霊媒師夫婦と悪魔の死闘を描いたNetflixオリジナルホラー作品「サブリナ 人形の悪夢」を鑑賞しました。
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。
関連記事:
※関連記事は最後にまとめて紹介します目次
予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2018年 |
---|---|
原題 | Sabrina |
上映時間 | 113分 |
製作国 | インドネシア |
監督 | ロッキー・ソロヤ |
脚本 | ロッキー・ソロヤ、リヘアム・ジュニアンティ、ファジャル・ウンバラ |
ジャンル | ホラー |
主要キャスト |
ルナ・マヤ クリスティアン・スギオノ サラ・ウィジャヤント ジェレミ・トマス リシェル・ジョルジェット・スコルニキ リスキー・ハンゴーノー アスリ・ハンダヤニ |
配信サイト・媒体 |
Netflix独占 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
玩具会社を営む夫妻が、娘同然のめいに人形をプレゼントする。だが、亡くなった母を忘れられないめいが母の霊を呼び戻そうとしたことで、人形に異変が起こる。
引用:Netflix
魅力
①ゾクっとするシーンが多い
②一瞬スローになって「ドゥーン・・・」という効果音が流れる演出がハリウッドの焼き増しっぽかったけど、個人的に好きな演出なのでOK
③冒頭の伏線を終盤で回収する展開は熱かった
④ラストが(少し)感動的でグッとくる。
気になる点
・CGが「最新のゲーム映像」みたいで冷める
・人形が意外と関係ない
・人形の造形が怖すぎて「売れてる」とか「娘が人形を気に入ってる」という描写に全く説得力が無い
・終盤の死闘がお遊戯にしか見えない
・2時間弱はちょっと長い
【ネタバレ無し】感想
両親を亡くした娘「バニャ」は、学校で仕入れた「チャーリーゲーム」とiOSアプリ「霊体レーダー」を使って、死んだ母親との交信を行います。
すると母親の霊と共に「バギア」という悪霊も付いてきたようで、そのせいでバニャとその家族(マイラ&エイデン)、そして家族が助けを求めた「ララス夫婦」はバギアと戦うことになります。
ララス夫婦は「霊媒師」と「道具師?(うろ覚え)」で構成されており、悪霊に対しての戦闘力が非常に高く、一挙手一投足が気合の入った中二病のソレ。
終盤に多少の意外性を盛り込んでいるものの、全体を通して「悪霊との闘い」しか描かれておらず、見終えた後の満足感はそう高くありません。
また、最近は「サードアイ」「悪魔に呼ばれる前に」というアジア・ヨーロッパ圏の小物ホラー作品を立て続けに鑑賞したので、その辺のチープさにちょっと飽きてきたというのもあります。
ちなみに「サブリナ ダーク・アドベンチャー」という話題の海外ドラマと同名作品なので、それと差別化を図る為に「人形の悪夢」というサブタイトルが付けられたっぽいです。
しかし人形そのものが人間を襲うような展開はありません。
「いつ人形がチャッキーみたいになるんだろう???」と思いながら観ると肩透かしを食らうかもしれないので、この情報は鑑賞前に仕入れておくべきかと。
というわけでネタバレしていきます。
【ネタバレ有り】感想
※ここからネタバレを含みます。
良い点:「バギア(悪魔)」がこの世に来た理由にサスペンス性がある
最初はバニャが母親を呼び寄せてしまったから、それに伴って邪悪な存在も付いてきたような口ぶりでした。
そして次に、「ララス」を殺す為に「バギア」はバニャに近付いたのだと落ち着きました。
「バギア」という悪魔は、やはり人間界で好き勝手暴れたいらしく、そうなると悪魔祓いが得意なララスが邪魔な様子。
それに一度ララスはバギアを退散させたという過去もある為、言うなればララスとバギアはライバル関係にあるようです。
しかし最後に、バニャの父親格である「エイデン」が、遺産相続権を獲得する為にバギアをこの世に呼んだという事が明らかとなりました。
そして父の死後、遺言により、父が経営していたおもちゃ屋の株の半分以上を兄に取られることになりました。
実際に玩具の開発スキルは兄の方が優れていたようで6:4というのは正当な配分に見えますが、エイデンはそれに納得できず、黒魔術師に頼って「アルカ」を呪い殺そうとします。
しかしアルカはなんらかの耐性があるらしく、うまく悪魔を憑依させられません。
そこで標的をアルカ妻の「アンディニ」に移したのでした。
冒頭でトチ狂っていた女性は、ここでエイデンにより「バギアを憑依させられてた」ということですね。
地味に複雑な降霊理由と、序盤の伏線回収がそこそこ気持ち良かったので、この脚本は良い点と言えるでしょう。
悪い点:CGがチープ過ぎる
アジア圏ホラー映画あるあるですが、やっぱり英語圏の作品に比べるとCGがチープ。
ゲームのムービーシーンを挿入しているかのようなシュールさがあります。
静止画ではCG感が分かり辛いですが、動きを付けると小気味良いダサさがしっかり感じられます。
悪い点:ラストの死闘がお遊戯会
長年のライバル「ララス」と「バギア」の死闘が本作のクライマックスでしたが、二人の対戦形式がなんと「格闘」です。
しかもまるで、お互い暗黙の了解でターン性攻撃をしているかのような躍動感の無さ。
ちなみに今までのバギアは「フォース」的なものを使って何度も人を吹き飛ばしている為、対人においては相当なアドバンテージがあるはずです。
しかしクライマックスシーンでは何故かフォースを封印。
武器も何も使わず、必死に手(というか爪)でララスをひっ掻こうとします。
そしてララスはそれを交わし、旦那(レイナルド)が修行の末にジャワ島で拾ってきたという「伝説の剣」を使って止めを刺します。
「旦那が拾ってきたんなら旦那が使いなよ」という気持ちも無くは無いですが、レイナルドはララスのパワーに厚い信頼があるらしく、だからせっかく拾ってきた勇者の剣をララスに託したようです。
そんなドラクエ的展開のある作品でした。
ついでにですが、「バギアがついに本性をあらわした!」という緊急事態の最中、ララスとレイナルドは顔を見合わせ、道具箱を開けて装備を取り出し、それをララスの腰に装着していきます。
ちゃんと空気が読める「バギア」は、相手が準備フェーズの時は攻撃を仕掛けません。
なんと優しいんでしょうか。
そしてララスは、準備が完了すると敵のフィールドに乗り込みます。
今まで派手な戦闘描写が多かったのに、クライマックスでこんなにスケールダウンする本作が愛おしく感じます。
悪い点?:人形が不気味過ぎる
ホラー作品において「不気味さがある」というのは良いことです。
しかし本作に登場する「サブリナ」という人形は、「世間の子供たちに大人気」「両親の死に悲しんでいる娘が唐突に笑顔になるくらい可愛い」という設定があるにも関わらず、全く可愛さが感じられません。
たぶん本作の一番のホラー要素はここです。
「全く可愛くない人形を可愛いと思いこまされる呪いをかけられたインドネシア人」。
この人形は2代目のサブリナという設定らしく、バニャを引き取った「エイデン」がデザインしたようです。
そして終盤で、「エイデンは玩具作りの才能が無い」と明らかになるので、それもあってきっとサブリナが恐ろしく不気味なんでしょう。
「サブリナが人気の理由」については未だ謎ですが、「サブリナが不気味な理由」については地味に辻褄が合う設定が用意されており、そこに僅かに好感が持てます。
評価・まとめ
50点
良くあるアジア産 悪霊系ホラー。
特に目新しさは無かった。
終盤はまるで舞台演劇を観ているかのようなリアリティーの無さでしたが、もしかしたらそういうところが魅力なのかも。
記事中に登場したリンク: