※当記事は、映画「宇宙戦争」のネタバレがあります。
子供の頃に初鑑賞して以来、一年に1度くらいのペースで観てる大好きな映画があります。
それが「宇宙戦争」。
宇宙戦争は、スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演のSFパニック超大作で、一般レビューサイトでは軒並み「星3」という中程度の評価です。
もちろん筆者は星5。
ちなみに僕が定期的に見たくなる程好きな作品は、「SAWシリーズ」とか「Sunshine2057」とか「ファイナルデスティネーションシリーズ」とか、ちょっと狂気じみてる作品が多いです。
しかし「宇宙戦争」はファミリーテイストが強く、全体的にトゲが無い丸い作品。
なのに繰り返し見たくなる。
ついさっき11回目の鑑賞をしてしまったので、感想がてら「宇宙戦争を繰り返し見ても飽きない理由」をまとめます。
目次
「宇宙戦争」を何回観ても飽きない理由
①「訳アリ家族」の描写が濃く、キャラクター紹介の段階でグッと引き込まれる
②中二病心をくすぐる“終わりの始まり”
③演出から感じられる重厚感
④ユニークで惹きつけられるイベント・トラブルの数々
⑤非日常を体感できる、高品質なロードムービー要素
⑥「敵の弱点」を知った時、自分の命の大切さに気付く
少し訳アリな「フェリエ」一家
主人公の「レイ・フェリエ(トム・クルーズ)」は、まだ幼い娘「レイチェル(ダコタ・ファニング)」と、思春期くらいの「ロビー・フェリエ(ジャスティン・チャットウィン)」の二人の子供が居ます。
しかし既に離婚しており、子供たちは、母親の再婚相手の家か母親の実家で暮らしているようです。(この辺りは正直良く分かってない)
序盤は「キャラクター説明」が必要なので、とにかく彼らの人間関係にフォーカスされます。
娘「レイチェル」は凄くハキハキした子で、父親に対してしっかり助言したり、自分の気持ちをハッキリ言います。
対してロビーは反抗期。
そんなロビーに対し、レイの方が若干苦手意識を持っている様子。
ぶっきらぼうにキャッチボールに誘うシーンや、その時のギクシャクした感じが凄く良かった。
前半のこの不協和音があるおかげで、中盤以降の絆のシーンがより萌えるものとなりました。
中二病心をくすぐる“終わりの始まり”
「曇り」ってめちゃくちゃソソラレマスね。
なんかこう、「始まりそう・・・」な感じがします。
そして本作は「曇りのワクワクする感じ」を最大限に引き出しています。
レイも、怖がるレイチェルに対し「凄いだろー!!」とワクワクしています。僕たちと同じですね。
そしてその後の「近隣住民と一緒に街を歩くシーン」も最高。
レイが街の住人たちにとって「ムードメーカー」っぽい存在なのが良い。
小さい頃にこのシーンを見て、何故か都会での一人暮らしに憧れました。
演出から感じられる重厚感
地球外生命体の重みをしっかりと感じられます。
何度も観ていると、「ここ、こだわってんなー」という部分がなんとなく分かってきます。(全部こだわってるだろうけど)
最初の「トライポッドの登場シーン」もそうですね。
重厚感が凄い。
引き合いに出すのもおこがましいですが、「トランスフォーマーシリーズ」の軽い感じとは真逆。
恐怖・不安・混沌・ワクワクが入り混じった完璧な出し方。
監督が同じなので当然ですが、「ジュラシックパーク」的なワクワクがありました。
個人的に好きだったのが、レイ一行がおばあちゃんの家(ロビー達が暮らしてる家?)の地下で寝てる時、何かが起きて機械室のようなところに逃げ込むシーン。
状況が段々エスカレートしていき、何故か辺りは燃え始める。
ギリギリのところで一行は機械室に逃げ込み、ドアをゆっくり閉める。
細かいところですが、この「ドアを閉めるシーン」を、やたら重く、若干「繰り返し映像」を使いながら、運命的な感じで演出していました。
本当に何気ないワンシーンでしたが、この「ドアを閉めるシーン」が歴代鑑賞映画の中でTOP15に入るくらい好き。
トラブルの質が高い
結局のところ、A級映画とB級映画の境目はコレだと思ってます。
「トラブルの質」。
ホラー映画でもなんでも、B級映画はトラブルが在り来たりで全然ハラハラできません。
もしくは、「話の流れが明らかに何かのトラブルににじり寄ろうとしてる」というのが丸わかりで、冷めます。
「宇宙戦争」はA級の中のA級。
トラブルの質がクッソ高い。
どんなイベントが起きてもワクワクする。
例えば「車に乗る」にしても、直前にレイが「修理」のアドバイスをすることで、簡単な布石を作りだしてました。
そしてレイは、「他人の車に乗る」という日常生活では倫理的にアウトな行動を取ります。
おかげで「車で逃げる」だけなのに、一々人間ドラマがありました。
細かいところまで含めればたぶん100個以上のオリジナリティがありますが、あらゆる細かいところでユニークな状況を作り出しているので、鑑賞していて退屈しません。
安息地を求めてさまよう、ロードムービー要素
サバイバルホラーは、「一か所に籠り続ける」という筋書きでも良いですが、やっぱり「移動する」という展開の方がワクワクします。
本作は、湾岸地帯から始まり、車で移動し、人混みでひと悶着あり、船に乗り・・・
と長旅です。
また、「唯一動く車に乗ってる」という理由で、他の人間を暴徒化させ、レイたちに更なる課題を与えます。
「いろんなロケーションに移動し続けている」というだけでもワクワクするのに、「移動」そのものに課題を与えることで、中だるみせずしっかり楽しむことが出来ました。
しかも、最序盤からチラつかせていた「護身用リボルバー」の伏線回収シーンも乗り物がキーとなってましたね。
もし脚本上の都合で「ここでレイたちを車から降ろしたい」と思うのであれば、ガス欠なり故障なりの展開でも良かったはず。
というかB級映画ならそうだったかもしれません。
でもそうはせず、しっかりと「暴徒」と「リボルバー」を使ってサスペンスを生み出しました。
「敵の弱点」を知った時、自分の命の大切さに気付く
圧倒的な力量差により、逃げ惑うしか無かった人類。
そんな人類が、どのようにして奴らを倒すのか???
コンピュータウイルスか?
やかんが沸く音か?
人類が慣れ親しんだ何かしらの素材や元素か?
ちゃんとした伏線があれば、上記のどれが来ても納得できます。
しかし宇宙戦争における敵の弱点は、「細菌」でした。
ある科学者が閃いて気付いた弱点等ではなく、トライポッドのシールドは、カモメに付着した細菌等により勝手に無力化されました。
ベターですが、「元々地球にあったもの」が弱点だったのです。
そしてナレーション。
“何億という犠牲の末、人類は地球で生き続ける権利を手に入れた”
人類はエイリアンに対して「免疫」の差で勝ちました。
個人的に凄く好きなオチ。
まず娯楽作品として「意外なものが弱点だった」という点での及第点は超えていると思います。
初見では十分面白く感じた。
それと同時に、「自分の命もこの地球に存在していいんだ」というメッセージ性もあるような気がします。
「地球から見て、自分がどのような存在か」などと普段は考えませんが、宇宙戦争を見終えると、「誰もが特別な権利を所持して地球に生きている」と理解し、自分の命も、他人の命も、全て特別に感じられるようになります。
鑑賞後は心から温かくなれる美しい作品。
制作背景もちょっと面白い
「H・G・ウェルズ」原作の同名小説「The War of the Worlds」は1898年に販売されました。
そして一度、1953年に「ジョージ・パル監督」によって映画化されています。
他にもテレビドラマ化などもされたそうですが、映画化は本作で2度目。
筆者はスピルバーグ版以外は原作含め全て未見ですが、原作が1800年代のものだと知ると、「大昔の作品を、よく現代設定に落とし込めたもんだ」と感心します。
また、本作は長い構想の末に制作されたわけではなく、トム・クルーズとスピルバーグ監督のスケジュールがたまたま空いちゃったから、それで制作されたという背景があるそう。
しかも企画から公開まで1年程という過密スケジュール。
超大作なのに、まるで「SAW」みたいなスタンスで制作された本作。
こういう裏話を知ってから再鑑賞すると、また更にちょっと面白く感じます。
【感想】「宇宙戦争(2005)」の魅力6個。圧倒的な侵略者を前に、何ができるのか?:評価・まとめ
繰り返し見たくなる映画には理由がありますね。
絵本のように何度も鑑賞すると、「ここが好き!」というのが段々言語化できるようになる気がします。
あぁ、本当に面白い。
作品情報
公開年 | 2005年 |
---|---|
原題 | War of the Worlds |
上映時間 | 114分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | スティーブン・スピルバーグ |
脚本 | ジョシュ・フリードマン、デヴィッド・コープ(原作:H・G・ウェルズ) |
ジャンル | スペクタクル,SF,モンスター,パニック |
主要キャスト |
トム・クルーズ(レイ・フェリエ) ダコタ・ファニング(レイチェル・フェリエ) ミランダ・オットー(メアリー・アン) ティム・ロビンス(オギルビー) ジャスティン・チャットウィン(ロビー・フェリエ) |
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