ネットフリックス独占ゾンビ作品「飢えた侵略者(原題:Ravenous)」を鑑賞しました。
邦題からしてクソ映画臭がプンプンしてますが、観てしまったので感想を書きます。
「飢えた侵略者 評価」
「飢えた侵略者 感想」
「飢えた侵略者 ネトフリ」
などのワードで検索される方におすすめです。
目次
作品情報
公開年 | 2017年 |
---|---|
原題 | Les affames |
上映時間 | 103分 |
製作国 | フランス |
監督 | ロバン・オベール |
脚本 | Robin Aubert |
ジャンル | ホラー |
主要キャスト |
マルク=アンドレ・グロンダン モニア・ショクリ シャルロット・サン=マルタン ブリジット・プパール マリー=ジネット・グアイ |
配信サイト・媒体 |
Netflix独占 ※記事公開時の情報です |
あらすじ
ケベックの田舎町で、住人が次々とゾンビの毒牙に侵されていく中、無傷の者たちは生き残りをかけ力を合わせる。静かに流れる時間が逆に恐怖をあおるスリラー映画。
引用:Netflix
あらすじはこんな感じです。
登場人物のバックボーンなど一切語られず、ゾンビアウトブレイクが起きてしばらくした後の設定のようです。
全体の流れを簡単に説明
「ストーリーが一切ない」というレビューが多く、彼らのおっしゃる通り内容を掴みづらいので全体的な流れを思い出しながら書きます。
起承転結:「起」
F1のサーキットコースの脇でディープキスをするカップル。
すると一人の不気味な女性がじーっとその様子を見つめる。
男が「どうかしました?」と声をかけると、不気味な女性は突然ディープキスをしていた女性に襲い掛かる。
場面は変わって荒廃した世界をドライブする2人のおっさん。
森の脇道に手を繋いだ二人の子供を見つけ近づくが、あきらかに様子がおかしい。
おっさん達もそれを理解している様子。
しかし不注意により一人のおっさんが襲われてしまう。
起承転結:「承」
さきほどのおっさんの生き残り。
1人のキャリアウーマン風の女性。
一緒の家で暮らす二人の熟年女性。
たまたま出会った少年と怪我を負った老人。
それぞれの視点でちんたら物語が進む。
起承転結:「転」
登場人物が偶然にも全員合流し希望を求めてどこかへ彷徨う。
途中でゾンビたちがイスを積み上げ塔のようなものを作りそれを崇拝しているところに立ち会う。
そこからゾンビの大群に追われてしまう。
起承転結:「結」
全員必死で彼らから逃げるのだが、
あえて残ることを選ぶもの。
ひたすら戦闘を繰り広げる者もおり、唯一生存が確定した描写があるのは女の子だけ。
最後、その女の子が冒頭で登場したF1レーサーに拾われ、ハッピーエンドのような感じで終了。
感想①全体的に浅い!
まず「ストーリーがほぼ無い」というのがつまらなさに拍車をかけています。
恐らくですが、製作陣は「ウォーキングデッド」を意識した作りにしたかったようですが、一人ひとりのキャラクターに全然魅力を感じず、心理描写も曖昧で一切の深みがありません。
まるで市販の「生姜焼きのたれ」だけで作った生姜焼きのようです。
確かにおいしいけど、みりんとか酒とかショウガとかを使って作る生姜焼きとは深みが違う。そんな感じ。(分かりづらい)
まずこの時点で「登場人物の誰にも感情移入できない」という致命的な状況です。
主人公格のおっさんが要所要所でアメリカンジョークを言うのですが、それが全然オシャレじゃない。
もちろん、アメリカ映画で時々挟まれるアメリカンジョークはいちいち笑えるものでは無いですが、こういうのは「いかにオシャレな場面で挟むか」か凄く大事だと僕は思っています。
「映画でアメリカンジョーク言う奴はなんかかっこいいから、そういうキャラにしよう」みたいな感じで詰め込まれても全くカッコよくありません。
「28日後」という映画でも、一人アメリカンジョークを言うキャラが登場します。
彼が作中で放ったアメリカンジョークは一度だけですが、そのブッコミ方が凄くちょうど良く、観る者にかなりのインパクトを与えました。
また、「心理描写の薄さ」として挙げられるのが、犬に噛まれたおばさんの豹変です。
犬に噛まれたと言い張り、かつ、アコーディオンをずっと持ってるおばさんキャラが1人います。
彼女はずっと物静かで口数が少なかったのですが、一度油断してしまい、ゾンビに殺されかけます。
間一髪のところでアメリカンジョークのおっさんに助けられるのですが、その直後のシークエンスでは今までの静けさが嘘のように一人で愚痴を叫び、早口で回りを挑発します。
「死に直面してやっと自分の本性を出した」という事を製作陣は表したかったんだと思います。
僕はこのシーンを見た時、
「あー。あるあるこういうシーン。」と思いました。
確かにこういうシーンは大いにあるけど、ぶっこみ方が自然じゃなければ「創作物」であることが意識され、途端に感情移入し辛くなります。
「こういうシーン映画でよく見るねー。」と意識された途端終わりです。
明らかに他映画からの使いまわし、もしくは王道的展開だとしても、そう意識させない作りを目指してほしいところです。
感想②役者の顔が印象に残らない
普段ウォーキングデッド見てた頃、
「みんなシャワー浴びてない設定なんだから、もっと頭がかゆくなるような描写とか増えろ!」
「匂いがきついみたいなセリフをもっと増やせ」
みたいにリアル志向のイベントが増えないかと少なからず期待してました。
また、「現実世界はこんなに美男美女だらけじゃないんだから、もっとフツメンがいてもいい」
と思うこともありました。
そんな僕が、まさか映画を観て「もっとオーラがある人が出てこないと面白くない」と思うなんて・・・。
飢えた侵略者は、ホントマジでビックリするくらい印象に残らない人たちしか出てきません。
ガチのマジで世界がゾンビで溢れた時、確かにこういう人たちが生き残るのかもしれませんが、娯楽映画としてはあんまりですね。
全員美男美女とまでは言いませんが、少しでいいから美しいヒロインを観たかった。
余談:今までの自分の感性に反省
映画の中のヒロインって凄く大事な存在なんですね。
「飢えた侵略者」のおかげで気付けました・・・(皮肉)
「美人が出る」 = 「大衆受けするからヒットする」
とかその程度の効果とばかり思っていましたが、美しいヒロインの存在は映画そのものの芸術性を高め、鑑賞者を更に感情移入させてくれるのだと気付きました。
感想③とにかくラストが酷い
ストーリーや役者はまずまずでも、おそらく4Kカメラで撮影したであろうカナダかどっかの森の景色はそこそこ美しく、多少なりとも癒しの効果がありました。
そのおかげで我慢してラストまで来ました。
そして最後の最後、敵の大群に襲われ登場人物たちがバタバタと死にます。
製作陣が「これを待ってたんだろ?さぁ楽しめ!」と言っている顔が目に浮かびます。
しかし、残念。
我々がゾンビ映画に期待していることは「登場人物がゾンビに殺されること」なんかではありません。
もちろん死ぬ分には構いませんが、「全員ゾンビに襲われて死ぬ」なんて単調な映画、存在していいはずがありません。
ホラー映画はギミックで魅せる必要があり、普通に噛まれて死ぬのはせいぜい一人までです。
それ以外は、「どうやって殺すか」を思いつくためにとにかく知恵を絞り、ユニークかつ油断する方法で登場人物を減らすことに集中してください。
「登場人物の一人が自殺する」とかも全然ありです。僕はそういうの大好きですよ。
しかし、「そこに至るまでの心理描写」が無いと話になりません。
シリアスに見せるなら、ちゃんとシナリオを構築してほしいと思ってます。
飢えた侵略者のラスト、敵の大群に唯一立ち向かう一人の女性がいました。
その女性はナタを片手に、迫りくるゾンビ共をバッタバッタとなぎ倒していきます。
ここ、ハッキリ言って笑うところです。
まず撮り方が安っぽい。
固定カメラでその女性を真正面から映し、その女性はまるで「一人チャンバラ」をしているかのようにナタを大げさに振り回します。
すると、その素振りに合わせ画面外から血しぶきがぷっしゃぷっしゃ噴射され、女性の後ろにゾンビ達が倒れ込みます。
なんだこの安っぽい演出???
もはやギャグっすよギャグ。
もうね。「血のりを噴射する装置」がフレームのお外にあるのが分かるんです。
それくらいのリアリティの無さ。
しかも時折、ナタを突くんです。
ナタってあれですよ。包丁みたいに尖ってないので先端は丸くなってます。
それで突いて攻撃って。。。
ウォーキングデッドのシーズン何だったか忘れましたが、アレクサンドリアという平和な街がウォーカーの大群に襲われた時、リック達は逃げずに立ち向かう選択をします。
そりゃもう最強リック軍団ですから、バッタバッタとウォーカー共をなぎ倒していくわけです。
あの時、リック達はカメラに向かってひたすらに武器を振り下ろしてました。
しかしその演出は非常にクールで、「本当に倒してる感」がしっかりありました。
飢えた侵略者のナタで無双するシーンは、その下位互換です。
そんな感じで恐らくナタ女は死にますが、唯一生き残りの描写が描かれたのは少女だけ。
その少女も唐突に登場したF1レーサーに拾われて終わりますが、マジでもう全く、何が言いたかったのか分かりません。
Netflixオリジナル「飢えた侵略者」評価は5点
5点。
よっぽど暇じゃない限り、もしくは今までにゾンビ映画を観たことが無いという特異な人以外見る必要はないでしょう。
音楽も耳に残らず、何も残らない映画です。
さて、飢えた侵略者のレビュー記事はそこそこ多いですが、アクセス数を増やすためか、記事タイトルに「28日後」とか「ウォーキングデッド」とかを書いてる方がいます。
マジでこの辺りの作品と比べるのもおこがましい。
ウォーキングデッドはまぁまぁ好きですが、28日後は本当に神作品です。
僕の中では、「ゾンビ映画の中で一番好き」というものではなく、「映画全体の中でも相当心に残った作品」です。
飢えた侵略者を見る際、僅かながらに「28日後に少しでも似てたらいいな」なんて思ってましたが、全く同じような要素はありません。
そのうち28日後の記事と「キリアンマーフィーについて」の記事も書きますね。





