ネットフリックスで独占配信されている「ブラックミラー」。
シーズン4エピソード2「アークエンジェル」のネタバレ感想記事です。
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目次
作品情報
原題 | Ark angel |
---|---|
上映時間 | 52分 |
監督 | ジョディ・フォスター |
原作・脚本 | Charlie Brooker/ |
キャスト |
Owen Teague Rosemarie DeWitt Brenna Harding |
おバカさ | ☆☆☆☆☆ |
シリアス度 | ★★★★☆ |
胸糞度 | ★☆☆☆☆ |
理不尽度 | ★★☆☆☆ |
オチの爽快感 | ★☆☆☆☆ |
総評 | ★★☆☆☆(星2) |
設定 | 人の視界をハックできるインプラント機器が登場。現代より少し未来程度。 |
あらすじ
サラの母親マリーは、サラが行方不明になりかけたのを機に、サラに「アークエンジェル」という機器を埋め込む。
この機器が原因で大きなトラブルへ発展する。
※次項からネタバレを含みます。
ネタバレ感想と考察
全体的なストーリーと感想
”人を監視し続けるとどうなるか?”がメインテーマでしたが、「暴力描写の抑制が引き起こすもの」という意外な社会的メッセージも含まれていました。
まず、アークエンジェルで出来ることをまとめます。
・GPS機能で対象者の位置情報が分かる
・該当者の視界をリアルタイムで覗き見ることができ、更にその映像(音声付)も記録できる
・暴力的な表現など、教育上相応しくないものはオートでモザイクをかけれらる
・対象者の成分状況や健康状態が分かる
母親マリーは、愛娘サラにアークエンジェルを埋め込みます。
最初はあらゆる暴力描写等がカットされるようになっていしていましたが、サラの祖父(マリーの父)が病気で倒れた際にもモザイクがかかってしまった為、マリーはアークエンジェルの使用を一旦取りやめます。
モザイク等の機能も全て解除し、そして自分自身タブレットを物置にしまいこみます。
そして成長するサラ。
高校生になり、マリーに「友達の家に行ってくる」とウソを付き、彼氏と湖でイチャイチャ。
サラが嘘を付いていると知り、サラは困惑するも「また監視してる」とバレたくないので、嘘に気付かないフリをする。
しかし最終的には監視していたことがバレてしまい、サラはマリーに暴行を加え、サラがうなだれている隙に家出する。
良い点:子役のサラが可愛かった

子役のサラは凄い可愛かった。
でも思春期のサラはなんかゴツい。

これはちょっと悪い点に入れてしまいたいくらいがっかりです。(大げさ)
少し悪い点:SF設定を誇張し過ぎ
「GPS機能を使って今どこに居るかだけ監視する」という使い方だけが一番リアリティのある設定です。
でもこれだけだと話を広げようが無いし、何より、現代でもスマホとかで普通に出来ます。
だから「視界ハック」と「暴力モザイク」が加わったんだと思いますが、この辺りで一気に「ブラックミラー感」が増してます。
当然ながら「奇妙な物語系SF」において「やり過ぎたSF設定」は付き物だし、これを否定してしまうと「ブラックミラーなんか見ちゃいけない人」になりますが、このシステムがあるせいで序盤から嫌な予感しかしませんでした。
良い点:ラストで少しグッと来た
愛してやまない娘サラが、その愛情ゆえに家を出ていってしまいました。
家を後にしたサラを探す時に、マリーがチラチラと幼少期のサラを思い出します。
このフラッシュバックの演出が凄く良い・・・。
定番ではありますが、なんでこう「昔の映像」が流れるのにグッと来るんでしょうか・・・。
このフラッシュバックがシリアス度を一気に高めました。
考察:”監視中毒”となってしまった母親
いつかは子離れしないといけないと教えられました。
今回、娘への愛情が強過ぎて、結果、マリーは娘と仲違い(なかたがい)してしまいます。
仲違いと書きましたが、本当は修復不能な絶縁状態かもしれません。(ラストより後の出来事なので想像するしかない)
「自分の子供をいつでも監視できる」という状態が提供されたら、誰だって常に見てしまうと思います。
しかしその結果依存してしまい、親の方が壊れていくのです。
今回、マリーの父親が「古いタイプの人間」として描かれています。
「俺が子供の頃は自由だった」というセリフがあるように、アークエンジェルを使った教育とは対照的な立場です。
「監視のし過ぎ」が良くないのは、「アークエンジェル」が登場した瞬間から予測できました。
(自分がブラックミラーを見てるというのも含め)
もし将来アークエンジェルのようなものが一般化しても、「GPS機能」程度に留めておきたいですね。
考察:暴力表現を控えるゲームへのメッセージ
「暴力表現に自動的にモザイクがかかる」というのは、昨今のゲーム業界への強烈なアンチテーゼではないでしょうか。
実際に日本では、アメリカ産ゲームの暴力表現が緩和されてローカライズ販売されたりします。
激しい暴力描写が丸々カットされたり、
血の色が緑になったり、
特定のミッションがプレイできなかったりなどなど。
作中の話に戻りますが、サラは暴力的なものを観ても、アークエンジェルにより自動でモザイクがかかるようになっていました。
その為、暴力がどんなものか分かりません。
それが逆にサラの好奇心を刺激し、実際に人から血が出てる絵を描きますが、それにもモザイクがかかります。
次第にサラはエスカレートし、鉛筆を指先に差し、血が出てくるのを眺めます。
それもすぐにモザイクがかかり、自分では見れなくなります。
結果として、サラは自分の手を鉛筆で刺しまくり、自傷行為へと走ってしまったのです。
確かにゲームにおける暴力は「娯楽」の範疇ではありますが、それを更に「非現実化」することによる代償は大きいのではと(本作を通して)思えてしまいます。
ちなみに本作はアメリカで製作されたものです。
アメリカでは日本ほど規制が無いはずなのに、このようなテーマを盛り込んでくれたことに感謝です。
考察:サラは妊娠していたのか?
していました。
明示的には描写されていなかったのですが、サラとトリックが別れ話をした後、マリーのタブレットがアラートを出します。
そしてタブレットを観たマリーは「そんな・・・」と言います。
てっきり、別れ話により精神的に不安定になったことをタブレットが知らせたのかと思いました。
しかしどうやら、このアラートはサリーの妊娠を報告していたようです。
速攻でマリーは薬局へ行き、避妊薬(中絶薬)を朝食に混ぜサリーに与えます。
結果としてこれがきっかけでアークエンジェルが現役であることがバレてしまったので、マリーはもっと上手くごまかせば良かったのにとは思います。
考察:アークエンジェルの由来
アークエンジェルとは、いろんなロボットアニメやらミリタリー系作品に登場する名前ですが、「大天使の階級」の一つのようです。
「アークエンジェル」でググっても、ガンダムシードのキャラ?が邪魔して上手く調べられないのですが、Wikiにはこう書いてあります。
天使の階級の一つである大天使の英名。
これ、だけ。
評価・まとめ
総評:★★☆☆☆(星2)
テーマやメッセージ性は良かったですが、特に捻りがなく、序盤の問題提起の段階で予想できてしまうラストでした。
しかしベーシックが故に感情に訴えてくるものはあり、更に「親子愛」がメインに描かれているいるため、ラストでグっと来ます。
サラがせめてもう少し可愛ければ。