今回は「sense8(センス8)」というあまり話題になってない海外ドラマについての紹介です。
既にシーズン2まで公開されており、2018年には最終回が2時間ドラマとして配信されることが決定しているようです。
個人的にかなりオススメ。
2018年6月8日追記!
予定通り最終話が配信されたので鑑賞しました!
最後の方に完結版の感想も書いてます!
※当記事はネタバレを含みます。
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「センス8 感想」
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作品情報
配信年 | シーズン1(2015年) シーズン2(2017年) フィナーレ(2018年) |
---|---|
原題 | Sense8(感覚・知覚するという意味を持つ”sensate”から文字っている) |
上映時間 | シーズン1(全12エピソード) シーズン2(全11エピソード) 最終話(151分)※最終話はシーズン2の「12エピソード目」という設定 |
製作国 | アメリカ |
監督 | リリー・ウォシャウスキー |
脚本 | リリー・ウォシャウスキー |
ジャンル | SF、ファンタジー |
主要キャスト |
タペンス・ミドルトン ブライアン・J・スミス ペ・ドゥナ ジェイミー・クレイトン マックス・リーメルト |
配信サイト・媒体 |
Netflix独占 ※記事公開時の情報です |
sense8(センス8)ってどんなドラマ?
「精神の入れ替わり」を題材としている
「君の名は。」の比じゃないくらい入れ替わります。
また、入れ替わりというギミックを利用して敵に立ち向かうという工夫も随所に見られますので、観ていて飽きません。
雰囲気としては、ハードボイルドなシーンが多いながらもかなり神秘的です。
いくつかのトレイラーがあるのですが、僕はシーズン2の紹介トレイラーが一番好きです。
こちらがそのトレイラーです。
このトレイラーは音楽が良い。
神秘的な音楽と、「感応」という能力との相性が抜群です。
他のトレイラーはどれも「サスペンス」を重視した作りで、音楽も暗いのであまり好きじゃありません。
このトレイラーが一番「センス8」を表してると思います。
あらすじ
本作のストーリーは、アンジェリカと呼ばれる女性が”ウィスパーズ”という男から逃れるために自殺する直前、世界各地の異なった文化の国にいる8人(カフィアス、サン、ノミ、カーラ、ライリー、ヴォルフガング、リト、ウィル)に精神的な繋がりを「産んだ」ことから始まる。精神的にも感情的にも繋がりを持った8人は、互いに知り合って交流し、自分たちが知識や言語、技術を共有することができる「感応者」のクラスター(群体)となったことを知る。世界規模の強大な権力を持つ組織バイオロジック・プリザベージョン・オーガニゼーション(BPO)は感応者を捕えて残酷に扱っており、8人の感応者たちがBPOに存在を察知されてしまったことから物語は展開していく。
メタ情報(制作の裏側)
監督は「マトリックス」と同じ「ウォシャウスキー姉妹」
『センス8』(Sense8)はネットフリックスの配信用に製作されたウォシャウスキー姉妹、およびJ・マイケル・ストラジンスキーによるアメリカ合衆国のサイエンス・フィクションドラマ。原題の”Sense8(センス8)”は「知覚する」ことを意味する”sensate”の言葉遊びとなっている。
ウォシャウスキー姉妹は二人とも性転換手術を受けています。
つまり二人とも元男性です。
作中で言う「ノミ」と同じです。
センス8は性描写、LGBT描写が多いですが、それは彼ら(彼女たち)からのメッセージです。
制作者たちは、今日までの多くのサイエンス・フィクション番組において充分に描かれていないと感じている、政治、自己同一性、セクシュアリティ、ジェンダー、そして宗教といったテーマを掘り下げることを目指した。
だからこそ本作は「様々な形での性描写」「あらゆる人種」「あらゆる文化」が登場します。
そしてウォシャウスキー姉妹は、メガヒットした「マトリックス(1999)」の生みの親でもあります。
これを知っておくだけでも本作を見る目が少し変わるのでは無いでしょうか。
実際に世界各国に飛び回って撮影している
本作は、シカゴ、ロンドン、インド、韓国、ケニアなどなど、本当にいろいろな場所で話が進みますが、実際に各地で撮影しているそうです。
膨大な予算がかかりそうですね・・・。
一応シーズン1では1エピソード辺り450万ドル、シーズン2では約900万ドルの予算が設けられていたそうです。
そしてシーズン2では予算に見合った視聴者数では無かったようなので、それが打ち切りに繋がったみたいですね。
予算上げ過ぎ!
監督はロケ地ごとに違う人が担当
こんな撮影方法があるんですね。
連続ドラマでは、エピソードごとに監督が変わることもあるそうですが、センス8ではロケ地ごとに監督が振り分けられているそうです。
最終的にまとめるのはウォシャウスキー姉妹なんでしょうが、しっかりと状況を把握した監督が何人もいるというのは、凄く大変そうです。
4Kカメラで撮影されている
Netflixオリジナルコンテンツは、ほぼ全て4Kカメラで撮影されている為高精細です。
僕は月額950円のスタンダードプランなので4K映像は楽しめませんが、それでもキレイです。
月額1450円のプレミアムプランで契約すれば4K画質で楽しめますので、ガッツリ4Kを楽しみたい人にはプレミアムがおすすめですね。
4K画質で観るセンス8の性描写(と世界中の映像。きっと素晴らしいんだろうな。
シーズン2で打ち切りが決まっていた
前述の通り、シーズン2は1エピソード約900万ドルという莫大な予算が設けられていたので、それが視聴者数と吊り合わずに打ち切られてしまいました。
しかし熱心なセンス8ファンたちが何度も継続を訴えるキャンペーンを続けた為、「完結編」の制作が決定しました。
完結編のエンドクレジット直前には「ファンの皆様へ」というメッセージが表示されます。
実際に制作してくれた製作陣にはもちろん、Goサインを出してくれたNetflixにも感謝です。
「感応者」たちの能力の定義
・言語を超えた意志疎通ができる
・一人の体に全員で憑依することもできる
・精神的に繋がりのある感応者たちは「クラスター」と呼ばれ、それは主人公グループ以外にも存在している
・感応者が、クラスター以外の感応者と直接目を合わせた場合、互いに意思疎通ができるようになる
・感応者同士ははいつでも繋がれるため、基本的にプライバシーは無い
・しかし、「ブロッカー」と呼ばれる薬やヘロインなどで意志疎通を断絶することが可能
・感応者は「大脳辺縁系」が巨大化しているというところで一般人と違う
・クラスターは全員同じ誕生日(主人公グループは8月8日)
感応者の能力・特徴は概ねこんな感じです。
これらの能力を駆使し、ピンチ時に誰かと入れ替わり、互いに助け合うというのがsense8の基本的な流れです。
sense8(センス8)の見どころ
美しいシーンが多い
製作陣も言っていますが、「LGBT」の描写が非常に多いです。
ベッドシーンもやけに生々しい。
「感応者たちは国籍を超えて繋がり合っている」というテーマだからこそだと思いますが、「人種や性差別」に関する問題提起も、「sense8(センス8)だからこそ扱えてる」と思えるシーンも数多くあります。
感応者全員が入り乱れての乱交シーンや、そうじゃなくてもお互いに助け合うシーンなど、スピリチュアルで神々しい演出を最大限に使い、アーティスティックに描いています。(※ここで乱交シーンを貼っていましたが、過激だった為削除)

登場人物全員が「ヒーロー」である
もちろん大筋はありますが、主人公は8人いて、それぞれのストーリーがあります。
そしてそれぞれ問題を抱えており、互いに助け合って問題を解決していくというサブストーリーを追いかけるタイプのドラマです。
助け合い方ですが、感応者たちは互いに精神を交換することができます。
例えば、感応者の一人である「カフィアス」というケニア在住の黒人は、母親のために買ったエイズの薬をギャングに奪われ、取返しに行きます。
しかし案の定複数人にフルボッコにされます。
すると、「サン」という韓国人女性が突然目の前に現れました。
サンは幼い頃から格闘技に携わっているファイターです。
裏ボクシングみたいなところで試合をしていたサンの前には逆に、ボコボコにされたカフィアスが現れます。
そしてカフィアスは「たすけて・・・」とサンに悲願します。
すると、カフィアスの肉体にサンの精神が宿り、カフィアスは一時的にカンフーマスターとなり、ギャング達をバッサバッサと返り討ちにしていきます。
晴れてエイズの薬を取り返したのでした。(パチパチ)
どうしようも無い弱者の前に、その分野に特化した人格(ヒーロー)が現れて逆転する、という王道的ストーリーですが、やはり逆転劇にはカタルシスを感じます。
吹き替えがいい
最近の映画は、話題性を高めるために本来声優では無いタレントを吹き替えに起用する場合があります。
しかし、これはNetflixオリジナル映画全般に言えることですが、ちゃんとプロの声優を起用しています。
sense8も声優がピッタリハマってます。
吹き替え映画における最低条件のところではありますが、吹き替えがちゃんとしてるというだけでかなり入り込めます。
登場人物に魅力がある
主人公たちのキャラ設定がいいですね。
ゲイとレズビアンが一人ずついます。
ヒロイン格の女性もそこまで美人じゃありません。
韓国人のサンは、ロリ顔なのかおばさん顔なのかよく分からない感じです。
だがその半端な感じが中々いい。
大御所俳優が出演してないところも、作品に入り込める要因かもしれません。
登場人物
恐らく、全員25歳という設定です。
※作中でそういうセリフがあった気がしますが、もしかしたらただの思い違いで、勝手に僕が25歳と思い込んでるだけかもしれません。
ウィル・ゴースキー

ロスで暮してるピッキングができる警官。
腕っぷしが強く高い推理能力を持っていおり、本作ではかなり活躍している。
物語の本筋に大きく携わる主役の中の主役。
銃を撃つ時や、敵を抑え込む時に良く現れる。
ライリー・ブルー(出生名グナルスドッティル)

やり手のDJ。
ロンドンで暮らしているがアイスランド出身。
麻薬ジャンキー。
あまり他の人の役には立ってないが、本筋を進める主役格の子。
唯一覚えているのは、サンが取り調べ室で悪質な取り調べを受けている時、「誰か―。」と叫んで助けを呼んであげたことくらい。
※ちなみにこの時の「誰か―。」は、決して「誰か―!」みたいなテンションではなく淡々とした感じ。ちょっとかわいくてウケた。
カフィアス・”ヴァン・ダム”・オニャンゴ

ケニアに住むバスの運転手。
シーズン2から役者が変わってしまった。
シーズン2の最初で、「カフィアス、お前顔変わったよな?」というメタ発言がある。
得意なのは車の運転とチョッケツ。
「ヴァン・ダム」というアクションスターを崇拝している。
サン・パク

巨大財閥の役員でカンフーマスター(テコンドー?)。
韓国に住んでいる。
肉弾戦に強いということから、ほぼ全てのクラスターの助けをしてあげている。
ことあるごとに皆サンの力を借りている。
自立心の強いキャリアウーマンっぽい性格。
家族ぐるみで経営している巨大財閥の役員という設定が韓国らしい。
ノミ・マークス

元は「マイケル」として生まれたが、性転換手術を施し「ノミ」という名前で生活している。
ノミは”Know me(私のことを知って)”から来ているらしい。
アマニタ(女性)という恋人と一緒にサンフランシスコに暮らす。
超絶やり手のハッカーで、仲間の行く先々でハッキングし、監視カメラなどの情報を提供してあげることで役に立っている。
車の運転ができない。
カーラ・ダンデカー

インドに住む薬剤師。インテリ担当。
医学的に博識で、誰かが怪我した時の応急処置や、「ブロッカー」という薬についての検査などができる。
また、有り合わせのものから即席の爆弾を作り、ヴォルフガングの手助けをしてあげた。
ヴォルフガング・ボグダノフ

ドイツに住むギャング。
ピッキング能力に長けており、開錠不能と思われた金庫も見事開け、大金を手にした。
かなりクールで、仲間に助けを求めない。
喧嘩に強い。
サンの「格闘が強い」とはまた違ったニュアンスである。
「男気担当」でもある。
出会い系アプリで出会った女性と一夜を共にし、食事中にその女性から
「ねぇ、私たちって、また次があるのかな?」と言われ、
「今、恋人が欲しい気分じゃないんだ。」と、やんわり断るというかなり生々しいシーンがある。
リト・ロドリゲス

エルナンドという恋人と、BLが好きな女性(名前忘れた)とメキシコで3人暮らししている。(もともとはエルナンドと二人暮らし)
セクシーな雰囲気が人気な映画スター。
ゲイであることを公開した瞬間人気が激落ち。
役者であることから嘘が得意。
クラスターが困惑している状況を口八丁で乗り切ることができる。
最終話の感想(ネタバレ有り)
2018年6月18日。
待ちに待ったセンス8、最終話、やってくれました・・・。
最高でした。
あ、まず一言言わせてください
「最終話がどこにあるか」がネットフリックス上で探し辛い。
告知では、「完結編は連続ドラマではなく長編映画として配信される」という触れ込みでしたが、形式上は「シーズン2のラストエピソード(12話目)」となってます。
システム上仕方なかったのでしょうが、少し探し辛かった。
というわけで最終話の感想です。
まず、シーズン2の”事実上ラストエピソード”にて、主人公格の感応者が初の全員集合で終わりました。
今までは精神的な繋がりだけでしか接してなかったので、肉体的に実際に出会ったという事実だけでかなりのファンサービスでした。
最終話はもちろんその続きなので、感応者同士、または感応者と繋がりのある脇役達も含めて一つの場所に集まります。
それだけでもうセンス8ファンには嬉しいんです。

しかも、「感応という能力のアイディア」もまだ余っており、その辺りのギミック的なのも見せつけられました。
大満足です。
例えば、感応者たちのアジトにBPOが攻め入り、全員で退避するシーン。
しかし感応者以外の味方がまだ残っており、BPOに拉致されかけていました。
ギリギリながらもそこへ戻れた役者の「リト」。
しかし、リトが戻ったところで何もできません。(対して格闘能力も無い俳優なので)
案の定BPOに銃を向けられ捕まります。
しかしその瞬間リトの精神に「ウィル」が憑依。
戦闘術を心得ているウィルなら武装したBPOでも一掃できます。
感応者同士は精神を共有できるから、必ずしも本人が行く必要はありません。
なんというか「感応という能力のおさらい」みたいなシーンでしたね。
だけど今までにあまり無い展開だったので嬉しかった。
中盤では激しい銃撃戦が多く、その中にも絶妙なアイディアが盛り込まれていました。
特に好きだったのが、敵が落とした銃をライリーが拾い、ウィルが「銃を使えるのか?」と聞くシーン。
ここでライリーは、「私のじゃないわ。あなたのよ。」と言います。
そしてウィルは、「なるほど」と言います。
これこそ「センス8あるある」ですw
いつでも精神が入れ替われるので、仮に自分で銃が使えなくとも、「ウィルが宿った時用」で銃を持っておくのは良い作戦ですw
こんな感じで、最終話もちゃんと「入れ替わりのギミック」を利用して上手い事敵をやっつけてくれます。
肝心のストーリーですが、ちょっと詰め込みすぎな印象です。
まるでシーズン3で予定されていた10話分くらいのストーリーを1つの長編映画に押し込んだ感じでした。
とはいえ、センス8お得意の「芸術的描写」へ割く時間はかなり多く、特にベッドシーン(乱交シーン)はかなりの尺を使ってます。
しかも、エンドロール直前のラストカットは「ペニ〇バンド」というギャグにも似た演出ですw
ですが僕は、ラストシーンからはセンス8製作陣からの強力なメッセージを感じられました。
センス8は、性差別や人種差別等を明らかに避難しています。
特に、クライマックス後の「ノミとアマニタの結婚式」では、変に長ったらしい演説、スピーチ含め、全体を通して「愛」について語っています。
しかしそれらは本当に素晴らしいもので、「映画という娯楽作品」としてでは無い強力なメッセージを感じました。
ダンスシーンも本当に長かったですが、「これぞ最終話」という盛り上がりを感じました。
エンドクレジットの直前、「センス8のファンの皆様へ」というメッセージが表示されました。
これは、打ち切りを回避する為に活動してくれた本物のファンの方へのメッセージでしょう。
センス8は打ち切りが決まっていましたが、ファンの熱い再開活動によって最終話の配信が可能となったので、そのメッセージを最期に放り込んできたんだと思います。
センス8、本当にきれいに終わりました。
連続ドラマ作品で、最終話だけ長編映画としてキレイに終わるという形式は、結構珍しい気もします。
恐らく今後続編を見れることは無いでしょうが、奇跡のように美しいシーンを見るために、何度か繰り返し見てしまうと思います。
センス8。最終話まで涙腺震わしながら楽しめます。おすすめです。
まとめ
全体的に神秘的なオーラをまとった作品です。
かと言ってオカルトに偏った描写は少なく、現実的に物語が進みます。
感応者たちの共有能力を駆使した奇跡みたいなシーンの連続。
そこがとにかく素晴らしいと思います。
本筋は正直何やってるか分かりません。
それよりも、感応者たちのサイドストーリーの方が面白いです。
また、「動画配信サイトのオリジナルコンテンツなんて、予算はどうせかかってないでしょ?」と思えますが、めちゃくちゃ金かかってます。
登場人物が世界中に散らばっているので各国での撮影が必要ですが、実際にロケで各地に出向いてるようです。
映像の美しさも特筆すべき点ですね。
sense8(センス8)。
キレイに完結した近年まれに見る奇跡の作品。
おすすめです。






深刻なネタバレ無しと謳っていますが、私が作品を鑑賞する前に読んで後悔しかない内容となっていました。深刻の度合いはそれぞれの主観ではありますが、ラスト全員がリアルに集合し直接会うとか深刻だと言い切れます。
今後私のような後悔する読者が出ない事を祈り、この記事の序盤のネタバレ無しと謳っている箇所の加筆修正を切に願います
ロン様
大変申し訳ございませんでした。
ロン様も作品に興味を持って当記事にたどり着かれたことかと思います。
そのような方に対して、作品の魅力を半減させるような見せ方をしてしまい、申し訳ございません。
遅ればせながら、
記事冒頭部分にネタバレの追記をいたしました。
この度はコメントにて丁寧にお教えいただきありがとうございました。