新幹線の中でのゾンビとの攻防を描いた韓国映画「新感染」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。
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予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2017年 |
---|---|
原題 | TRAIN TO BUSAN |
上映時間 | 118分 |
製作国 | 韓国 |
監督 | ヨン・サンホ |
脚本 | パク・ジュソク |
ジャンル | ホラー,韓国映画,モンスター |
主要キャスト |
コン・ユ(ソグ) キム・スアン(スアン) チョン・ユミ(ソンギョン) マ・ドンソク(サンファ) チェ・ウシク(ヨングク) アン・ソヒ(ジニ) キム・ウィソン(ヨンソク) チェ・グィファ(ホームレス) パク・ミョンシン(ジョンギル) シム・ウンギョン(感染者の女) イェ・スジョン(インギル) |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
ソウルでファンドマネージャーとして働くソグは妻と別居中で、まだ幼いひとり娘のスアンと暮らしている。スアンは誕生日にプサンにいる母親にひとりで会いにいくと言い出し、ソグは仕方なく娘をプサンまで送り届けることに。ソウルを出発してプサンに向かう高速鉄道KTXに乗車したソグとスアンだったが、直前にソウル駅周辺で不審な騒ぎが起こっていた。そして2人の乗ったKTX101号にも、謎のウィルスに感染したひとりの女が転がり込んでいた。主人公のソグ親子のほか、妊婦と夫、野球部の高校生たち、身勝手な中年サラリーマンなど、さまざまな乗客たちが、感染者に捕らわれれば死が待ち受けるという極限状態の中で、生き残りをかけて決死の戦いに挑み、それぞれの人間ドラマが描かれる。
魅力
①既存のゾンビの設定を活かしつつ、新しいアイディアや機転が盛り込まれて新鮮味があった
②主人公たちへの感情移入のさせ方が上手い
③「閑静な雰囲気」と「不穏な雰囲気」が織り交ざった「昼間のパンデミック」シーンが多く、個人的にゾンビ映画特有の非日常感をしっかり味わえる
気になる点
・トラブルメーカー達の行動の説得力が薄い
【ネタバレ無し】感想

感染した鹿
とても面白いゾンビ映画で、プロットやロケーション、セットなどからは「A級映画」の雰囲気を感じます。
しかし展開はB級クオリティーかと。
いくらかのトラブル、機転は新鮮味がありそれなりのカタルシスがありますが、イベントを引き出す為の「登場人物の行動」には少し理解し辛い部分もあります。
ただ、「全く意味が分からん」と突っ込みを入れたくなる程ではありません。
「ちょっとその行動への心理描写が薄いな」という程度で納得は出来るレベルです。
ゾンビ映画において最も肝心な「主人公たちの人間模様」の出来は中々のクオリティでした。
特に温度差を感じることもなく、主人公たちの置かれた状況、心理を思う存分楽しめました。
【ネタバレ有り】感想
※ここからネタバレを含みます。
ラストまでのザックリストーリー
※ハショる為に、少し内容を変えてる部分もあります
・主人公の「ソグ(コン・ユ)」と娘の「スアン(キム・スアン)」は、プサン行きの新幹線「KTX101号」に乗る
・すると兼ねてから韓国を騒がせていた「感染症」が露わになり、感染者の一人が滑り込みで「KTX101号」に乗り込み、瞬く間に車内は感染者で溢れかえる
・「自分達(自分と娘)さえ助かればいい」と考えてるソグは、時折他の生存者とぶつかることもあるが、基本的には力を合わせ窮地を脱し続ける
・「KTX101号」は、いよいよ最終的な目的地である「プサン」に着くも、そこには誰もおらず、また線路に瓦礫が乗っていたため、新幹線も走れなくなる。
・車掌は「モータカー(線路をケアするような電車)」に乗り換え、他の乗客にもこちらに移るよう車内アナウンスで指示。
・イチかバチかの移動を試みるソグたちだが、兼ねてからトラブルメーカーだった「ヨンソク(キム・ウィソン)」というビジネスマンにここでも苦しめられ、結果的に生き残りは3人になる。
・既に低速で走行中のモータカーに飛び乗ったソグ達3人は、運転室を開けてビックリ。そこに居たのは「ヨンソク」で、既に彼は感染の初期状態だった。
・ソグはヨンソクと対峙し、なんとか勝利するも噛まれてしまう。娘のソグをもう一人の生存者である「ソンギョン(チョン・ユミ)」に託し、自分は走行中の列車から飛び降り自殺する。
・二人になったスアンとヨンソクはしばらく列車を走らせるが、トンネルの直前で線路上の障害物を発見し、そこから徒歩で移動する。
・軍人のスナイパー視点に替わり、トンネルを歩く女性と子供を発見。「今の段階では感染者かどうか分からない」と報告すると、上からは射殺の命令が。しかし引き金を引く直前で子供の歌声が聞こえ始め、それにより感染者では無いことを把握。スアンとヨンソクは無事保護されたのだった。
良い点:そこそこアイディアが盛り込まれてたのが新鮮だった

新聞紙を貼って感染者への刺激を抑える
全然おもんないB級ホラー映画は「どこかで観た事のあるシーンの寄せ集め」になっており、それがつまらなさに拍車をかけていたりします。
しかし本作は、ある程度斬新なアイディア、設定が盛り込まれており、「ゾンビ映画を観飽きたけど年に30本は観たい」という僕のような奇人にも楽しめるような作りでした。
個人的に好きだったのが、窓に水をぶっかけて、表面張力を利用して新聞紙を張り付けるシーン。
本当に何気ないシーンですが、あーいう「誰でも思いつきそうな機転をあえて形にする」というところに好感が持てました。
もちろんあのテクニックが、「主人公たちが死ぬ絶体絶命のピンチをドラマティックに切り抜けた瞬間」だったら激萎えしてました。
でも「ひと段落し平和になった時の小ネタ」として挿入されたので、良い感じのアクセントとなりました。
他にも「トンネル」やら「スマホの着信」などの機転もあり、それなりに面白いイベントが詰まっていました。
良い点:主人公たちへの感情移入のさせ方が上手い

主人公「ソグ(コン・ユ)」
少し前に「バードボックス」というネトフリ独占作品を見ましたが、鑑賞中のワクワクさがとても低い作品でした。
そしてその理由の一つが「生存者コミュニティの中の人間模様がめっちゃつまらない」でした。
パンデミック系のホラー映画は、「生き残り達の人間ドラマ」が非常に大事。
そこがつまらない、または感情移入できない作りだと、鑑賞中の退屈度が激増します。
ありがたい事に本作は、割と丁寧に人間模様が描かれていました。
逆に「人間ドラマを重視し過ぎて退屈になった」という事も無く、非常に良い感じで「即席疑似家族」を作り上げました。
悪い点:トラブルメーカー達の行動の説得力が薄い
・自分の事しか考えない悪役ビジネスマンの言動
・ドアを閉める際手を出して噛まれた体育会系
・生存者グループを崩壊に追い込んだおばあちゃん
・線路で転んだビジネスマンを、何の躊躇も葛藤も無く助けに行った電車の運転手
など、「盛り上がる展開に持っていく為のキャラクターのアクション」が、ちょっと雑に感じました。
特に「おばあちゃん」の行動は割とぶっ飛び度が高かった気がします。
ホラー映画の中で「精神的に大ダメージを受けた脇役が自殺する」という描写は多く見かけます。
もちろん突然自殺しても全く面白くないので、自殺に至るまでにちょくちょく暗い表情を挟み、意味深な言動をさせたりします。
本作のおばあちゃんは、精神的ダメージに加え「死んだ姉の善人的性格と、今の生存者グループの言動」など、いろいろ重なってあの行動に至ったんだと思いますが、創作物の中で起きた出来事として捉えたら、やはり少し無理やり感のある行動でした。
考察①:ラスボスが「自分の家の住所」を言ってた意味

一応ラスボスだったヨンソク(キム・ウィソン)
ソグが運転室の扉を開けると、そこには感染初期状態の「ヨンソク(キム・ウィソン)」が居ました。
ヨンソクはソグに向かって「僕の住所は・・・」など、今までのキャラとは全く違う事を言い、どうやら軽く幼児退行しているようでした。
この現象について鑑賞中は「感染すると記憶の時系列がやふやになる」程度の認識で特に深くは考えなかったのですが、今考えると、ソグが感染し、自分の人格が壊れる直前、「スアンが生まれた時のイメージ」を思い浮かべたことと繋がっている気もしてきました。
もしかしたら、感染し自分の人格が崩壊するタイミングで、「最も幸せな頃」の記憶が呼び起こされる作用があるのかもしれません。
ヨンソクにとってはそれが子供の頃で、ソグにとってはスアンの出産だった。
そこまでこだわった設定じゃなくとも、「走馬灯」が具現化されたのかもしれません。
ただ、「ラスボスとの戦闘」はやっぱり色濃く、そして深い裏付けがあった方が楽しめるので、個人的には「ヨンソクが幼児返りしたのは、ソグが出産のイメージを見る為の伏線だった」と捉えておきます。
評価・まとめ
70点
若干のB級テイストが感じられるも、人物の心理描写や人間摩擦は丁寧で、トータルで面白い作品でした。
「トラブルの起こし方」さえ拒絶しなければ、中々の名作に感じると思います。
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