アベマTVで配信された「リアルカイジGP」。
カイジ好きな僕もエントリーしたのですが、書類選考が通らずに参戦できませんでした。
でも今はそれで本当に良かったと思ってます。
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※関連記事は最後にまとめて紹介します「リアルカイジGP つまらない」
「リアルカイジGP 中止」
「リアルカイジGP 原作」
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目次
リアルカイジGPって何?
そこの「人生逆転したい」アナタ、チャンスです。
優勝賞金1億円のリアリティーショウの始まりです。
「住宅ローン完済」「借金地獄を抜け出したい」「家族で超豪華世界一周旅行」
「性別を変えたい」「カネには困ってないけど何となく面白そう」
「一生遊んで暮らしたい」「映画監督になって1本映画を撮りたい」
「ホストクラブのあのイケメンを振り返らせたい」「全身整形したい」1億円あればだいたい何でも出来ますよ。
必要なのは「天から与えられた運と少しの知恵」だけ。
男も女も老いも若いも関係ナシ。「人生逆転したい」
必要なのはその思いだけ。
さあ、夢を掴みまショウ。
公式サイトの紹介文だけ見ると、誰にでもチャンスがある凄く面白い企画のように思えます。
特に2017年末にTBSで放送された「人生逆転バトル カイジ」が盛大に滑ったことから、「ネット配信の番組ならもっと本格的なことをやってくれるに違いない!」と大きな期待を寄せていました。
しかし、TBSの番組と違い全然面白くない。というか目を背けたくなる程に酷い内容。
アベマTVの「リアルカイジGP」のおかげで、TBS版カイジの良さを再確認できました。
「リアルカイジGP」の企画内容が酷い
眉毛シェービング : 眉毛を全剃りする
パイプカット : 30歳以上の既婚者のみ その場で奥さんの同意が得られたら合格。実際にパイプカットする。
この場で婚姻届 : その場で男女が実際に婚姻届けする。役所までスタッフが同行し婚姻届を実際に出す。男女1組が合格。
すっぽんぽん懸垂 : 全裸になり磨りガラスの中で懸垂。女性は問題があるためストッキングを脱いだ状態とルールが変更になった。
現生サイコロ : 1万円で○が1つ、3万円で○が3つ、5万円で○が5つのサイコロが買える。○を出したら合格。
細川たかしバリカン : レイザーラモンRGの様な髪型にする。大会開催中は髪型の変更不可能。女性合格者もいた。
ピタリ300キロ体重計 : みんなで協力してピタリ300キロになれば合格。300キロを1キロでも超えたら失格。荷物の加算もOK。
セルフカツラ脱ぎ : その名の通り自らカツラを脱いだら合格。
女性限定あの人とディープキス : 女性限定のチャレンジで、アントニーと10秒間ディープキスをする。
タマゴ口リレー : タマゴを口移しでリレーして最終的にユッケの真ん中に入れたら合格。見た目がえげつない。
文字を読んでるだけで吐き気がする内容です。
ちなみにこれは「東京予選」の選抜企画の一部で、これに合格して初めて本格的にゲームに参加できる、というようなものです。
「ピタリ300キロ体重計」とか「現生サイコロ」とかはまだライトな感じですが、「タマゴ口移しリレー」とかエグい。
全然面白くありません。
たぶん製作陣は、「昨今の地上波は規制が酷くて面白い企画が全然やれない!せや!Amazonの”ドキュメンタル”は汚くてウケてるから、思いっきりエグい番組作ったろ!」みたいな精神で作っちゃったんでしょうか。
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原作「カイジ」を全然踏襲してない
福本伸行先生の原作版「カイジ」も、確かに「負債者が命がけのギャンブルをやっているのを、安全圏にいる者が楽しむ」というテーマがありました。
しかし作中の中の「安全圏の金持ち」は、明らかに敵として描かれていました。
そして我々が感情移入するのはもちろん、負債者である「カイジ」の方です。
クズなりのあがきと、機転、頭の良さを楽しみ、カイジを応援するのが読者の楽しみでした。
しかし「リアルカイジGP」は、「安全圏で楽しむ側」にフォーカスしています。
我々を「疑似的な金持ち」にしようとしてるんです。
昔はバラエティー番組でも汚い内容が多く、それでウケる時代でした。
今では「クレームが多くて汚いことが出来ない」と嘆く番組制作者が多いですが、クレーム以前に今じゃもうエグイのはウケないんです。
M1常連の芸人だって、ドシュールでかなり知的な話術を披露しています。
もちろん20年前にこんな難解なネタを披露しても受け入れられなかったでしょう。
でもテレビのレベルが上がるにつれて、我々視聴者のレベルも上がってるのです。
にも拘わらず「エグさ」の強い企画に拘る(こだわる)製作陣は、まるで「あの頃は良かった」とつぶやく懐古主義者のようです。
(それでもやっぱり”汚い企画が好き”という視聴者も一定数いるので、ニーズ自体は無くならないのでしょうが)
カイジ特有の「頭脳戦」はどうした?
先ほども書いたように、「金持ち目線」でカイジを見る人はいません。
それは、クズなりに世の中をちゃんとした理屈で非難し、そして行動を起こすカイジがカッコいいからです。
そしてカイジは、「頭脳戦で逆転するカタルシス」に重きを置いているギャンブル漫画であるため、ほぼ全ての問題を「ロジカル」に解決していました。
もちろん、実写版カイジにも我々はそれを求めます。
「この企画にはどんなトリックが用意されているんだ?」
「どんな頭脳戦が観れるんだろう」
そういう思いで僕はエントリーしました。
が、蓋を開けてみるとただのヨゴレバラエティー。
原作のメインテーマである「頭脳戦」を完全に捨てています。
ヤラセでも何でもいいから、二転三転する本物(ヤラセなら偽物か)の頭脳戦が観たかった。
リアルカイジGPのおかげで、むしろTBS版の「カイジ」が面白く感じられる
TBS版のカイジも放映後はえらく叩かれましたが、地味に名シーンの多い秀作だったなと再認識しました。
ちなみに僕の思う「名セリフ」は以下です。
こりゃめでてーな伊藤「ふざけるな!ふざけろ!」
(ルール内容を聞いて、”ふざけるな”と最初に言ってしまったが、”ふざけろ”の方がカイジらしいと気付いた瞬間)
ニートチャーハン「ホスト以外だったら誰でもいいっす」
(敗者の中から誰を助けるかの話し合いの時)
鈴木もぐら「競馬の賭け方が変わった」
(敗者インタビューにて、他の敗者が”仕事を探す”とかポジティブな事を言ってる中、もぐらは”ギャンブルを辞める”的な事を言うと思ったら、”慎重に賭けるようになった”と貫かす(ぬかす))
他にもありますが、この辺りのセリフは後で思い返してもとクスリと来る瞬間です。
もちろんTBS版が面白いのはそれだけじゃありません。
ちゃんと「頭脳戦」が含まれていたんです。
二回戦だったかな。
「多数決カード」というゲームでは、ちゃんと「頭脳戦」が繰り広げられていました。
ルールは単純で、参加者全員に赤、もしくは青どちらかのカードが1枚ずつ配られ、タイムアップ後に多かった色の所持者が勝利。
ペリカを払えばカードの交換、または交換したフリが可能なので、そこそこの心理戦、駆け引きが楽しめました。
個人的に良かったのが、自分の予想をそれぞれ言い合う時に、おばちゃん参加者が「私は全員赤色だと思います」と漏らしたこと。
その発言は、イコール「少なくとも自分は赤色」と宣言しているようなものです。
もしこれがギャンブル漫画だったならアホ過ぎる展開ですが、現実では、こういう形で口を滑らすことは大いにあり得ます。
ちゃんとこういう「機転」や「理屈」で勝利へと近づくゲームを見たかった僕は、これだけでも満足です。
でも当時は、「なんだこれ。頭脳戦要素少ない」なんて思ってました。
確かにカイジやライアーゲームのような濃厚な頭脳戦は、脚本無しのガチゲームで成立するのは奇跡に近いとは思いますが、バラエティーとは言え、テレビでやるならヤラセ含めもうちょっと捻ってくれることを期待してました。
でも今思えばあれで十分です。
少なくとも、リアルカイジGPのように「カイジの名前借りただけ」のクソ企画じゃなくて良かった。
リアルカイジGPは、どちらかというと「賭博覇王伝 零」っぽい
カイジの原作者である福本先生の作品「零」は、ドリームキングダムという遊園地のようなステージが舞台で、ギャンブルと称したアトラクションが複数登場します。
主人公である零とその仲間たちは、そのアトラクションにクリアした際に得られる「リング」を集めるために戦います。
リアルカイジGPの予選会場は、見た目はただのイベント会場なので、雰囲気としては零の方が近いと思います。
もちろん零はカイジほどのネームバリューが無いので、「リアル零」という番組が作られたところで誰も見ないのでしょうが。
まとめ
僕は金持ちじゃありませんし、テレビを見てる一般人。つまり大多数の人が金持ちじゃありません。
そんな我々が「負債者の苦行を楽しむ番組」を見て面白いと思うはずがありません。
もちろん、「人の不幸が好き」という底辺特有の哲学が染み込んでいる人にとっては楽しいのでしょうが、そうなると、今まで下に見てた参加者が優勝して大金を手にしたら、今度は何を思うのでしょうか。
僕はカイジが大好きですが、今回の「リアルカイジGP」には、「スカッとジャパン」に似た嫌悪感を感じます。
まぁ「スカッとジャパン」はただ見なければいいだけなのですが、「リアルカイジGP」については僕の好きなカイジというブランドが使われているので、多少なりとも抗議する必要がありました。
この企画によって、福本先生に多少なりともお金が入っているなら少しだけ納得できます。
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