今更ながら「アイアムアヒーロー」の映画版を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。
※原作未見
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予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2016年 |
---|---|
原題 | アイアムアヒーロー |
上映時間 | 127分 |
製作国 | 日本 |
監督 | 佐藤信介 |
脚本 | 野木亜紀子(原作:花沢健吾) |
ジャンル | ホラー、パニック、ゾンビ |
主要キャスト |
大泉洋(鈴木英雄) 有村架純(早狩比呂美) 長澤まさみ(藪) 吉沢悠(伊浦) 岡田義徳(サンゴ) 片瀬那奈(てっこ) 片桐仁中田(コロリ) マキタスポーツ(松尾) 塚地武雅(三谷) 徳井優(アベサン) 風間トオル(千倉) |
配信サイト・媒体 |
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あらすじ・みどころ
冴えない漫画家アシスタントの主人公・鈴木英雄が、謎のウィルスによって「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化した人々に襲われ、逃亡の道中で出会った女子高生の比呂美と、元看護師の藪とともに不器用に戦いながらも、必死でサバイバルしていく姿を描く。
魅力
①熱い展開の連続
②王道的な「ヒーロー」としての成長物語がグッと来る
③有村架純(ヒロミ役)が可愛い
④長澤まさみ(ヤブ役)が可愛い
⑤主人公の「大泉洋(ヒデオ役)」含め、脇役の演技が素晴らしい
【ネタバレ無し】感想
大傑作です。
序盤のパンデミックが超丁寧に描かれていて、もう食い入るように見てしまいました。
そして、あまりの引きこまれ度についつい目頭が熱くなりました。
僕は「泣けるシーン」だけではなく、「グッと来たシーン」ではどんなジャンルでも涙は出ずとも目頭が熱くなるのですが、その現象の連続でした。
中盤以降の「ショッピングモールでの攻防」も中々面白かったですが、やっぱり序盤のパンデミックシーンこそ至高です。
【ネタバレ有り】感想
※ここからネタバレを含みます。
良い点:ZQN(ゾキュン)がキモ過ぎる
本作はクリーチャーのレベルが高いです。
設定としては、一般的に浸透している「ゾンビ」よりもまだ人間性があり、言葉を発する程度の知能はあります。
それがより一層の「ヤバさ」を演出しています。
そして挙動がキモ過ぎる。
普通のゾンビみたいに「あー・・・」と言いながら歩くわけでは無く、身体能力で言えば「28日後」の感染者と似ています。
しかし「ZQNとして覚醒する瞬間」のモーションのヤバさが凄い。
最初の「てっこ(徹子)の覚醒シーン」はめちゃくちゃ不気味で、それは海外製のあらゆるゾンビ作品を超えています。
発症したら、何故か外斜視になり、速攻で顔の肉も崩れます。
この不気味度は、間違いなく本作の特長の一つです。
でも今思えば、意味が分からんくらい身体が柔軟なのは、「てっこ」だけでした。
※関連記事は最後にまとめて紹介します良い点:序盤のパンデミックシーンが最高
「平和な日常の崩壊」
これは原作でも色濃く描かれているようですが、映画版でもこのシーンには相当な力が入っていました。
英雄が町に繰り出すと、チラホラと人が襲われつつも、まだスマホを見ながら歩いてる人もいました。
「あまり周りに干渉しない」という日本人らしさが凄く良く出ていたと思います。
そしてそっから、大通りに出た時の急な人の波。
こういう「崩壊シーン」が大好きなので、この時点で凄く満足。
良い点:ヒロイン二人が可愛すぎる
ヒロミ役の「有村架純」さんと、ヤブ役の「長澤まさみ」さん。
この二人が可愛すぎて半端ない。
ついでに屋上にいた人妻っぽい人も美人でした。
有村架純さんは「半ZQN」というミステリアスな存在で、中盤からセリフが一切ありませんが、その無機質な感じが凄く良い。
でも、英雄の鼻歌に反応して少し笑顔になるなど、ツンデレな感じに見えてそこがまた堪りません。
(上記は丁度その時のキャプチャ)
長澤まさみさんは、見事なまでに「お姉さん」です。
「30代の強い女性」という感じが立ち振る舞いから溢れ出ており、どちらかと言えば、アクション系の洋画に登場するようなヒロインでした。
本当にこの配役は良かった。
良い点:主人公「英雄」の演技、キャラ設定が良い
ヒロインの後に主人公について話すのもアレですが、主人公の鈴木英雄(すずきひでお)を演じた「大泉洋」さんも素晴らしい。
演技から一切の違和感を感じず、グイグイと作品に感情移入させられました。
また、英雄は地味ながらも「猟銃の免許」を所持しているところで特殊であり、今思えば、作中で唯一登場する銃使いでした。
そしてこの世界では当然ながらその設定が活きる為、一切何の無理もなく「ヒーローになるまで」が描かれていました。
良い点:カメラワーク、演出が良い
「なぜこの作品は心に響くのか?」を考えていると、その答えが意外と「カメラワーク」にあったりします。
本作は、ちゃんと「ヤバさ」を演出する際に、カメラがその事象にパンするという当然の演出がありました。
例えば伊浦(ショッピングモールの元ボス)が、「ここの法律は僕です」と言った時、登場人物の中では「英雄」が、そして我々鑑賞者も「伊浦そういう系の奴か」と理解しました。
そしてその時、一瞬ですが、カメラは伊浦の顔にアップしました。
もちろん「吉沢悠さんが、ちゃんとヤバい奴を演じていた」という功績もありますが、それをちゃんと演出で昇華させる辺り、素晴らしいと感じました。
悪い点:「ヒロミ無双」が無かった
半感染者となり、理性を持ちつつも強靭な身体能力を手に入れたヒロミ。
たぶん鑑賞者のほとんどが、中盤の「猫ポーズ」を見て、「ヒロミはいつか無双する」と考えたはずです。
更にヒロミは、中盤で頭に矢が刺さっても生かされたのですから、そこで更に「終盤で何か大事な場面がある」と予想できます。
しかし、ヒロミは特に戦闘要員とはなりませんでした。
もしかしたら原作にて「ヒロミの強さ」が何かのカギとなっていたのかもしれませんが、少なくとも映画版では、「中盤で英雄がZQNに襲われた時」と、「ヒロミとヤブがニートに襲われた時」くらいしか能力を発動しなかったので、僕は「半ZQN」について、「意味不明なサイドストーリー」程度にしか捉えられませんでした。
どことなく消化不良を起こすことになったので、半ZQNの強さについて、もうちょっと意味深な「意味」を持たせて欲しかった。
悪い点:ラストの爽快感があまり無かった
英雄が、体育会系のZQNの頭をクラッシュするというラストは完璧でした。
最高でした。
ここは、英雄に感情移入していると、自分の自己啓示欲も満たされる素晴らしいシーンです。
その後、ヤブとヒロミを含む3人で車に乗り、ショッピングモールを後にする際、「妻のキョウコを殺し、直後に自殺したアベサン」を見るところもグッと来ました。
そしてその後、「どこか安全なところへと車を走らせる」という感じで作品終了。
悪くは無いのですが、良くもなかった。
ラストシーンが「その辺の風景含む引きのショット」となることは多いですが、それはやっぱり「ラストの解放感」を演出する為です。
そして本作のラストカットは「車内(英雄の顔)」でした。
物凄く人物にフォーカスしたタイプの終わり方です。
そしてそのまま「I AM A HERO」のタイトルコールが始まるので、恐らく繋がってはいるのですが、狭い空間での死闘を繰り広げた後なので、出来ればもっと解放的なラストを拝みたかった。
評価・まとめ
90点
ちょっと点数が高過ぎる気もしますが、鑑賞中はそれくらいハマって観れた作品でした。
「日本の映画は躍動感が感じられないから見れない」と思っている人にこそ見て欲しい作品です。
むしろその辺の「海外製ゾンビ映画」より遥かに面白い。
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