ネットフリックスのオリジナル作品「僕だけがいない街」を見終えました。
原作は漫画で、アニメ、ドラマ、映画版といろいろあるようですが、僕は「ネットフリックスオリジナル」しか見ていません。
ネタバレを伏せつつ感想を書いていきたいと思います。
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目次
率直な感想として、めちゃくちゃ面白かった
久しぶりに日本のドラマ作品にハマりました。
正直、邦画はどれも演技が苦手でハマって見ることができず、そのせいで「基本洋画しか観ない人」になっていました。
しかし、ネトフリ版僕街の評価があまりに高かったので見てみたら、しっかりと面白かった。
タイトル通り85点の面白さです。
ネトフリ版「僕街」の良かったところ
演技が中々良かった
僕は、「リアルの日本人は基本ボソボソとしか喋らないのに、作品の中ではやたらハキハキと喋るところに日常感を感じないから邦画が苦手」というクソみたいな理由で邦画を毛嫌いしています。
しかしこういう「演技が自然な人ばかりが出る作品」を見ると、「邦画でもちゃんと気持ち良く見れるんだな」と再確認できます。
主人公の藤沼悟を演じる「古川雄輝」さんも凄くいいですが、他のキャストさんも素晴らしい仕事をしています。
キンコメの、「下着泥棒してそうでしてなかった方」もかなり味わいのある演技で好感がモテました。
とにかく「俺洋画しか見ねぇから」という渋い男性にこそ見てほしい作品です。
※補足:「邦画は演技が下手」と言いたいわけではありません。個人的に日本人の演技が”苦手”なだけです。これはもう自分の経験値、精神的な問題です。
映像がキレイ
ちゃんと4kカメラで撮影されているようで、北海道の美しい映像をしっかり楽しむことができます。
色彩を抑えた重厚感のある映像はいかにも映画で、毎話出てくる「僕だけがいない街」のタイトルロゴもいちいち惹きつけます。
音楽が良い
そこまで耳に残るものでは無いですが、要所要所でしっかり存在感のある音楽を流しています。
その音楽のおかげで感極まるところではしっかり涙を誘い、作品を限界までと盛り上げてくれています。
当然ながらストーリーが良い
正直、「藤沼の母が刺されて、悟がその濡れ衣を着せられる展開」で見るのを辞めようかと思いましたw
ちょっと無理やりな展開だったのと、「上野までは電車一本で行けんだよ!」
「うおーー!!」
というセリフに激しい違和感を感じたためです。
「上野までは電車一本で行けんだよ!」
は若干伏線みたいになってて、後々割と感動的なセリフとして思い起こさせますが、逆にこのセリフが無かった方がよりナチュラルに作中に溶け込んでジーンと来た気がしないでもありません。
と個人的見解を述べましたが、漫画原作だけあってストーリーは普通に面白いです。
確かに第一話は無理やりな展開で終了しますが、無理やりなのは割と1話だけなので、我慢して2話まで見てみてください。
きっと面白いと思えるはずです。
余談:原作だと、藤沼悟が濡れ衣を着せられるのはもっと自然な流れらしい
ネトフリ版だと、本当に急に藤沼が犯人に仕立て上げられるため、かなり違和感を感じます。
しかし原作だと、前日に藤沼親子が喧嘩し、窓ガラスが割れそれを大家に見られるという展開があるそうなので、母親殺しの動機として成り立つものが出来上がっています。
この話が組み込まれているかどうかで認識がかなり変わりますね。
ネトフリ版では恐らく尺の問題でカットしたのでしょうが、できれば入れて欲しかったですね。
ネトフリ版「僕街」まとめ
※以下、若干ネタバレあり
「当人しか知らないタイムスリップ」系の作品としてもう一つすぐに思いつくのが、スティーブンキング原作の「11/22/63」です。
「11/22/63」はHulu限定コンテンツで、これも僕が大好きな作品のひとつです。
主人公が1963年11月22日にタイムスリップしてケネディー暗殺を防ぐという内容ですが、この作品のオチは、本筋をガン無視した「ロマンス」に関するものです。
僕街のラストも「ロマンス」に関するもので、ここは共通しています。
しかもタイムスリップにより「並行世界」を見たのは主人公だけなので、二人の出会いや事実については主人公しか知りません。
もうね、こういうのに弱いんです。非常に。
「二人との共通の思い出があるのに、自分しか思い出が無い」
多分、親愛なるパートナーが先に痴ほう症にかかるとこういう気分になるんでしょう。
思い出というのは誰か1人でもいいから共有できる人がいると凄く安心します。
自分の小さい頃の思い出とか、それを知ってる親がいるから安心できる。
たまに思い出しながら話すと楽しい。
しかしもし何十年も経って、「自分の小さい頃の思い出」を知ってるのがついに自分ひとりだけになったら。。。
それは凄く孤独なことでしょう。
僕街は凄く良い終わり方をしました。
「これ以上あいり君を巻き込むな!」という店長のセリフを思い出し、タイムスリップ後の世界であいりに出会うことをあきらめた悟。
もちろん、別ラインの世界では二人は仲良くなっていたため、悟はあいりに近づきたいはずです。
しかし、あいりを巻き込んではいけないと思いその欲求をねじ伏せたのです。
しかしそれでも運命は二人を合わせようとする。(この場合は”会わせ”じゃない気がする)
ここで使う「運命」という言葉は決して恋愛に限定した意味ではありません。
確かにあいりと悟はそれらしい関係になりそうな感じはありますが、異性だけの繋がりではない「ソウルメイト」的な何かを感じるような見せ方にもなっていました。
その辺の深みも僕街の魅力なのかもしれません。
追記:「リバイバルの暴露」に地味に感動した
悟がリバイバルを打ち明けたのは、敵である八代学だけ。
この覚悟に恐ろしく痺れました。
作中ずっと僕は「なんで誰にもリバイバルのこと話さないんだろう」と思ってました。
悟はこの秘密を誰かに話したいだろうし、そういう展開があって、”それを知ってる味方”および敵がいた方が絶対に盛り上がるはずです。
しかし悟は味方には誰にも話しませんでした。
唯一、敵である八代にだけは最期にリバイバルの存在を暴露しました。
悟は八代について”ただの敵”という認識はなく、尊重すべくはしかと尊重していました。
その証拠に、卒業式での八代のセリフをしっかりと覚えており、その後も八代の深みのあるセリフも覚えています。
そしてそれらを、クライマックスのシーンで八代に返すのです。
リバイバルのカミングアウトと共に。
悟が「未来を知っていたことを信じるか」と八代に問うと、
八代は「合点が多すぎる。」と納得します。
八代は信じたのです。
個人的な話に逸れますが、僕は「主人公が敵を認めるシーン」が好きです。
カイジvs一条の勝負後「そして俺を倒せ!」というセリフにも涙をボロボロ流しました。
僕街のクライマックスも、何かそれに通ずるものを感じました。
余談ですが、悟が味方の誰にもリバイバルのことを離さなかったのは、もしかしたら”誰も巻き込まないため”だったのかもしれません。
まだ一回しか見てないので浅い考察ですが、
他のブログでも読んで、もっと深く理解します。