを基地以外の人間と接触させない為」に通信設備を破壊しているような口ぶりでした。
実際にそうだったかもしれません。(この“どっちにも取れる”という設定が上手い)

しかしブレアは工具室に監禁されている際に、地下で即席のUFOを製造していました
「UFOを作っていた = エイリアン」だという認識で間違いないでしょう。

そして監禁中にまず穴を掘り、そしてそこでUFO(ほぼ完成していた)を作る為には相当な時間が必要な為、かなり初期段階で模倣されていたと考える方が自然です。

隔離されてすぐに模倣された可能性もありますが、最初からUFO製造を計画に入れておいたなら、わざと通信機器を破壊し、わざと工具室に監禁させたと考える方が自然です。

考察③エイリアンの能力の定義について

エイリアンの能力について疑問があるので、一旦敵の能力をまとめます。

・人間と1対1の時しか模倣を始めない(そこまで強くない為?)

・エイリアンの細胞は「倍々ゲーム」の要領で増えていく(作中のコンピュータでの計算から推測)

・エイリアンは高熱に弱い

・生物はエイリアンの血液1滴でも感染する

・無機物は模倣できない(衣類や歯の詰め物など)

・人間同様寒さには弱いが、冬眠できる為極寒でも生きながらえることが出来る

・模倣に成功したら、ターゲットの記憶は継承される(見た目だけじゃなく精神も模倣?)

作中で「血液1滴でもヤバイから、今後食事は缶詰にしないか?」というセリフが登場します。

このセリフを聞く限り、エイリアンは「感染」させることが出来るように思います。
そしてこれが事実だったら、エイリアンは「そこまで強くない」という設定が(たぶん)破綻します。

 

「自分の体液を1滴でも人間に取り込ませたら勝利」という条件なら、相手が何人いようと、火炎放射器を持っていようと勝てる気がします。

とりあえず「エイリアンの能力定義」については、自分でもまだ良く分かってない部分があるので、知り尽くした方が居ましたら是非コメントお願いします。

考察④ラスト、白い息が出ない「ノウルス」の正体は・・・

最後に生き残ったのは「マクレディ(マック)」「ノウルス」です。
彼らは疑心暗鬼になりつつも凍死を待ちながら終わりました。

以前話題になった話ですが、この時「マック」からは呼吸の度に白い息が出ているのに、「ノウルス」からはそれがありません
だから「ノウルスエイリアン説」が考えられます。

しかしこれは製作陣の単なるミスだったようで、実際には特にその辺りの設定は決められていないとのこと。

しかし、「二人の今後」については、なんと「続編(ゲーム)」にて語られています。

考察⑤実はマクレディは生きていた?!

PS2、Xbox向けに発売された「遊星からの物体X エピソード2」という作品があります。
ゲーム版は、「The Thing」の正当な後日談が描かれているようで、マクレディ達が居た基地を捜索する調査隊の活躍が描かれます。

そしてそのゲーム版のエンディングでは、「唯一の生き残り」としてなんと「マクレディ」が登場します。

36分30秒辺り。唐突に登場し主人公を助けてくれたヘリパイロットが「マクレディ」と名乗る

「南極で長い休暇を取っていた」
「R・J マクレディ」

謎のヘリパイロットはそう言うと、ゲームは終了します。
これはもう・・・どう考えてもマクレディは敵に取り込まれています・・・。

考察⑥吹替で観ていても、ところどころ原語になる理由

一応説明しておきますが、本作は吹替で鑑賞していても、ところどころ原語になる箇所があります。
最初はバグかと思いましたが、どうやら「本編公開後に追加されたシーン」のせいでこのような現象が発生しているようです。

評価・まとめ

 

90点

やっぱり最高。
お勧め度:最高

レビュー
Video Image
レビューした日
レビュー作品
遊星からの物体X
総合評価
51star1star1star1star1star
作品タイトル
遊星からの物体X
作品内容
古典的名作「遊星よりの物体X」をリメイクしたSFホラー。極寒の南極観測基地という閉ざされた空間を舞台に、宇宙から飛来した生命体に襲われる観測隊員たちの恐怖を描いた。
作品公開日
1982



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2 件のコメント

  • 最後のシーンは、ブルーレイやHD画像で見ると、二人ともはっきり白い息吐いているのがわかっちゃうのが悲しいですねw

    • とおりすがり 様
      コメントありがとうございます!

      再鑑賞した際はあまり意識してなかったですが、よく見たらそうなんですかね・・・。
      あまり意味のある設定では無いみたいですが、考察しがいのある好きな描写でしたw

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    名前:ぱっかん(@pakkan316
    洋画めっちゃ好き

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    「内省」という資質に優れており、それを活かした映画系の記事が得意。
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    「ぱっかんブログ」という雑記ブログで、映画やら何やらと色々書いてましたが、映画記事数が増えたのでそれを「ぱっかんシネマ」として立ち上げました。
    洋画ホラー、サスペンスが好み。あとスローモーションになった時に流れる「ドゥーン...」という効果音も好き。

    こういう曲を作ったりしてます↓

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