M・ナイト・シャマラン監督が仕掛けるヒーロー映画「アンブレイカブル」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。
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予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2000年 |
---|---|
原題 | Unbreakable |
上映時間 | 107 |
製作国 | アメリカ |
監督 | M・ナイト・シャマラン |
脚本 | M・ナイト・シャマラン |
ジャンル | ヒーロー,ヒューマンドラマ |
主要キャスト |
ブルース・ウィリス サミュエル・L・ジャクソン ロビン・ライト・ペン スペンサー・トリート・クラーク シャーレイン・ウッダード |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Amazonプライムビデオ…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
フィラデルフィアで起こった悲惨な列車衝突事故。131人の乗員・乗客が死亡したこの事故で、デビッドはただ1人、傷ひとつ負わず奇跡的に死を免れた。「なぜ、俺だけが?」 やがてイライジャと名乗る男が現れ、デビッドこそが不滅の肉体を持つ者“アンブレイカブル”であり、弱き者を守る使命を帯びたヒーローだと告げる。
魅力
①シャマラン監督特有の重みのあるカメラワークが心地良い
②ひたすら地味だが重厚なストーリー
【ネタバレ無し】感想

先日「スプリット(2017)」という作品を鑑賞し、それ経由で「アンブレイカブル」に辿り着きました。
冒頭、主人公の「ダン(ブルース・ウィルス)」は列車の中で一般人女性と会話をするのですが、そこからもう面白い。
キレイ系な女性が隣に座り、さりげなく指輪を外すダン。
そしてジョーク混じりの談笑をし、最後にはなんと「私結婚してるの」と気まずい告白。
やり取りも面白いのですが、座席の間から覗き見るようなカメラワークのおかげで更に引き込まれました。

「前の座席に座ってた子供目線」をカメラワークで上手く表現しています。
良い点:ヒーロー誕生までのプロセスがしっかり描かれている

10年前からアメコミの実写化が連発されており、それ系の映画が大好きな僕は良く見ていますが、本作はそれらのアメコミ映画と違い「ヒーロー誕生までのプロセス」がしっかりと描かれています。
というか全尺それです。
むしろ、「ある程度シリーズ化されたコミックの前日章」みたいな雰囲気を漂わせています。
ヒーローとしての過程、人間ドラマがとにかく好きな僕にはヨダレもの。
良い点:重量感を感じる不思議なカメラワークが良い

シャマラン監督の作品はカメラワークが好き。
ゆっくりと迫るようなカメラワークにより些細なイベントでも重苦しく感じられます。
その他「ダンが能力を発動する瞬間」の演出もとにかくクールでかっこいい。
良い感じで中二感が出ています。
【ネタバレ有り】感想
※ここからネタバレを含みます。
ラストまでのザックリストーリー

息子が学校で怪我をした為、担当の教師と話すことになったダン。
ダンは忘れていたが、ダンはその先生の教え子でもあった。
そしてダンが子供時代に経験した「プールで5分間沈み続けたが死なずに回復した話」をする。
この事を思い出したダンは、「自分は驚異的なタフネスを持っている」と確信し、今まで距離を取っていた「Mr.ガラス」に連絡を取る。
そしてヒーローとしての行動を開始する。
「悪い人間を見抜く能力」により早速危険人物を発見したダンは、密かに後を付ける。
家の中へ進入すると案の定家は荒らされており、子供たち2人が縛られていた。
夫は既に殺されており、妻も縛り上げられ暴力を受けていた様子。
気付くと背後に敵が立っており、速攻でテラスから投げ飛ばされる。
ダンはそのままプールに落ち、苦手な水と格闘しながらもなんとか陸上に這い出る。
そして油断した敵に背後から忍び寄り、ヘッドロックで敵を締め落とそうとするダン。
敵は必死にダンにダメージを与えようと奮闘するが、物理攻撃は全く効かずヘッドロックを緩めないダン。
そのまま敵は意識を失い、ダンは静かに帰宅。
翌朝。
リビングに来た息子の「ジョセフ」にゆっくりと新聞を差し出すダン。
そこには「謎のヒーロー現る」という見出しで、昨日のダンの活躍がまとめられていた。
驚くジョセフに「お前は正しかった」と告げ、指で「シー(内緒)」のジェスチャーをする。
静かに涙を流すジョセフ。
イライジャ(Mr.ガラス)の元へ訪れたダン。
イライジャは既に記事を読んでおり、そのヒーローの正体がダンだということも知っていた。
イライジャは「そろそろ握手をする頃だ」と言いダンに握手をせがむ。
二人が手を握った瞬間、イライジャの「悪事」が走馬灯としてダンの頭を駆け巡る。
ダン以外が全員死亡した列車事故含め、ホテルの火災、飛行機事故など、実は全てイライジャが仕組んだことだった。
良い点:コミックを「歴史を伝える最後の手段」と意味づけすることで、リアリティーが増した
どんなに非現実敵な内容でも、ある程度現実っぽい意味づけを持たせれば一気に興味を惹かれます。
本作では「ヒーロー」という非現実要素が登場しますが、「コミック」という要素を現実に落とし込む為に、「歴史を伝えるために存在するもの」と定義していました。(飽くまで“イライジャ”の哲学)
古代の壁画と同じ。
世界の国々では今でも“絵”で知識を伝達する。
コミックも、どこかで誰かが体験した“歴史”なのだ。
引用:「アンブレイカブル」Mr.ガラスのセリフ
イライジャのこのセリフにより、「コミックはもしかしたら現実の出来事かもしれない」と思いながら鑑賞できたので、割としっかり入り込むことができました。
良い点:ひたすら地味だが重厚なストーリー
ネタバレ無し感想でもチラっと書きましたが、本作はダンがヒーローとして自覚するまでを描いています。
戦闘シーンも1度しかなく、それもとても地味なものでした。
でもとにかく「ダン」と「イライジャ」の描写が丁寧で、特にイライジャを極端な弱者にすることでヒール役にも感情移入させられました。
それでいて序盤でイライジャが「ここはおもちゃ屋じゃない」と憤怒するシーンにより「イライジャの異質さ」も明かされていたので、「ただのコミックオタクじゃない」というヤバさもしっかり感じられました。
ダンとイライジャの両者が「存在意義」に辿り着くラストはとてもシリアスで重く、単純に面白かった。
評価・まとめ
80点
2019年には「ミスター・ガラス」が公開予定です。
そのトレイラーもめちゃくちゃ面白かったので半ば事前勉強の為にアンブレイカブルを鑑賞しましたが、中々の良作でした。
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