謎の男から受け取った、最高の楽園「Beach」への地図。
主人公の「リチャード」はそこに辿り着いた後、しばらくは自由な生活を謳歌するが・・・。
2000年に「レオナルドディカプリオ」主演で公開された問題作、「ザ・ビーチ」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という
文章の直前までを目安にご覧ください。
目次
予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2000年 |
---|---|
原題 | The Beach |
上映時間 | 119分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ダニー・ボイル |
脚本 | ジョン・ホッジ(原作:アレックス・ガーランド) |
ジャンル | ドラマ,ヒューマンドラマ,サスペンス |
主要キャスト |
レオナルド・ディカプリオ(Richard) ティルダ・スウィントン(Sal) ビルジニー・ルドワイヤン(フランソワーズ) ギョーム・カネ(Etienne) ロバート・カーライル(Daffy) パターソン・ジョセフ(Keaty) ラース・アーレンツ=ハンセン(Bugs) |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Youtube…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
リチャードは退屈なアメリカを飛び出し、刺激を求めてバンコクへ。その夜、リチャードはダフィと出会い、秘密の孤島「ザ・ビーチ」の伝説を聞く。ある日、ダフィが自殺。リチャードの部屋のドアには孤島の地図が貼りつけてあった。
魅力
①孤独、一人旅、自由、リスク・・・。20代前半の男が憧れる要素がてんこ盛り
②ミュージックビデオのような演出がCool。そしてやっぱりダニー監督の映画は音楽が良い
③2020年の今、改めて鑑賞するとCG・合成臭さが目立つが、それでも美しい楽園の風景
④ディカプリオの狂気の演技が凄まじい
気になる点
・「賛否両論だろうな」という感じはあるが、個人的に特に気になる点は無し
【ネタバレ無し】感想


初めて本作を鑑賞したのは10代の頃で、正直内容が良く分かりませんでした。
当時は自分がアホだったのもあって、
「実は島の住人達は何か秘密を持っているはずだ!」とか、
「急にモンスターが登場するのか?」
みたいなホラーテイストを期待して鑑賞していました。
その結果期待通りの展開にはならず、訳も分からないまま終わったので特に記憶にも残らず・・・。
しかし20代になって改めて鑑賞すると、主人公の「リチャード(ディカプリオ)」に感情移入しまくりで、しかもストーリーも軽く把握している状態なので、サスペンス部分や各キャラクターの感情もスイスイ入ってくる。
ハッキリ言って「ダニー・ボイル監督」の作品はどれもアップテンポで、初見では内容が分かりづらい事も多いです。
しかもこの「ザ・ビーチ」は小説が原作なので、それを2時間に圧縮した本作は、割と意識して鑑賞しないと置いてけぼりを食らいます。
しかもプロットに「~実は彼らは秘密を隠し持っていて~」みたいな明白な惹きつけポイントが無く、終始「ヒューマンドラマ」なので、「これってどういう映画?」という質問にも自信満々に答え辛い。
だけど間違いなく面白いんです。
本作には、いくつもの「埋もれた名曲」が挿入されています。
実際に当時、本作の影響で人気が再燃したアーティストも居ました。
また、演出がかっこいい。
時々挟まれる、シュールで、かっこよくて、いや、どちらかと言うとダサイ演出。
そんな「時代を先行きし過ぎた演出」をぶっ込んで来ます。
完全に賛否両論な点ですが筆者は好き。
ディカプリオの狂気的な演技も最高。
正直、ストーリーに魅力はそんなに感じないけど、不思議と最後まで飽きずに鑑賞できる名作だと思ってます。
一般評価は「3.1」
どこか盛り上がりに欠ける感じや、時折挟まれるゴテゴテな演出。
拒絶する人は徹底的に拒絶するようで、平均すると中評価に留まっています。
※ここからネタバレを含みます。
【ネタバレ有り】感想
「危険」や「孤独」に憧れる若者の描写が上手い

主人公「リチャード」は、バックパッカーとしてそれなりのリスクを冒しつつ旅を楽しみます。
筆者はこのようなバックパック経験こそありませんが、それでも「秘密の楽園(の都市伝説)」の話を聞いたら、絶対に行きたくなります。
本作は、男のそういう冒険心を思ックソくすぐってくる。
そして中盤以降リチャードは、ビーチのリーダー「サル」から楽園を追い出され、孤独を感じるようになります。
この「孤独」が「狂気」に走るきっかけでしたね。
しかし展開があまりに急過ぎて、リチャードがあそこまで狂った事に違和感を感じた鑑賞者も多いと思います。
僕も最初はそうでした。
でも、「孤独を楽しめるようになり、何にも束縛されなくなった瞬間」を実際に味わうと、リチャードの気持ちが良く分かります。
本当にリチャードのように、自分がゲームの主人公で、自由で、無敵だと錯覚してします。笑
作中のリチャードはそれに加え、地図を取り返す等のミッションもあったので、尚ハイになっていたことでしょう。
正直リチャードに感情移入出来る人は、「今までの人生で、一人でハイになり犯罪スレスレの事をやった事がある人」に限定されるのではと思ってます。笑
残念ながら僕は大いにあるので、めっちゃハマれました。
ディカプリオの狂気が凄まじい

名作「タイタニック」で世界中に「レオナルドディカプリオ」の名を知らしめた後の彼の出演作がコレ。
本作出演に至っては色々な大人の事情があったようですが、個人的にはマジでディカプリオで良かったと思ってます。(ちなみに大人の事情が絡まなかったら、「ユアン・マクレガー」がリチャード役だった模様)
平気な顔で嘘をツキまくるリチャード。
相手をまくしたてる時のセリフ含め、一つ残らず本当にペラッペラな発言に聞こえます。
この、「薄い発言しかしないヘタレな男」感がめちゃくちゃハマってる。
それでいて終盤の狂気の演技。

イモムシを口にした後のリチャード
彼が中年になった今でこそ「ディカプリオは力強いキ〇ガイ演技が上手い役者」というイメージが強いですが、この頃からしっかりとした狂気を持っていたんですね。
またダニー監督も明らかに「トランス状態」の演出の方が得意なようで、狂ったリチャードの魅力を最大限に引き出しています。
よって、序盤と終盤で、ストーリーの流れだけでなく、リチャードの描写や、演出の雰囲気もガラっと変わるので、そこも評価が低くなった原因だと思ってます。
マジでダニーは毎回観客を置いてけぼりにし過ぎてる。
理想郷を維持するには、それなりに代償も多い

ここでそろそろストーリーに関する話でもしておきましょうか・・・。
とりあえず最後まで見終えて、「我々は良く“理想郷”というものに憧れるけど、それを維持する為には、中々ダークな事もクリアしていかないといけないよ」というメッセージを受け取りました。
または、「我々が既に受け取ってるこの楽園のような生活も、見えないところで誰かが汚い仕事をしてくれてるから成り立ってるんだよ」という風にも聞こえます。
だからこそ、サメに襲われた後の傷口はえらく痛々しかったし、リチャードが「クリスト」の鼻と口を塞ぐシーンも、真正面から映されていました。
良くあるホラー映画のようにここをボカしたら、「理想郷の“裏”の部分」が有耶無耶になってしまいます。
しかしそうはならなかったおかげで、強烈なメッセージを感じ取れました。
ストーリーに関する僕の見解は以上です。
正直、良く分からなかったところ
・ビーチと農園の協定関係。ビーチの存在は農園にとって何のメリットも無いのではなかろうか。どのような流れでこの2つのコミュニティは共存するに至ったのかが気になる。
・ダフィは何故リチャードに目を付けたのか?直観か?また彼が自殺した理由。
【感想】「ザ・ビーチ」の魅力4個。都市伝説の楽園に行ってみたら…。:評価・まとめ
80点
時代を先取りし過ぎたせいでコケた作品ですが、カルト的な人気を誇っています。
僕も好きです。
ダニー監督のゴテゴテな演出が好きな方にも是非見て欲しいし、日常にスリルが欲しくてついつい危険なことをしてしまう方にも見て欲しい。
きっと正気に戻るはず。笑





