不時着した星は、人類排除の為に独自の進化を遂げた「地球」。
シャマラン監督が手掛けるSF作品「アフター・アース」を鑑賞しました。(執筆時点で3度目の鑑賞)
いつも通りネタバレ無し情報を書いた後にネタバレしていきます。
まだ未鑑賞で、「とりあえず面白いかどうかだけ知りたい」という方は、「※ここからネタバレを含みます。」という文章の直前までを目安にご覧ください。
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予告編(トレイラー)
作品情報
公開年 | 2013年 |
---|---|
原題 | After Earth |
上映時間 | 100分 |
製作国 | アメリカ |
監督 | M・ナイト・シャマラン |
脚本 | ゲイリー ウィッタ、M・ナイト・シャマラン |
ジャンル | 2010年代,SF,アドベンチャー,アクション,サバイバル |
主要キャスト |
ウィル・スミス(サイファ・レイジ) ジェイデン・スミス(キタイ・レイジ) ソフィー・オコネドー(ファイア・レイジ) ゾーイ・イザベラ・クラビッツ(センシ・レイジ) |
配信サイト・媒体 |
市販DVD Netflix…他 ※記事公開時の情報です |
あらすじ・みどころ
人類が地球から別の惑星に移住した西暦3072年、伝説の兵士サイファとその息子キタイは、宇宙遠征の途中で見知らぬ惑星に不時着する。負傷した父に代わり、キタイは緊急信号を発信させるビーコンを探しに出るが、その惑星こそがかつて人類が捨てた地球だということが発覚。
魅力
①良質なトラブルの連続。「一難去ってまた一難」の導入の仕方が素晴らしい。
②「恐怖」の匂いを嗅ぎつけるモンスターの設定がナイス
③「ウィル・スミス」とその息子「ジェイデン・スミス」の演技力(特に顔芸)は本当に素晴らしい
【ネタバレ無し】感想

世間では「駄作」と評価されてるようですが、めちゃくちゃ大好きな作品です。
何故駄作?
普通に、スペクタクル作品として及第点超えのA級映画だと思います。
「仕事熱心で厳格な父親」
「父のようになりたいが、中々父親に認められず憤りを覚える息子」
だけで地球脱出を試みる作品で、二人の絆や摩擦はしっかり描かれていたと思います。
筆者は「M・ナイト・シャマラン監督の作品」だと鑑賞後に知ったのですが、言われてみれば確かにそれっぽいミステリアスさがあったと思います。
例えば本作は「表情を接写する映像」が多用されていました。
個人的に好きな演出なので目についたのですが、キャラクターの心境が伝わる良演出だと思います。
そんな感じで二人の心境をしっかり丁寧に描きつつ、スローなカメラワークも多いですが、かなりテンポが良く中だるみしません。
本当に大好きな作品。
【ネタバレ有り】感想
※ここからネタバレを含みます。
ラストまでのザックリストーリー
「キタイ(ジェイデン・スミス)」は父親と同じ「レンジャー」になるべく訓練に明け暮れるのですが、中々レンジャーになれずにいます。(候補生)
そして父親の「サイファ・レイジ(ウィル・スミス)」は、「恐怖」という感情を消せる最強のレンジャー。
他の兵士も憧れる存在です。
そんなレイジ親子が宇宙旅行中に事故に遭い、やむを得ず地球に不時着するというお話。
不時着した場所は「ジャングル」で、狂暴化した動物たちで溢れかえっていました。
もしこれが「砂漠」とか「山岳地帯」だったらまた脅威は少なかったのでしょうが、「ジャングル」なのでいろんな動物がいます。
しかも同じ船に乗っていた「アーサ」という地球外生命体も野放しになっています。
「アーサ」は、「人間が恐怖を感じた時に発する匂いを嗅ぎつける」という能力を持っており、人間界では「サイファ」だけが無心でアーサとやり合えるようです。(他にも恐怖を消せる人間が居るのかは不明。)
息子の「キタイ」は父親に憧れているのですが、船内での度胸試しでアーサに近づくも、過去のトラウマを思い出しアーサに反応されてしまいます。
そのトラウマとは、キタイがまだ子供の頃、家に入ってきたアーサに姉を殺されたというもの。
姉の機転により、小さいガラスケースの中に隠されたキタイは、アーサに見つかることなく生き延びました。
そのせいでキタイは「自分のせいで姉が死んだ」と罪の意識を抱えています。
キタイとサイファは不時着した地球で二人きり。
しかもサイファは左太ももを骨折しており、その場を動けません。
そこで、息子のキタイに全てを託しました。
船は完全に破壊され、真っ二つに割れています。
そして二人がいない方の破損部に救難ビーコンをがある為、とりあえずキタイはそこへ向かいます。
二人の体制は
・サイファ:司令塔。船内でドローン等を使い常にキタイを監視しサポートする
・キタイ:サイファの指示に従い目的地を目指す
というもの。
厳格だが父親として問題があった「サイファ」と「キタイ」は時折衝突しますが、いくつものトラブルを交わしつつなんとか目的地に辿り着きます。
無事救難ビーコンを見つけるも、そこでアーサの脱走痕を見つけたキタイ。
まだ姿は見えませんが、アーサは「他の乗組員の死体を飾る」という方法でキタイの恐怖心を煽ります。
キタイは救難ビーコンを作動させようとしますが、近くの噴火した山のせいで、ビーコンが作動しません。
どうやら、上空を覆っているヨウ素が原因で、ビーコンが遮断されるようです。
この時点でサイファとの通信機が壊れ孤立しているキタイ。
しかしサイファからはキタイの映像が見えます。
「山の頂上へ登り、そこでビーコンを放て・・・」と独り言をつぶやくも、それが聞こえないキタイ。
サイファの表情からもどかしさが感じ取れます。
しかし二人の意志は通じ合ったようで、キタイは山の方を眺め、そして登り始めます。
登山中、いよいよあの「アーサ」が姿を現しました。
アーサは、今までの強敵(鳥・トラ・猿)などの比じゃない圧倒的なパワーでキタイを追い詰めます。
キタイはぶっ飛ばされ、軽く気を失いかけます。
そしてその上に覆いかぶさるアーサ。
「30mの谷底に落とされ、水の中でアーサに押しつぶされた。その時に恐怖が消えた」という父の話と被るシーンです。
キタイは、目の前にアーサがいながらも、「姉の死」やら何やらが巡り、そしていよいよ恐怖そのものが消えたような、凛々しい表情をします。
直後、アーサはキタイの居場所が分からなくなったようで、その場をさまよいます。
そしてここからいよいよキタイの反撃開始。
父にもらった武器を使い、アーサの足を切りつけ、そして止めを刺します。
それを遠隔カメラで見ていた気絶寸前のサイファ。
ですがサイファは何も言いません。(体力が無くて喋れなかったように見えた)
しかし、その目や表情から言いたいことは伝わります。
キタイは救難ビーコンを作動させ、すぐに救出部隊が到着。
見事キタイとサイファは救出されました。
船内で治療を受けるサイファ。
やはりサイファは相当有名らしく、かなりの人数がアワアワしながら処置を行います。
そこにゆっくり歩み寄るキタイ。
キタイの存在に気付くと、サイファはゆっくり立ち上がり敬礼をします。
もう「候補生」ではなく「レンジャー」として認めているようでした。
しかしキタイは、敬礼返しをせず、すぐにサイファに抱き着きます。
「やり手のレンジャー」「父親」両方の側面があるサイファに対し、「父親」として接しに行ったのでした。
良い点:「鳥」の温もりが凄い

自分を救ってくれた「鳥」に感謝するキタイ
キタイが鳥に助けられるシーンは何度見ても泣けます。
キタイが父親と言い争い、感情的になったまま滝にダイブするシーンがありますが、その後、タカを更に巨大化したような大きい鳥に襲われます。
キタイが目を覚ますと、そこは鳥の巣でした。
周りには鳥のヒナがおり、それを狙ってトラ?(かライオン)の群れがやってきました。
そのライオンはヒナを襲う為にやってきたようですが、キタイはライオンたちの撃退します。
しかしヒナは全滅。
親鳥はヒナの死体をつっついて雄叫びを上げます。
キタイはその隙を付いて脱走するのですが、このシーンが後で登場する「ホットスポット」で活きてきます。
本作の設定の一つに、「夜になると地球の気温が一気に下がるから、それまでにホットスポットに辿り着かないといけない」というものがありました。
しかし今回、寝過ごしたキタイはホットスポットまで間に合いません。
徐々に凍る地上で、いよいよ力尽きて倒れてしまいます。
今度はキタイの目線カメラで、ズサー・・・ズサー・・・と何かに引っ張られます。
目を覚ますと、キタイは何かに守られていました。
さっきの親鳥です。
ホットスポットではない場所で、親鳥がキタイのことを温めてくれていたのです。
キタイは親鳥に「ありがとう」と言うも、親鳥はもう息をしていません。
キタイを守るために自分を犠牲にしたのです。
と、説明するとめっちゃ長くなりましたが、この展開が本当に好き。
まず、キタイ目線で「ズサー…」と引っ張られるところが凄く良い。
あのシーンだけで何故か「誰かに守られてる」と感じられます。
それはまるで、子供の頃にこたつで居眠りしてしまった後、親が自分を抱きかかえてベッドに運んでくれるような、そんな温もりに似ています。
そういう「過保護な感じ」があの演出一つで感じ取れました。
また、「地球は人類を排除する為に進化した」という設定なのに、あの親鳥はキタイを守ってくれました。
まるで童話のようなベタな展開ですが、やっぱりこういう「自然が人間を救う」というお話は美しい。
過酷な地球での素晴らしい癒されシーンでした。
良い点:「サイファ」と「キタイ」の衝突と絆に引き込まれる

救出されたキタイとサイファ
比較的厳格で現実主義な「サイファ」。
それとは対象的で、まだまだ未熟な「キタイ」。
序盤の食事シーンで分かる通り、サイファは本当に厳格で、相当な影響力を持っています。
純粋に「怖いお父さん」です。
そんな父親に認められようと奮闘する「キタイ」は、今回の旅でついに父親に全てをぶちまけます。
「酸素パックが足りない」と判明した後、「自分は出来る!」と言い張るキタイに対し、「作戦は中止だ。良くやった候補生。」と冷静に言い放つサイファ。
そこから話は「姉の死」に発展し、そして感情の赴くままキタイは滝へダイブします。
一般レビューでは「冷静に父親の言う事を聞けよ!と思った」と書かれていましたが、ここでのダイブはかなり自然な流れでした。
映画マニアの中には「感情的になってロジカルさを忘れる展開が嫌い」という人もいますが、筆者的には全然OK。
それにたぶんキタイは、「ここでダイブすれば時短に繋がり、今の酸素パック量でも目的地に到達できる」と踏んでいるようでした。(その描写は無かったが)
サイファはキタイから「今の酸素パック数」を聞いて、まず「滝をダイブした場合」と「遠回りした場合」の必要日数をシミュレーションしました。
結果、「滝ダイブだと酸素は持つけど、遠回りした場合は持たない」と判明。
直後、「作戦は中止だ」と言っています。
これは本当に分かりやすい見せ方ですが、「息子をこれ以上危険な状況に置けない」という父親らしい判断です。
結局キタイは父親に反抗する形でダイブしますが、恐らく薄っすらと「滝ダイブで時短に繋がる」と気付いていたのでしょう。
二人の摩擦はところどころに挟まれますが、ダイブ前の言い争うシーンは本当に熱かった。
【感想】「アフター・アース」の魅力3個。狂暴化した地球での脱出サバイバル:評価・まとめ
90点
スミス親子の分かりやすい過激な演技合戦。
分かりやすく、丁寧なSF作品。
絶対に駄作じゃないと思います。
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